『Crow Boy(からすたろう)』を大人と読む〜リードアラウド研究会

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新宿の朝日カルチャーセンターで、「声に出して読む英語絵本」の講座を担当し、今期2冊目は八島太郎著『Crow Boy』を読んでいる。

本書は『からすたろう』として、作者本人の日本語訳も出版されていたので、図書館などで目にした人も少なくないだろう。

戦前の日本の村の小学校でひとりの「変わった子」と周囲の成長を、ナレーターの目を通して見ていく物語だ。

現在の小学生にも、かつて小学生だった人にも、きっと思い当たる、学校にいる(いた)「変わった子」。そんな子に対してとった態度は、理不尽なものではなかったか。

ナレーターの目には、ひとの本質に問いかける力が宿っているようで、読んでいるうちに、自分はどうだったかと心がざわつく。今にも、だれにも通じる普遍的なテーマがあるようだ。

 

カルチャーセンターの受講者たちは、この講座で、字面を「上手な英語」ですらすら読むのを目的としているのではない。その先を目指している。

つまり、文に込められた感情を読み取り(読解し)、自分の声や口調にその感情を乗せて、語るように文字を声にする。

つまり、絵や文字でかかれていることを声にして表現し、聞いている人にかかれている事実や心を伝達するのである。

 

表現すること、この機会は今の日本では本当に少ない。

能面のように無表情で、最小限の言葉を「省エネ」のように最小限の感情だけで平坦にしゃべるひとも多い。うれしいのか、悲しいのか、顔と言葉だけでは分からないこともある。

カルチャーセンターでのリードアラウドは、大人にとっては一種の「芸事」でもあるが、それは物語として描かれた文字から読み取った感情を、英語に乗せて表現するという表現の場でもある。

この「場」だが、受講者を見ていると、どうも芸が磨かれるだけでなく、精神衛生的によろしいような。

みなさんのいい表情を見ていると、そんな気がする。

 

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