先日のリードアラウド認定講座第4回のもうひとつの要は、
身体化。
そこで、朗読を口先だけでなく、朗読者の身体のなかから、深く厚みのある表現にするための演習である。
そしてその演習はそのまま、生徒の表現力指導にもなる。
「感じを出して読む」のをモットーとするリードアラウド。
生徒の手本となるべき指導者の表現が、平坦だったり、観念的ではまずい。
まずは、表現を筋肉にさせる演習だ。
声を出さずにscream!
口だけでなく、身体を使って、でも声を出さないで叫ぶ。
なかなか、楽しい光景が広がった。
そして予想外に早々に、みなさんの表情がゆるみ、筋肉が反応しだした。
いい傾向だ。
それから、今度は声を実際に出してもらう。
「え?いいんですか」と、だれか。
ふと、怖くなったわたし。
もしかしたら、これまた予想外に、凄いことになるのか。
ア〜〜〜〜〜
…健全な、そして解放された叫びが、教室内に響き渡った。
本講座の指導者たちが、かなり元々から解放されていることがわかった演習でもあった…。
子どもとの場合、初めてで緊張していたり、解放が必要な閉じた子どもたちに、効果的なWarm-upだ。
次なる身体化演習は、キャラ作り。
課題書『You Are Not Small』の登場者ふたりを、声だけでなく身体から演じ分ける。
大きいほうの登場者を、観念的でなく身体から、それも具体的に5メートルの身長とか、体重300キロとかイメージして台詞を読む。
同様に、小さいほうも、50センチで20キロなどとイメージして読む。
こちらの演習では、なりきり力に差が出たようだ。
この辺のところは、すっかり「大道芸人」力のついたMさんが、思いっきりよくダントツ。
「顔芸」だけでなく、近頃は「身体芸」も意識して、立体的になった。
また、あどけない子どもの表現も、クサさがなくなり自然。
それから、普段の外見から「まさか」と思う表現をするようになったHさん。
昨年から兆しはあったが、本年度になってはっきりと、身体の反応が外に出て、表現者としていちじるしく成長中か。
Nさんの楽し気に表現する姿も印象深い。
芸も大きくなった。芸の「体幹」のようなもの、頼もしさのようなものが感じられる。
今後が楽しみだ。
新人の場合、どうしても声に強さや響きが足りない。
よって、訴求力が弱い。
ただイメージとしては、妖精のようになるのが興味深い。
ひとつの表現として、覚えておきたい。
ただし、残念ながら、今回の課題書の登場者は妖精ではない…。
声の力はあっと言う間につかないが、意識して日常で育てて行けば、必ず身につく。
がんばれ、新人Yさん!
かわいい高声が個性的な中堅Yさん。
近頃は、これまでやや観念的で平坦だった強いひと(かわいくないほうの)キャラもこれまでの観念的でなく、実際に身体的で、存在感も漂い始めた。
ベテランには辛口になるが、パターン化または「そこそこの表現」にしていないかと問いたい。
「踊り場」に到達しても、そこは頂上ではない。
まだいくつもある「踊り場」のひとつに過ぎない。
いつも同じようなキャラを登場させて、「省エネ」にしていないか。
Hさんは、いつも爆発的表現の前に抑制がきく。
いい抑制もあるが、子どもとしてはときに爆発する大人は見ものだ。
自分の枠を広げてみると、新たな開放感があるかも。
Rさんは、新キャラとして、ひとつ「三船敏郎」みたいな動じないひと、というのを作り出せないだろうか。
自分のなかにないキャラも、そろそろ作れる頃?
さて、次回までの課題ひとつ。
ひとり二役。上位のもの(登場者brown)は、右下を見て語る。下位のもの(gray)は、左上を見て語る。鏡の前で練習してみよう。
それぞれの工夫そして精進に期待しよう。
また、次回の新課題はこれ。