I’m Not Bobby!は、ピューリッツア賞受賞者のひとりで、アメリカの新聞漫画界ではスター的存在だった、Jules Feiffer の作品。
翻訳は出ていない。
それは、本書が持っている言葉のあやで笑わせる、ウッディ・アレン的な高等会話技術の醍醐味が、黙読で伝わりにくいからなのかも(日本で出版を決める編集者たちは、ほとんど黙読で決める)。
その醍醐味を、わたしのリードアラウドで伝え得るか。
かなりチャレンジングなのだが……、
万歳!
この日の私立小学校の3、4年生クラスの30人には、おかしさが伝わったらしい。
笑った、笑った。
発表会でも読みたくなったと、その場で本書を選んだ子も数人!
あー言えばこー言う、口の達者な少年ボビーが主人公。
母はほとほと手を焼いている。
本書に描かれるある日も、「ボビッー!」ともうすでに怒った声で母が息子を呼ぶ。
こういう設定で、ボビーが次々いう口答えに、母のイライラがエスカレートして……という筋。
母側のセリフと、年相応のクールさと幼さのミックスされたボビーの心のつぶやきや口答えを、対照的に臨場感をもって読み分ける。
少年のつぶやきや口答えの内容が、かなり子どもの共感を呼ぶ。
少年、少女たちが思いつきそうなことだから、よーく理解できるのだ。
それに、いかにも母が言いそうな脅し、「いい子にしないとTV禁止!」などなど。
子どもたちにとって、ボビーはちょっとした英雄だ。
「ぼくたちも、こんな口答えしたいこともあるんだぞ!」
という熱気が、この日の小学生たちのリードアラウドする声にはこめられていたような……。
『I’m Not Bobby』