長く読み継がれてきた『Goodnight Moon』。日本で、この本について大人から時々聞くのは「どこがいいかわからない」「好きじゃない」という、わたしから言わせていただけば、「不当な」印象だ。
今はこんなことを言うわたし自身も、実は15、6年前は、自分の感想は非常に淡白なもので、ただ「いいですよ」という伝聞として、人に勧める程度だった。
ところが、特にこの5〜6年で、開眼。
読み直す機会を得るたびに新発見をし、以来、リードアラウドの課題書としても積極的に取り上げている。
そんなことで、こんなわたしの発見などを踏まえた、「深読みの会」を馴染のブックハウスカフェで開催していただいた。
金曜日の夜に、大人が本当にこんなニッチな話を聞きに足を運んでくれるのだろうか。
本気で心配していたが、初回として丁度いい人数の方にお集まりいただけた。
ほっ。
集まった方の中には、「自分は好きになれない、この本が愛され続けるわけを知りたい」と人も、やっぱりいた。
さてさて。何をお話したか。
わたしにとって大きかった、二つの発見を中心に進めた。
「この本のナレーターは誰れなのか」
「old ladyのhushで変わる部屋の環境について」、
参加者と実際に音読しながら、これらを考えながら読解を深めていった。
かつて、自分がいかにこの本をちゃんと見ていなかったか、当時の自分の頭の中をよく覚えているので、参加者の見方もほぼ想像がつく。
時の流れを作者はかなりしっかりとメッセージで出していること、これに気づいていなかった人は、少なからずいたのではないか。
また、部屋にいる、old ladyがキーパースンで、hushと3度するが、そのたびに、Bunnyと部屋に変化が起こること。これなど、なかなか気付かないものだ。
そして、これら視覚的な催眠効果に加えて、聴覚的な催眠効果は、ちょっと見、ちょっと聞きよりも凝っていること。この発見などは、読み方にかなりの変化を生む。
参加の皆さんに、最後に「何か今晩の話で発見はありましたか」と尋ねた。そこで、皆さんがそれぞれに発見をし、これからこの本の読み方が変わりそうな気配がしていたのは、とても嬉しいことだった。
「どこがいいかわからない」との方も、「こんなに面白かったのですね」と。
よかった、よかった。そう言っていただけて、本当にありがたい。
さて、次回もブックハウスカフェから、お声がかかるか?
『The Giving Tree』あたりで、深読みをしたいものだ。