英語の先生や子どもたちではない、一般の大人向けの英語セミナー。
10月から場所をカルチャーセンターからわがスクールの教室に移して、「新装開室」だ。
このクラスで心がけていることがいくつかある。
1. 自分が言いたいこと、言う必然性のあることを、英語で言うよう導く。
いわゆる「英会話」のテキストのフレーズを、やみくもに覚えたりする練習はしない。
本クラスの英語での会話の「さかな」は、教材として使っている名作絵本だ。
その本の読解に関する質問に、生徒が英語で答える。
自分なりの解釈を英語で言う。
本の各場面で、他のクラスメートに内容について質問したり、答えたりする。
指導者は、生徒たちの言わんとすることを英語にする手助けをするだけ。
そしてもうひとつ、どんどん「言いたい」気持ちを作る努力をするのだ。
2. 慣用語句、目新しい語彙は、シーンを指導者が作って、そこで使うよう導く。
たとえば、先日はAlas! という間投詞が、絵本に出て来た。
絵本のストーリーと、指導者のその部分の読み方で、意味はだいたい推測した。
ならば、Alas! をいいタイミングで、そして自分の感情を乗せて使わせる。
ということで、こんなシーンを英語で設定。
「今日なら暇だろう尋ねた友人が、たまたま外出中」
そこで、あなたは?
「Alas!」
Yuk! なら、こんなシーン。
「こないだ買ったチーズ、まだあるはず。でも見たらカビだらけ」
そこで、あなたは?
「Yuk!」または「Yukky!」
面白おかしく演じながら言ってもらう。
経験的に、新しい語彙や語句は、使うぴったりの場面がわからずに使えず、そのうちに忘れてしまったりすることが多かった。
また、ここぞと思う瞬間に、その英語を使ってはみたが、感情と言語の経路が繋がっておらず、自分の本物の感情を乗せきれない、歯がゆい思いもした。
その英語を使う場面を増やせばいいのだが、日本にいては機会も少ない。
英語教室の大切な役目の1つは、人工的にシーンを作って機会作りをすること。
そこで、本物(に近い)感情を喚起して、それを英語に乗せる練習をさせることだろう。
本クラスは、ひとりひとりの上達やニーズ、希望を、指導者が把握できる少人数クラス。
メリットはこの他にも、生徒のアウトプットをその場でよりよいものにブラッシュアップしたり、うまく言えず詰まったら英語的道筋をつけられるというのがあるだろう。
言いたい、知りたい、と思った時が学び時であり、高い学習効果も認められている。
学ぶ場で「受け身」になりがちな大人に、できるだけ英語で自分の考えを言うシーンを作り、その場で、考えや意見はそのまま受けながら英語の部分だけ、指導者が助ける。
ひとりひとりの「自分の英語」への道をつけたいと思う。