英語絵本を「研究」する、我がリードアラウド研究会。本年度の「研究課題書」は、Ed Young の『Seven Blind Mice』。
伝承の昔話、もともとは盲目の7人の人々がゾウというものをそれぞれの触感などから「Seeing」するという、インドを舞台にした話を下敷きに、作者が再話したもの。
まずは、コルディコット・オナー賞受賞作に選ばれただけあって、コラージュのイラストが目に鮮やか、そして切り絵の造形や空間の配置などに、見る人の心を捉える芸術的深みがある。不思議と何度見ても、飽きがこない。
課題書、その第一弾にぴったりの、リードアラウドして味わいがあると同時に、子どもたちに指導して学んでもらえることの多い、宝の山のような、一冊だ。
課題書に取り上げてから改めて読み直して、この感を深めた。
……いやはや。
これまた、一度きりの「読み聞かせ」では実にもったいない一冊だ。
もし、本書を学校の「外国語教科書」として小学5、6年生を教えて、と頼まれたら……。
以下のようなことを、そうだなあ、一学期間一冊だけで教えられる。
1. 疑問詞
5W1H 指導者の発問の、最小限の意味をわかる
2. 数、序数
one to seven, first to seventh
月日の「日」に序数を使う意味を知り、31st まで言える
3. 色
文字で書かれたものを読める。特に難しいwhiteも読める
4. 曜日
「on 〜曜日」と文中では使うことを知る
5. 大文字と小文字の使い方
曜日の頭文字、文章の始め、固有名詞の頭文字には大文字を使うことを知る
6. センテンスの終わりにperiod、途中でcomma、会話にはquotation mark(名称も)
タイプするときの規則、periodの後は2つスペースを開け、commaの後は1つ。
7. 英語の名詞の単数形と複数形
日本語 vs. 英語:一匹のネズミone mouse、7匹のネズミ seven mice
8. Somethingとそれを形容する形容詞
a strange Something, sturdy, supple, wide, sharp, breezy, stringy
とはいえ、今の小学校では、教科の先生に教材を「研究する」時間はお給料に含まれず、勤務時間は教科以外にかなりの時間が取られる。
そして、お上には「英語絵本」のままを教科書として使う発想もないんだろうなあ。
2023年度、第一回認定講師講座を、お楽しみに!