小学生の英語でどんなことが起きているか(いないか):その3〜リードアラウド研究会

公立小学校の英語では、まだ起こっていないが、これから起こって欲しい(好ましい)ことについて書き始め(「その2」)、今回はその続き。

 
2. Speak out!(声に出して言葉を届けること)
 
 
現行の指導要領で、
 
「外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ,
 
外国語による聞くこと,読むこと,話すこと,書くことの言語活動を通して,
 
コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。」
 
 
とあって、なるほど、という具体的な目標が挙げられている(本稿末参照)。
 
 
わたしの関わった小学校でも、これにそって、生徒一人一人が、タブレットを駆使して、
自己紹介、
学校紹介、
街紹介、
自分の夢紹介など、
ビデオを作ったり、あるいはプレゼンテーションの原案や「台本」を作った。
 
下調べや原稿、発表の資料作りに関して、今の小学生はいいなあ、と思った。
 
資料をインターネットで検索できるし、音声録音も撮り直しし放題、個々の発音も調べ練習ができ、写真もイラスト描きも、タブレットでできることが計り知れないほどある。
 
 
2、3時限を準備に使い、いざ発表、となった。
 
……これが、
 
かなりもったいない結果なのだ。
 
 
及第点の生徒もぽつっといる。
ところどころ、面白い内容もなくはない。
 
 
でも、プレゼンテーション、発表としては、概して魅力が薄い。
 
 
原因を考えた。
 
1. 声が聞こえない。聞こえにくい。
 
2. 表情がないか、暗い。または観衆に向けた表情がない。
 
3.声がたとえ聞こえても、棒読み。または、棒読みを暗記した自動再生機械のような音声である。
 
 
あ〜あ。
「コミュニケーションを図る」のが目的じゃないのか?
 
一方的に、そしてほぼ苦しそうに、何か呪文やお経にようなものを吐き出す人と、「次は私だ」という思いなど強くて、「同類を憐れみる」感じで、何を言っているのかわからない発表にも優しい人たち。
 
 
「コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を育む」気があるなら、指導するものとして、これでお茶を濁してはいけないだろう?
 
 
日本語でも人前でしゃべるのが難しい生徒がいるのは知っている。
英語に「自信がなく」声が小さくなるのもわかる。
マスクをしていて、こもった声になったかも知れないもわかる。
 
 
でも、意思疎通が目的のレッスンじゃないのか。
 
 
しかし、これは授業を今、担当している先生方の責任ではない!
 
 
 
今のままの文科省の教材や指針で、生徒の英語でのコミュニケーションを図れと個々の先生の「努力」を期待するのは、方向が違うだろう。
 
 
今の教科書や指導要領で、「自然にうまくなる」ことは期待してはいけない。
 
英語でなくとも、コミュニケーションがそううまい国民性でもないのだから。
 
 
今の日本の小学生の、コミュニケーション力向上には、別な指導がいるのではないか。
 
(「その4」に続く)
 
 
参照「小学校指導要領平成29年度版」より
p.156外国語
外国語によるコミュニケーションにおける見方・考え方を働かせ,外国語による聞くこと,読むこと,話すこと,書くことの言語活動を通して,コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1) 外国語の音声や文字,語彙,表現,文構造,言語の働きなどについて,日本語と外国語との違いに気付き,これらの知識を理解するとともに,読むこと,書くことに慣れ親しみ,聞くこと,読むこと,話すこと,書くことによる実際のコミュニケーションにおいて活用できる基礎的な技能を身に付けるようにする。
(2) コミュニケーションを行う目的や場面,状況などに応じて,身近で簡単な事柄について,聞いたり話したりするとともに,音声で十分に慣れ親しんだ外国語の語彙や基本的な表現を推測しながら読んだり,語順を意識しながら書いたりして,自分の考えや気持ちなどを伝え合うことができる基礎的な力を養う。
(3) 外国語の背景にある文化に対する理解を深め,他者に配慮しながら,主体的に外国語を用いてコミュニケーションを図ろうとする態度を養う。
 
 
 

コメントを残す

CAPTCHA