『Big Red Barn』を指導する〜絵本リードアラウド認定講師講座7回報告その2

Big Red Barn

指導方法について:

親子で参加できる保護者向け英語絵本の講座・イベントでは、いくら「パパ・ママ向け」とうたっていても、連れの子ども(幼児)を少しでも楽しませて、保護者の感じるguilt(大人の話に連れてきてすまないと思う気持ち)を軽減したい。そこで、アクティビティが必須となる。

今回は、保護者が子どもにかみ砕いて説明すれば一部でも参加できる(一歳未満には本格的な参加が難しいかもしれない)アクティビティ「I Spy」を紹介した。というのも、イラストレーターの工夫もあって、今回の『Big Red Barn』ではとてもやりやすいアクティビティになるからだ。見開きページにあるものを英語で挙げ、参加者に「I Spy(ミッケ)」してもらう。しかし、参加者が知らない単語が出てきて、「ミッケ」と声に出せないことがある。たとえば、「donkey」は知名度が低い。「Weather vane(風向計)」も知られていないのでは。「ミッケ」は、大人たちがこっそり英単語を復習したり、学習したりできるいい機会になる。そこで、参加者が不安に思う単語にあたりをつけ、いかにさりげなく教授するかを伝授した。

さてもうひとつ、『Big Red Barn』のお楽しみは、農場の動物たちと、鳴き声(擬声語)だろう。模擬授業で、「動物オーケストラ」のアクティビティを行なった。登場する動物それぞれに、参加者を振り分け鳴き声を担当してもらう。鳴き声を楽器として、オーケストラを編成するわけだ。指導者が指揮者となって、音の高低や緩急、大小などを指示し合奏する。これは、アメリカのImprov.(即興劇)ワークショップで学んだシアターゲームの応用だ。どれだけ大人を解放させるか、指揮者としての熱さも求められる。

親子向けのリードアラウドでは、どれだけ「英語学習のためになった」「英語の本が楽しめた」という印象を保護者にいただけるかが大切だ。そのためにも、まずは自分の心を解き放ち、楽しむこと。さてこの日、参加した指導者のみなさんも、楽しめたかな。

絵本リードアラウド認定講師講座 2021

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英語の「語彙問題(problems)」〜キッズブックス英語スクール

「英語で書かれたものをなんとか理解するためには、そこに使われている言葉の95%以上を知っている必要がある」ということが、学術的に言われている。

そして、既知の事実として、「読解力は語彙力との相関が高い」ことが知られている。

 

それでは、わたしたち日本人が学校の英語の教科書で、どのくらい語彙を学んでいるのだろうか。

以下に示されている。

 

学習指導要領に基づく英語教科書で学習する語数

  • 出典:「旧学習指導要領」(文部科学省) (http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/cs/index.htm) 各回「学習指導要領」より加工

     

     

    2021年現在は、一番下の段に該当する。

    今の小学5、6年生が、まじめに小学校、中学校、高校でそれぞれ教科書の語彙をすべて学ぶと、4,000から5,000語の語彙を持つ。                                                                            これでやっと、1951年の高度な教科書を選択した当時のエリート日本人高校卒業生と互角になる。しかし、アメリカの調査では、なんと、もっとも典型的な5歳児(!)が10,000語を知っていると言うから、エリート高校生も語彙数で言えば5歳児の半分でしかない。

   

   10歳児なら少なくとも20,000語の語彙があり、日本では大学院に進む人がやっと累積語彙数8,000語になる

   というから、歴然とした差だ。

   わたしが、最初にアメリカに行って、郊外の家にホームステイしたときに、いろいろわからない言葉があっ  て「それってどういうこと?」と近所の子ども(1年生くらい)に尋ねると、真顔で「おねえちゃんなのに、そんなこと知らないの?」と驚かれたのを思い出す。

知らない言葉だらけだった。

 

「語彙問題」、わたしが初めてアメリカへ行ったときからずっと抱え、あの手この手でそれなりに、一歩一歩取り組んできた問題を、今、改めて、指導者として考えていこうと思う。

『Big Red Barn』今更ですが、いいね!〜絵本リードアラウド認定講師講座第7回報告(その1)

10月の課題書は、1957年刊のクラッシック『Big Red Barn』。なぜか今まで一度も、リードアラウドしたことがない一冊だ。このたび、選書してよかった。

同一作者(文)のMargaret Wise Brownの他の一冊、『Goodnight Moon』がgreat green roomへの愛をうたった本なら、これはgreat green fieldへの、そしてそこに立つbig red barnへの愛をうたった本だ。

リードアラウドしてみたら、帰る田園などない自分なのに、一気に田園へ「帰りたい」という気持ちが募った、不思議な力がある本だった。

 

「人の心を動かす本=いい本」だとしたら、本書は少なくともわたしにとって、いい本だ。

 

そして、ワークショップ。

みなさんのリードアラウド、まず聞かせてもらった。

どうも、(演習以前の)before版はそっけない。

感情を入れてみても、どこか表面的というか、型にはまった調子を感じる。

 

この日の表現演習は、本書に特徴的な形容詞の二度重ねから。

 

例えば、great green fieldのようなもの。

気にして見ると、あるある。a great big horseやa very little horse……。ここまで多いと、作者はこれを使おう、と意識していたということだろう。

 

この演習は、「あたり」(効果が大だった)だった。

二人組になって密度濃く(social distanceはとりつつ)行ったのもよかったかもしれない。

本書からひっぱってきたかなりの数の「二度重ね」した語句を、目の前のパートナーに、言い聞かせるつもりで読んでもらった。

意識すればできるみなさんだ。ここで、たっぷりの感情を言葉に乗せてくれた。

本文では、注意散漫になって平坦になる語句も出てきがちだが、こうして抜き出して感情移入を練習しておくと、体にくせがつくものだ。

 

もうひとつのこの日の「ヒット」は、「音をイメージさせる言葉」の演習だった。

 

mooやmeowなどの擬声語だけでなく、pigはsquealし、donkeyはbrayをする、というところのsquealやbrayからも音がイメージされるべき言葉だろう。

これらは、それらしくする。すると文字通り動物的本能で、子どもは「音」にはっと耳を傾けてくれるものだ。

 

擬声語で賑やかになったついでというわけでもないが、農場が舞台の本書にピッタリのアクティビティ、「動物の鳴き声オーケストラ」を紹介した。

これは、大人でも楽しく、子どもなら必ずや楽しんでくれるだろう。

 

方法は、各動物にみんなを振り分けて(ブタとかイヌとか)、指導者の指揮にあわせて、それぞれの鳴き声(oink-oinkとかbow-wowとか)で鳴いてもらう。

 

リズム、声の高低、緩急、大小に変化をつけて、うまく指揮すると、それなりの「曲」ができあがる。

これで動物名、鳴き声にも慣れ、warm-upにもなり、楽しい。

もう動物の鳴き声なんて知っている、という学習者、たとえ大人でも、エネルギー不足の場合に、このようなアクティビティが力をくれる。

(続く)

『Swimmy』を読んでいたらイワシ雲が!〜キッズブックス英語スクール

先日の『キッズブックス英語スクール』小学生クラスでは、久しぶりに対面レッスンをする(しばらくオンラインだった)生徒も交えて、『Swimmy』を読んだ。

以下は、海がどんなにmarvelに満ちているかを表す、作者の並ではない描写のひとつ。

strange fish, pulled by an invisible thread…

この表現、絵を見ただけでは、小学生にはなかなかぴんとこないようだった。「ふっ」どうしようかと、教室の水族館のような大きな窓の外に目をやると……。

みごとな、イワシ雲が! ずらっと並んでいた。

「そうそう、このイワシ雲見て! この『イワシ』たち、みんな並んで、まるで見えない糸に引かれているみたいじゃない?」

すると、普段から静かであまり喜怒哀楽が見えないひとりの生徒が、「うんうん」と外を見て深く頷いた。幼い生徒たちは「ほんとだ、ほんとだ」と歓声をあげている。

いやあ、good timing! 説明に困ったとき、雲で絵を描いて見せてくれた、宇宙かどこかのだれか様、どうもありがとうございました。

Swimmy

キッズブックス英語スクール 絵本リードアラウドコース(体験レッスン)

『Blueberries for Sal』をリードアラウド指導〜絵本リードアラウド認定講座第6回

リードアラウドを始めて約20年、世の中の「子ども英語」の進化はめざましい。

東京都内に住んでいると「英語保育園」「プレスクール」のマイクロバスが何台も行き交い、新聞ちらしも目につく。園によって程度の差はあるだろうが、一応「英語で保育」をうたっているそのようなところを卒園した小学生もそう珍しくなくなった。

「英語で保育」された子どもたちが、そのまま普通の日本の小学校へあがった場合、親御さんは「英語を忘れてしまう」と残念に思うかもしれないが、意外に「音」は残る。

 

リードアラウドでは、こうした英語の音が幼少時にインプットされている子どもにも対応もしている。

今回の課題書『Blueberries for Sal』は文字数が多く、大人が読み聞かせることを前提とした絵本の指導を考えた。ちなみに文の難易度を示すLexile指数は600L、readersならLevel 4以上と思われる、なかなかの難しさだ。

 

さてこのような絵本の場合でも、リードアラウドの認定講師として指導する必要条件は、もちろん

Reading fluency!

 

指導者がきちんと論理的にも、文を読解できていないと読みがfluentでなくなり、生徒に最低限の意味さえ伝わらない。

リードアラウドの指導で取り入れているシャドーイングだが、それをする際にも、手本となる読み手(わたしたち)に大まかな文意を伝えられるほどのfluencyがないと、後に続けて文を復唱する生徒はうまくできない。

 

生徒をよく学ばせるには、指導者のレベルアップが不可欠だ。

 

今回の課題書は、センテンスに長いものがあるだけでなく、物語も長い。

そこで、長い物語を退屈させないための二つの方策、Fluencyを高めることと、指導者が物語の構造をあらかじめ考えて、生徒にそれを大づかみさせること、を演習した。

 

ヒトの親子(サリーと母)とクマの親子が、ひとつの丘を挟んで、ほぼ対称的な行動をとり、頂上で親子が入れ替わり、それを知ってびっくり。それから、何事もなかったように、もとの組み合わせに戻ってめでたしめでたし、という構造だ。

 

構造を掴めば、物語が見えやすくなる。簡単に感じると、話が短いと認識する。

子どもの絵本に「繰り返し」のパターンが多用されるのも、長いものを短く感じさせる効果。

同様に「対称性」も、もうひとつ知恵が進んだ子ども向け、そして大人向けにも、同様の効果が望める。

 

今回は、こうした物語の構造の認識と、それを生徒に意識させた模擬指導、また、生徒に意味を取りやすくする指導者自身のreading fluencyの練習で、3時間が飛んで行った……。

 

次回の絵本リードアラウド認定講師講座(二子玉川)は10月16日『The Big Red Barn』。

オンライン認定講師講座は10月12日『Hop on Pop』