(「英語絵本から英語読書へ(その1)」の続き)
将来の英語読書の入り口となる絵本を、子どもに楽しませるには、どんな本を選んだらよいだろうか。
分かりやすい選書の目安を挙げてみる。
- 各場面で、挿絵から文の内容がほとんど想像できる
- どちらかというと、文より挿絵の方が物語を語っている
- 文字が多い印象を与えないよう、レイアウトやフォントが工夫されている
- 行間の意味を探ったり、想像を膨らませたりする余地のある文学性やユーモアが感じられる
- 音読すると、押韻やリズムなどが心地いい
ところが世間では、「子どもに英語絵本を」というと、勉強と直結して考え、頭の中で絵本が教科書に置き換わる人がときどきいる。
だが、英語の教科書の文章には、まとまった文学的な主題はなく、分析したくなる登場人物もいない。
代わりに、学習要素が効率よく詰まっている。
学ばせたい構文や単語が、便宜的に、あるいは、日本英語教育界の伝統や力のある関係者の説に沿って並んでいる。
それに対して絵本は、どちらかといえば発達心理学に沿っているし、文学的だ。
文法や語彙のレベルより、子どもの心理や情緒を第一に考えている。
だから、絵本の英文を勉強的に見ると、文字がぽつんぽつんと少なく、簡単そうに感じるかもしれない。
字が詰まっていなくて、絵が勝っている絵本だと、幼稚すぎると思うかもしれない。
でも、英語絵本の多くは文学作品だ。
俳句や詩のように、余白や行間に意味があり、想像する喜びが埋まっている。
お子さんが文字面を読めているようだと、「この絵本は簡単すぎる」と感じる親御さんもいるだろう。
しかし、少なくともリードアラウドのプロが選んだ絵本だったら、もう一度考えてほしい。
「余白に意味があるのかな?」
「想像を膨らませやすく、なにか学ぶ機会があるのかな?」
そして、「字面が読めるのだから、深い読解の機会が得られるかも」と、絵本を一緒に読む時間におもいきり期待してほしい。