リードアラウドの指導では、参加している子どもたちと「対話」をしながら、英語絵本を一緒に読み進める。
「対話」は、発問だったり、「一緒に読もう!」という呼びかけだったり。
なにしろ、子どもたちに声を出させる。
そこで、リードアラウドの指導者は、子どもたちが声を上げやすい環境を作る話術の研鑽が求められる。
かなりのベテラン、リードアラウド指導者でも、とりわけ緊張や不安が強い子どもとの場合、「声を出させる」のに苦戦を強いられることもある。
たとえば半年たっても、指導者に十分聞こえる声で応えられない子どもがいたら、どうしたらいいだろう?
ごく最近に、こんな「光」が差した。
リードアラウドの前に行うウォームアップ、シアターゲーム。
これまでは、このウォームアップでも、「熱く」ならなかったひとりが、ゲームにちゃんと参加し、ついに声を出した!
そのゲームとは、シアターゲームの「A to Z」を応用したもの。
クラスが輪になって、ひとりまたひとりと、AからZまでを順に言っていく、という簡単なものだが、ルールがある。
誰が言ってもいいのだが、AならAを言うのは必ず一人でなければならない。
「A」、「B」、「C」と、だれでもいいが、ひとりだけ声を上げて行くが、複数人が同時に、たとえば「D」と言ってしまったら、また「A」から始めなければならない。
このゲームでは、その場の空気を読まなければならないが、発言(アルファベットを言うこと)は、誰がしてもいい。
逆に言うと、誰も発言をするようにと指名されていない、オープンな場だ。
このゲーム。
家で家族などとは、なんの問題なく会話ができる子どもなのに、学校の授業などで声が出せなくなるような子どもの、「発言練習」になるようなのだ。
少なくとも、わがスクールでは、「光」が見えた。
これまで、声を出しての発言が極端に少なかった子どもが、このゲームでは、どんどん活発に声を上げたのである!
そのことを踏まえると、「不安で声が出せない」という現象(少なくともこの子どもの場合)は、自分が指名されたとき、あるいは順番が回って来て自分の答えが、周囲に期待されているときに、強いストレスがかかって起こるのではないか。
順番や指名はなく、ただ機会を見て声を出す、答えを言う、という「オープンな」このシアターゲームなら、だから声が出せる…。
ひとの心理は奥深い。
一介の英語指導者が、たったひとつのケースで語っても、説得力はないだろうが、少なくともわがスクールでの「心配事」に、ちょっと光が差したのは事実である。