リードアラウド認定講座第5回報告:朗読が上手くなる演習〜リードアラウド研究会

絵柄もよく、季節もぴったりということもあってか、今回の課題書『All the World』は、認定講師のみなさんの前評判が高かった。

 

文字は少ない。簡単な言葉だ。だが、言葉の描くイメージが、手元から天高く、大きな地球をも感じさせる大きさを持つ。

これを、文字面だけみて、「語彙を教える本」にしてしまったり、単語をきれいに発音するだけの「朗読」にしてしまっては、本に申し訳ない。

 

まずは、読解と分析をする。

思ってもみなかったことや、気づかなかったことが見えてくる。

特に、言葉が簡単なので、読むだけで、そこからイメージを立ち上がらせ、そこからの意味を測ることまで、「予習」していなかったりする。

いっしょに読解、分析したあと、演習をした。

その演習が、ことのほか、みなさんの表現を深めるのに効果的だった。

 

その演習とは…

本文に何度か挙げられた、イメージを喚起する単語の集まり、例えば Rock, stone, pebble, sand、

これらは簡単な単語で、すらすら(普通に)読んでしまうと、聞いている人に何のイメージも喚起しない。

その「すらすら読み」を豊かな表現ある読みにするのに考えた演習だ。

ペアになり、その単語のイメージをマイムする相方を見ながら、もうひとりは同じ単語を言う(読む)。これだけ。

Road, street, track, path というのもあった。

いくつも、関連づけて連ねられたこれらを、イメージを見ることで、読み手のなかで「単語」から言葉という有機的なもの、身体的なものに変換される、のだろう。

おみごと!

マイムとともに笑い声もあちこちで上がる、楽しい時間でもあったが、

みなさんの読む声が、それなりにイメージを浮き立たせるものになったのである。

予想以上のめざましい変化で、「これなんだ!」と、わたしにも発見だった。

 

ただし、このときできた表現の「回路」のようなものは、水泳や自転車乗りとは違って、一度できたからと、一生それが続くものではない。

濡れたら伸びてしまうスカートのひだのようなもの?

しょっちゅう、「アイロンがけ」が必要だ。

そうするうちに、くせがついてくる。勤勉にすれば、「パーマネントプレス」になると思う。

 

講座では見違えるようになったみなさんも、ペア練習はそうそうできるものではない。自習になるが、そのときはイメージ力で。

単語を「単語」として読むのではなく、それが意味するものを脳裏に思い浮かべ、それを見てから「言う」。

 

次回まで、どうぞこの練習を、ときどきはしてみて。

仕上がりを楽しみにしています。

次回は9月14日

 

夏だ、ライブに行こう!~リードアラウド研究会

 

英語絵本のリードアラウドを、絵本を読んだり読ませたり、英語と本を楽しませるパフォーマンスと考えると指導者には、なんでもいいのだが幅広く生の芸、ライブ会場に足を運ぶことがいい刺激になる。

「ビデオを見ればいい」「臨場感を伝えるレビューを読めばことたりる」「本で学べる」という人もいるが、リアルだけが伝えられるものが絶対にあると思う。

 

リードアラウドの指導者向け講座も、オンラインのレッスンがある。同時に対面しているライブはライブだがネット上であって、生身ではない。

やはりリアル講座にはオンラインでは得られない学びがありました

という感想を、わざわざ遠方から「生」に足を運んでくれた受講生からいただきもする。

 

頻繁でなくても、たまに、特に行き詰まっているときなど、「生」がいい刺激になる。

 

そんな、リードアラウド指導者にオススメのライブ。

どこがどういいのか、といえば…

 

まず、その演者の息遣い、熱量、その周辺の空気を感じられることがある。

ちょっとした戸惑い(のようなもの)や、安堵やときに不安などが目に現れる。言葉の端にあらわれることも。それが、どういうところでだったか。どうしたかったのだろうか。自分の思考が始まったりする。

それから、会場に放出される熱量を感じること。いったいどのくらいなのか。ライブなら、肌に、耳に、目に伝わってくる。

声の強さ、息継ぎ、演者の汗も。

また、姿勢、動きなど、自分の目のカメラで見るから等身大だ。

 

ライブがいい(上手い)と言われる演者のものを経験することは、特に刺激的だ。

舞台に立つと、彼らは最初になにをするのか。

 

「元気かい?」

「ロックするき満々かい?」

「今を楽しんでいる?」

問いかけ、返事をさせる。観客に、参加させるのだ。

観客が消極的なら、もう何度か、返事の声が大きくなるまで声をかける。

どこまで「しつっこく」するのか。

うまい人は、そのぎりぎりの読みがうまい。

また、こういう呼びかけは冒頭だけでなく、途中、ちょうどいい楽曲を挟んで、何度か繰り返される。

 

運びにメリハリをつけるのがうまい。

元気に盛り上げたら、しんみりバラードを挟む。

アップテンポからスローへ、そしてまたアップテンポへ。

観客が長いと感じそうになる頃には、会場に「イエイ、イエイ、エー」や、サビの部分など簡単なフレーズをふって、歌に参加させもう一度、一体感を作る。

 

会場の四方全部を巻き込む努力をしているのにも、感心する。

客席後方にいる観客が静かだと感じると、

「そっちのほう、ノッてるかい?」

「両手をふって答えてよ、ノッてるかい?」

声が届かない観客にも、手を挙げさせたり降らせたり、できることで参加させる。(そういえば、ハーバード大学の倫理学人気教授の5000人規模の公開授業のときにも似ている)

演者自身も体で多くのサインを出す。

リフレーンのところ、ファンキーな音にみんなの体が揺れていると感じたら、高々と指を1本上げて、繰り返しを示す。

方々を指で指す。拳骨にする。広げる。手、指の先まで観客に向けて働かせる。

体を左右だけでなく、上下させる。

しゃがむ。寝転ぶ。右に寄る。左に寄る。

両腕も泳ぐように動く。

こうして、見えにくい席の観客にも、よく見える瞬間がときどき訪れる。

観客は、まるで赤ちゃんだ。

あやされて、退屈ということがなくなる。

 

衣装も、わかりやすい。簡単に言えば、遠くからもわかりやすく、派手だ。

たとえば、先日見たキーボード奏者。

60代には見える「年配」だったが、白髪に映える素敵な貴公子のような帽子と紫のジャケット。

中年にさしかかっている男性リードシンガーは、肌を見せる黒のひらひらブラウス。

ジャズのライブでは、サックス奏者のバンドマスターは金色のスニーカーがcoolだった。

ショービジネスだから、という理由もあるが、先生でも品格を保ちつつも、それなりに「花」が必要と思う。

それは決して過剰なる自意識からくるものではなく、観客(生徒)をより集中させ、先生の元気さ、エネルギーを象徴的に示すことである。

同時に、ちょっとは観客の目を楽しませようというサービス精神か。

 

さあ、屋内派のみなさん。

この夏、またはいつでも、ライブに行ってみよう。

 

 

 

 

「面白がる気持ちを!」絵本リードアラウド認定講師講座[一日講座]【夏】報告 その2〜リードアラウド研究会

Go Away, Big Green Monster!

『絵本リードアラウド認定講師講座[一日講座]』のもうひとつの目的は、リードアラウドらしい指導方法を学ぶこと。

指導方法その1は、発問し答えさせながら進める双方向型。
まずは、模擬授業で、自分たちがいかに一方向型に傾いているか。その結果、生徒が参加する機会を潰していることに気づいてもらう。

教える代わりに、生徒に問いかけて答えさせて、導く。これが難しい。先生というものは、つい無意識に説明をしてしまう。つまり、答えを先に出してしまうのだ。無意識なことが多いので、模擬授業中にその「しっぽ」を掴んで、自覚することが大切だ。

たとえば、今回こんな場面があった。ひとりの先生役が、読解と表現の指導の際、「この緑の顔、見てどんな気持ちがする?」と発問した。
これがバツ。この発問のなにが問題か? 答えは「この緑」「顔」。この二点がまずい。

「これは、何色? 英語ではなんて言う?」「緑色なのはどの部分?」というふたつの質問をすっとばして、先生が最初から言っちゃった……。「それだったら答えられたのになあ」という子どもの声が聞こえてきそうだ。できるだけ、子どもが答えられそうな発問をし、答えさせてからどんどん次に繋いでいく。

「繋ぐ」というところで、指導方法その2。生徒の答えを「Yes, and」で繋ぐこと。「Yes」で肯定する。「and」で足りない情報や加え、深める情報を付け足したり、展開させたりする。

たとえば『Go Away, Big Green Monster!』の鼻が出てくる場面。生徒が「nose」と答えたあと、「これ、そうnoseだね。じゃ何色かな?」とふたたび発問する。

生徒A「green!」。生徒B「blueじゃない?」ここで指導者が「greenでもないし、blueでもない」と言うと、「No」になってしまう。「あ、greenにも見える。うーん、blueにも見えるなあ。」これで、AとBふたりを肯定した「Yes」になる。

「and」で、新たな情報を与え、学ばせる。指導者は「じゃ(and)、本にはなんて書いてあるかな?」と発問。生徒から「bluish – green」を導き出し、一緒に読み、形容詞「bluish」を紹介することが、「and」になる。

人の性とでも言うのか、つい「No」(「うーん」「でも」「そうかなあ」などの言葉を発したり、無言だったり、首を傾げたり、怪訝な顔をしたり)をしてしまうことが少なくない。模擬授業で、わたしたち指導者のこの否定癖の「しっぽ」をつかまえた。自分を肯定されることで、大人も子どももやる気が起こるというもの。『絵本リードアラウド認定講師講座』では指導者に、子どものやる気を起こさせる指導を学んでもらう。

指導方法その3は、参加を促すと同時に緊張をほぐし、結果、発言しやすくすさせるアクティビティの指導を紹介した。「Shake out」など、ほんの数分でうそのように気分転換と緊張をほぐす効果がある。実感していただけたのではないだろうか。指導者自身の表現を豊かにする演習でも行なったシアターゲームで、面白さや愉快な気持ちを感じたと思う。これが生徒にも効くはず。感情表現の練習はもちろんのこと、集中させたいときにも使える。

今回も、またまた盛りだくさん。やったことは、タンスにしまっておかず、どんどん使って欲しい。

英語指導者のためのシアターゲーム・ワークショップ

英語の先生、シアターゲームで遊ぶ!〜リードアラウド研究会

久しぶりに、先生向けのシアターゲーム・ワークショップを企画した。9月23日(祭日)。 知れば知るほど奥が深いシアターゲームを、一人でも多くの先生に知ってもらいたい。 今回のワークショップでは、時間をたっぷり使って、まずゲームを楽しんでもらおうと思う。 どう進行させるかは、そのあとで。

前回までは、解説や説明を間に挟みながらの進行だったので、勉強熱心な先生たちは「勉強」の方に意識が行ってしまったかも。 シアターゲームの本質(楽しい!)を伝えるという意味では、ちょっと不完全燃焼感があった。 先生であることを忘れて、遊ぶ人として楽しさを経験することが大切だと思う故の今回の企画である。 これまで大人から子どもまでのリードアラウドのクラスで行ったものばかりを、実際の使い勝手を踏まえて紹介したい。

ここで、「シアターゲームはどんな場合にどう役立つの?」という疑問に対する答えの例を、いくつか挙げてみる。

場合1
初対面の人同士で、空気がぎこちない。そのままだと、発言など出ず、双方向型進行なんて無理。
icebreakerタイプのゲーム。しっかり相手を見たり声がけをしたりするので、緊張が緩み発言しやすい雰囲気になる。

場合2
声が小さい。エネルギーが出ていない。結果、クラスが沈滞している。表現が死んでいる。
Energizeゲーム。いやでも叫ぶことになる。ムキになってついつい大声に。

場合3
気が散っている。ざわざわしている。クラスがばらばら。
集中させるゲーム。相手の息遣いまで聞こえるほど集中することも、ゲームならでは。

場合4
新しい語彙がたくさん出てきたが、覚えてもらえない。新しい語彙を体に染み込ませたい。
Word Ballゲーム。wordを言いながら、ボールを投げたり捕ったり。二つの全く違う動作を同時に行うことで、脳に負荷がかかって、記憶に引っかかりができる。

場合5
知っているはずの語彙が出てこない。既習の語彙の棚卸し。記憶の奥に入っている語彙を引っ張り出して、いつでも反射的に使えるようにする。
連想ゲーム、語彙ゲーム。ボールを渡し合いながら、または手でリズムをとりながら行うことで、記憶の出し入れがスムーズに。

場合6
音読・朗読が平坦。表現をもっと豊かにさせたい。
相手のマネから始める表現ゲーム。感情をどんどん増幅させるゲームや、相手のジェスチャーからどんな感情を表現しているかをあてるゲームなど。感情が言葉にのるようになると、英語も伝わりやすく大変身。

場合7
Writingを初級者にどう教えたらいい? Speakingは?
場面や物語を作るゲームを英語で行う。ゲームのおかしさで、ブロークンでも気にならず、口数が増える。言い直す機会を作れる。

などなど。まだまだ、使えそうなゲームがたくさん。数え上げたらきりがない。脳科学や認知心理学などで、こうしたゲームでの脳の働きとその効果が科学的に証明されつつある。 魔法でも、おまじないでもない。 すべて解明することが難しくても、効果的であることが科学的に少しずつわかってきた。 使ってみませんか、シアターゲーム。

シアターゲーム・ワークショップ

Magic School Busシリーズ〜キッズブックス英語スクール

リードアラウドのカリキュラムでも、かなり文が読めるようになってきた小学生中学年以上には、ノンフィクションの絵本も使う。

今週から、Magic School BusシリーズのHuman Bodyを読む。これに先行して前回から読み始めたのが『Parts』。こちらはフィクションだが、テーマは同様にHuman body。

絵本のリードアラウドで、本を読めるようになってきた生徒たちに、ときにノンフィクション系の語彙も学ばせたい。

年相応の語彙として、たとえば「大脳」とか「動脈」とか。山ほどある。

昨年度の高校一年は、『World War II』を、歴史や社会学系の語彙をまなびつつ、歴史的事件などをディスカッションした。

アメリカの大学に入って愕然としたのは、大学生としての英語の語彙の貧弱さだった。

だから、今から生徒たちの読む分野を広げ、語彙を広い分野から身につけさせたい。

さて、本年度。

力がついてきた小学生クラスで、Magic School Busである。

「絵本なんて小さい子の読む本じゃない?」なんて態度が少しでも見えたら、どかんとノンフィクションに挑戦させてみよう。

まだまだ「小さい子」の英語にも追いついていないこと、うすうす知らせ(やる気をくじかない程度に)、ノンフィクションの情報を学ぶ楽しさも示そう。