(15年近くもリードアラウドの対象にしてこなかった人気絵本『The Very Hungry Caterpillar』を、昨年ついに「認定講師講座」でとりあげた。先日の葛飾区の親子向け絵本講座でどうリードアラウドしたのか)(その1)の続き。
世間の「読み聞かせ」にならって、一通り読んで聞かせ、それから絵札などを交えて、数を数えたり、曜日、食べ物の名前を挙げてお茶を濁すのか。
No!
リードアラウドでのモットーは、読み聞かせず「子ども自身が読む」。
では、何の字も読めない年齢の子どもの場合はどうしよう?
読めないなら、「(子ども自身が)言う」。それも英語を言う、ことにしよう。
そしてもう一つ「豊かな表現で」というモットーだが、ある表現をするにはその裏付けになる読解が欠かせない。
幼児に「読解」ができるのだろうか?
「年相応の読解」で、良しとしよう。
英語の読解は、写真の解像度のようだといつも思う。粒子のぴっちり詰まった100%の「解像度」を求めず、発達段階や、英語習熟度の違いを鑑み、そのまちまちの「解像度」でそれぞれが英語絵本を楽しめばいい。
ぼやっと浮かび上がる絵から、だんだん輪郭が見えてきて、背景も浮かび、立体感が出て……、子どもが英語絵本を読んでいくのも、このような過程をとるだろう。
大切なのは、リードアラウドする指導者の目的意識だ。
子どもが、本の内容を(一部でも)理解して、それにあった表現で本文を(一部でも)読んだり言ったりするように導くこと。
年齢が低い場合、または英語の習熟度が低い場合には、この逆のアプローチもとる。
つまり、分かりやすく大きめの表現をつけて本文を言ったり読んだりさせてから、その表現するところの意味や内容を(一部でも)、具体的、身体的に分からせること。
さて、具体的に本書でならどうするのか。今回は、乳幼児も混じる低年齢の参加者を想定して、「解像度」をより低くセット。
絵本に描かれているのは、一言で言えばcaterpillarのこと。さらに言えば、caterpillarの生態だ。
まずは、そのテーマを分からせる4語に狙いを定めた。egg, caterpillar, cocoon, butterfly。
eggから生まれて、小caterpillarから大caterpillarに育ち、cocoonになって、最後はbutterflyになる一生だ。
そこで思いついた、シアターゲーム(参照1)のwarm-upゲーム。そのコンセプトに則り「caterpillarの変態ポーズ」を編み出した(ちょっと大げさか)。
egg 、殻を被ったポーズ
little caterpillar、小さな蠕動運動、
big caterpillar、大きな蠕動運動、
さなぎ、cocoon、ツーンと固まったコーンスタイル、
butterfly、畳まれていた羽を優雅に広げて羽ばたく運動。
これらのポーズや動作を、発音に注意を与えながら英語で言いながら行う。何度も言う。
コレ、クセになるんだなあ、特に蠕動が。
小学生もクネクネ、6ヶ月の赤ちゃんが体を支えられながらも、「イモムシ」のように笑いながらクネクネ、そばでお父さんも「caterpillar!」と言いながらクネクネ。
本に描かれた、caterpillarの生命力、butterflyになった喜び、そんな表現の第一歩が踏み出せたかな。
参照 1: シアターゲーム
もともとは、俳優の表現力と即興力を高める演習として、20世紀になって始められた。演技指導者であったViola Spolinが、「theater games」として体系づけた。のちに、参加者の集中力や発想力を高め、共感したり協同したりする力や自己肯定感などを、効果的に養うことが認められ、教育界やビジネス界にも広まった。Improv games、インプロ ゲームとも呼ばれる。