あっという間の3時間〜ワークショップ報告

参加者のみなさんの感覚は違うのかもしれないが、1:30〜4:30のワークショップが、いつも短く感じる。

時間配分にかなり神経を使うのだが、面白かったり気になる表現や、「この機会に伝えたい」と思うところがあると、ついそこで深入りしてしまう。

今月は、リードアラウド指導の真骨頂、双方的進行についてまとめてみた。
生徒への発問である。
それを、どこで、どうするか。

これは、
「(ネタを・指導者が)ふる→(生徒が)うける・おちる→つっこむ・フォローする(指導する)」
お笑い芸人の基本と同じだと、確認してもらう。

The Carrot Seed で、どう生徒に「ふり」、どんな「うけ」や「おち」を予想し、どう「つっこみ」を入れたり「フォロー」という名の指導をするか。

これが出来ると同時に、生徒に読み方を指導するわたしたちの朗読も、磨かなければならない。

同じ物語でも、相手の精神年齢に合わせた読み方がある。

幼児と読むなら、「わっ、ニンジンが出た!」という驚きや喜びを高らかにうたい上げる、分かりやすい仕上げにする。

だが、その読み方では、知恵のついてきた10歳あたりからはもの足りない。

自己実現や信念を持つ大切さ、自尊などまで感じさせる朗読に仕上げたいところだ。
この場合は、甘すぎたり、もったいぶった読み方には拒絶反応が出る恐れもあるから、文字通り、言葉の端々に気を使う。

ここまで、読解を深めて朗読を仕上げた(仕上げようと努力した)指導者と、適当に読んで、技巧的に声を甘くしたり大きくする指導者の差を、見抜ける子は少なくない。

子どもを甘く見てはいけない。

こう考えると、ワークショップ参加者に伝えたいことが溢れ出す。
そのたくさんあることを、均等に縮めて3時間ずつにすればよいのだが、「均等」が実に難しいのである。

さて、いろいろ溢れてしまった前回のワークショップだが、そこで、伝えたかったことを1つだけ抽出せよ、と言われたら……。

そうだ!

「The Carrot Seed」
という題の読み方か。

読むときに、イメージを言葉のカプセルに閉じ込めるつもりになること。

「わっ、ニンジンが種から出来たよ!」と生命の不思議への驚嘆を込めるもよし。
「自分を信じて努力するといいことが起こるよ!」とニンマリ、自尊の気持ちを込めるもよし。

何にしろ、何らかのポジティブな、テーマに関わる意志を込めて読むこと。

加えてそれを、伸びやかで朗々とした声で読めたら、もうそれで観客(生徒)の心をだいぶ掴めるものだ。

追記:
気持ちを込めるとどれだけ読みが違うか、を実感する練習をやったが、傑作だった(こんなことをするから、3時間じゃ足りなくなる!)。

絵本にはほとんどありえない「気持ち」、sexy。
それをご愛嬌で、思いつきの言葉、Sapphireに込めてもらった。

ただ「Sapphire」と機械的に言うのと、口にする前に(うっふん、sexy)と心で唱えてから言うのでは、大違い。

参加者の照れ具合や、Sapphireというたった一言が(うっふん、sexy)と思ったとたんに、違う響きを持った結果、それまでのみなさんのそれぞれの印象にそぐわなかったりして、爆笑!

いつか、ものすごい堅物の先生方と、こんなレッスンをしたら面白いだろうなあ。

あの、マリリン・モンローがケネディ大統領の誕生祝いに、このThe Carrot Seedをread aloudしたらどうなるだろう。
(これだけで、漫才のネタになりそう……)

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