英語えほん千夜一夜第10夜~Bad Kitty

Bad Kitty [With CD]

Bad Kitty 文・絵Nick Bruel ISBN: 978427213624 , $9.99 レクサイル指数: 280L 目安のレベル:中級

 彼女はネコである。名前はもうある。Kitty、本書の主人公である。ネコを主人公にした絵本といえば、『Puss in Boots(長靴をはいたネコ)』や『The Owl and the Pusshycat(ふくろうとねこ)』などの古典を始め、挙げたらきりがない。そんな「激戦区」にこのKittyが、2005年に登場。家ネコが思いつく限りの悪さをし、その弾けぶりで一躍人気者に躍り出た。現在は、小学生向けの挿絵付き読本シリーズにもなり読者層を広げたが、絵本の本書がデビュー作である。

 このネコ、もとはgood kittyだったが、ある日から「very, very, bad, bad」な、「BAD kitty」になることを決心する。きっかけは、飼い主が餌を切らして、代わりに「healthy and delicious」な野菜類を与えたことだった。 26種の野菜類がアルファベット順に並ぶ。Fennel(ウイキョウ)やXigua(スイカの一種)など何やら美食派風だが、ネコには…。「Ack!」「Eek!」「Ick!」「Oh, no!」「Ug!」「Yuck!」。嫌悪の悲鳴が続く。さらに愉快なのは、その後飼い主が揃えたネコの好物。AからZまで並んだのは、「an Assortment of Anchovies(カタクチイワシの油漬け盛り合わせ)から、「Jellyfish Jelly(クラゲジャム)」や「Shark Sushi(サメ寿司)」…。他では類を見ない(!)リストで、読者は実に楽しく語彙が学べる。これらには、もちろんKittyが歓喜の「Whee!」などの声をあげる。嫌悪でも歓喜でも、英語の感動詞を言わせると子どもは大喜びだ。

 「嫌いなもの」「好きなもの」のA to Z(アルファベット順に並んだリスト)他に、「悪い行為」「いい行為」も、それぞれ26ずつ挙がる。例えば、「悪い」Cは「Clawed the Curtains(カーテンを引き裂いた)」、Oは「Overturned her cat box(トイレをひっくり返した)」。後半でいい子になりCで「Cleaned her Cat box(自分のトイレを掃除)」し、Rで「Repaired the curtains(カーテンを修理)」する。ただ、この「いい子」ぶりは、どこか信じられず、続編を予想させる。

 大人には、付属のCDの声優Vanessa Williamsの名が懐かしい。アフリカ系米国人初のミスアメリカからモデルに、近年は演技派俳優になった人だ。よくある甘ったるい読み聞かせではない、ごく自然で生活を活写したような朗読は見事。

 

音読のヒント

1. 野菜と好物のアルファベットを一緒に読みながら、Bad Kittyのリアクション(Yuck!Yum!などの感動詞を言う)を真似てみよう。

2.  CDを流し音源と一緒に読み、同時に読んでいる語を丁寧に指でなぞっていく。Letters(文字)とspeech(音)がだんだん一致してくる。

 

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