絵本リードアラウド・オンライン集中講座『The Watermelon Seed』〜リードアラウド研究会

今年のゴールデンウィークに開催した『絵本リードアラウド認定講師[オンライン集中講座]』では、課題書『The Watermelon Seed』がsold outしてしまったため、数名の受講希望者をお断りしてしまった。そこで、『The Watermelon Seed』の再入荷に合わせて、再び開催した。

The Watermelon Seed and Good Night Owl 2-In-1 Listen-Along Reader: 2 Funny Tales [With Audio CD]

対象は、いつものように、英語絵本の読み聞かせをしている人、これから始める人や、英語の指導者だ。なのだが、今回は「自分の子どもに読みたい」という熱心なママとパパの参加者があった。日曜日、3時間にも及ぶ英語絵本の「特訓」に、忙しいパパやママが参加する?! 10年前には考えられなかった状況に、日本もいろいろな意味で進んだなあとつくづく思う。喜ばしいことだ。

午前中は講座の目的などを確認後、朗読を磨く時間。英語がまだわからない子どもに絵本を楽しませるには、絵と朗読だけで場面や物語がたちあがるような、表現豊かな読み方をしたい。読み方が平坦だと、結局、逐語訳したり、たくさん説明したりすることになって、子どもが飽きてしまう。たいていの皆さんは、たいへん上手に「普通に読む」ことができる。ここから、普通じゃない、メリハリのある、表現豊かな読み方に近づけるのが目標だ。

それからもう一つ。意識改革のようなことだが、「子どもが楽しめるから読んでやる」という動機だけでなく、大人自身が「絵本を読むこと、英語を読むことは楽しい」と知るきっかけにしたい。子どもは、ほかの人、特に近しい人が楽しんでいることに興味を持つものだ。

手始めに、絵本の分析をする。読もうとする人が忘れがちなこと。絵本を読む上での盲点は、本文が誰の声か認識していないことだ。誰だか考えていない声でなんとなく読んでは、本の持つ「物語」が伝わらない。

この本のナレーターはひとり、主人公のワニの少年だ。その少年のプロファイルを作った。何項目もある性格分析リストのこだわりに、みなさんは「ええ、なんでそこまで?」と疑問を持ったかもしれない。でも(たかが)ワニの少年の「些細なこと」にこだわっているうちに、なぜか愉快になってくる。演じてやろうじゃないか、という気になってくる。このころから、大人としての心の解放がされ始めたのだろう、発言が活発になり、皆さんの「お茶目」が少しずつ出てくる。メリハリや感情など、Fluent readingの要素が、いくつかの演習で意識されてきたようだった。

そして後半、午後の90分はリードアラウドの指導方法。もともと子どもは、学びを楽しむ。だがその楽しみを、大人が「教え込み」や「講義」で奪うこともしばしば。リードアラウドは、教え込まない。代わりに、子どもの発言を引き出すよう、双方向型で進める。子どもの発言を待っても、なかなかな出ないことが多いので、積極的に問いかける。問いかけ方や、読解に結びつく発問を、模擬指導を通して学ぶ。

あるページで、子どもに分かってもらいたいことはなにか。自分から言ってしまわず、子どもに尋ね、子どもから引き出す。例えば「スイカが大好きなワニがいた」と始めずに、「このワニの子が食べているものはなーに?」から。こつは、ピリオドを、クエステョンマークにすること。

ときどき「なにを聞いていいか分かりません」の声が聞こる。助け舟を出しつつ、どうにか「あ、そうか」という納得の声も聞こえてきた最終場面まで、皆さんと「完走」。

最後は、お楽しみの朗読 「BEFORE/AFTER」のAFTER。講座の始めに「普通に」読んだ朗読と、3時間に及ぶ講座後の朗読を比べる。

さて……。

AFTERは、受講者の皆さんに講評をしてもらって確認したが、私がまず気づいたのは、表情の違い。gulpやらburpやら、擬声語でさんざん声を出し、照れが消えたらしい。それまでも笑顔があったが、AFTERの笑顔は清々しい。

それから「絵本なのに奥が深い」という感想が聞かれたように、それまで上からだけ見ていたような、ときどき木で鼻をこくるようなところが消え、この物語への愛着やらリスペクトのような感情が見えてきた。そういった感情が、まだまだ動物的勘を残す子どもに伝わる。大人が「いい」と感じていることを察知して、興味を持つことにつながる。

「メリハリが出た」との感想もあった。確かにそうだった。「メリハリ」がどこから来たか、声の要素や表現の表出方法など、今後に役立ててほしい。体に覚えさせること、意識を高めることなど、今後もわたしの講座が役に立てることもあるだろう。

絵本リードアラウド認定講師講座オンライン

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