英語を母語としない子ども、そして「遠慮」とか「行儀」とかよりも「直感」がまだ強い年頃の子どもに、英語絵本を楽しませるには、読むわたしたちに本気の心構えが必要だ。
2022年度リードアラウド認定講師講座第一回でも、そうした心構え3つを語ったが、その1がenthusiasmで、それについては先日のブログに記した。
今回はその2、expression、表現について。
読み手が聞き手に、どう絵本を聞かせるか。
ただ漫然と読むのではなく、表現することなのだ、という心構えをすること。
わたしたちの表現は、主に聞かせることであるから、「音響効果」を考えたい。
たとえば、絵本によくあるrepetition。
繰り返しだが、その部分は作者が読み手に「ここを面白がってね」「面白がらせるように読んでね」と願っているところだろう。
効果的に音で、面白がらせる方法をいくつか。
ひとつは、節をつけること。
勝手な節ではなく、英語の流れから考えられる節、抑揚とも言える言い回しだ。
歌で言えばサビにあたるところ。
作者も、知恵を絞って「キャッチーな」音に乗せてあるだろう。
リードアラウドでも、子ども心を捕まえる大切なところだ。
ここで、つっかえたりするのはご法度。
せっかくの盛り上がりで、効果がガタ落ち。何度も練習したい。
しかし、繰り返すので、語り口がゆっくりすぎると、くどくなり飽きが来る。
滑舌よく、音楽のように、リズミカルに、少し速さが必要だ。
この部分の調子がいいと、子どもが勝手に真似してくれる。真似をしてくれたら、大成功。
表現のための「音響効果」は、声の要素(高低、大小、強弱、遠近など)を駆使してだす。
コツは、いつも自分が思うよりも大きく幅をとること。
そしてこのほか、特に日本人のわたしたちは、表現を豊かにするために、
Make a fool of yourself (ばかになる)、を心がける。
目の前のいい大人が、たとえば汗だくでゾウの鼻のつもりの腕をふりふり、「フワーン」とか鳴き声まで出して、elephant’s trunkとtrumpet(鼻からの音) を伝えようとしているの見たら、子どもは思う。
「この大人、面白いな」
目の前でmake herself(himself) a foolしている読み手の、表現しようとしていることを考えてくれる。
リードアラウド指導者のみなさん、
expressionするのだという心構えある読みを、子どもにも、そして家で読んであげる保護者にも、お見せしよう。