日本で政治家のトップになったりトップになりそうな人は、まるでそれが政治家の能力のひとつのように「英語ができるか」が問われ、人気やら支持率に影響がでたりする。
そのためか、政治家の二世、三世は、軒並み若い頃に英語圏留学した経験者だ。
森喜朗さん、二階堂さん、小泉純一郎、進次郎さん、河野太郎さん、安倍晋三さん、挙げればきりがない。
森さんの英語は聞いたことがないが、進次郎さんの「(環境問題の取り組みは)cool and sexy」や安倍さんの「(放射能もれは)under control」のスピーチなど、まだ記憶にある。
少なくともこのふたりは、英語の発音に関して大人になってから、まじめに意識して取り組んだ感じがする。
そして、このたび総理大臣になった岸田さんだ。
まったく彼の英語についてのバックグランドを知らなかった。
ところが、「NYの小学校に通っていて、自分はマイノリティだったから、マイノリティの気持ちがわかる」とかなんとか発言したことが問題になって、そのついでに英語の背景が広く知られた。
そこで聞いてみた、総理の英語。
あ、これこれ。
SLA(第二言語習得学)でいうところの、臨界期前に英語圏にいた、でも小学中学年くらいから日本に戻って、日本語オンリーになった子どもの英語だ。
つまり、
・ひとつひとつのやさしい単語、日常的な語彙の発音は、無理なくほぼ完璧に発音でき定着している。それらの言葉に関しては、fluentで感情も通っている自然な英語だ。
・小学生の日常では使っていない上級の語彙、母語者は読書や学校の英語の授業や大人との会話で学ぶ語彙になると、発音が怪しくなる。棒読みになる。知らない言葉を読んでいる、たどたどしい感じになる。
・日常的な英語の部分が続けば流暢に聞こえるが、上級な語彙が挟まるとそこで流れが切れる。使い慣れていない感じで、リエゾンも切れ、語りがごろごろする。
・そのような人が自由会話で使う語彙は、英語圏の小学生低学年程度で、英語圏の大人には「かわいい(威厳がない、軽い)」という印象。リーダーであることとのイメージとギャップがある。
もしわたしが、「岸田くん」というNY帰りの小学3年生の「英語をみてくれ」と言われたら、どう指導するか。
readingとリードアラウド、それを通しての語彙でしょう。
読めそうな本、たとえば、『Dog man』シリーズとか、『The Bad Guys』シリーズを何冊も読ませる。しばらくは、質より量で、英語の読書のスタミナと新しい語彙との出会いを多くする。
平行して、『The Cat in the Hat』など声に出してリードアラウドして、ユーモアを聴衆に伝え、笑わせる力を授けたい。
やり直せるなら、「岸田総理のママ」、どうぞ息子さんの指導をおまかせください。