とても気持ちのいい読みっぷりである。
さすが、わたしが「リードアラウド」を始めたきっかけにもなった、大先生。
これぞ、手本とする読みだ。
彼女のread aloudと子どもに対する考えは、著書『Reading Magic』
に詳しい。
彼女は本に書いたり説くだけでなく、実際のパフォーマンスも素晴らしい。
今は専業絵本作家だが、以前はRead aloudを児童教育者やその卵たちに教えてもいた。
技術も素晴らしいが、一番の魅力は、人への愛とその前向きなエネルギー。
いつも表情が輝いている。
さて、このread aloud。
細かく見て、どんなところが素晴らしいのか。
まず、表情。
たとえば冒頭で、イラストレーターを紹介するところ。「wonderful」というのをひとつとっても、表情が動き心が込もる。
ああ、本当にありがたく嬉しく思っているのだなとわかる。
また、eiderdownにくるまっているという場面も、彼女のウインクのような目の動きで特別なものと伝わる。
間合いも素晴らしい。
冒頭、There was one little baby〜と始まる前にある、一息。
「ステキなことが起こったの」と伝える間であることが、この間合いと表情からわかる。
聴衆に呼びかけるような声の変化。
As everyone knows〜
では、「ほらあれ、ご存知の」とちょっといたずらっぽい表情と、高めのpitch。
聴衆は読み手とつながっている感じがして、ついうなずく。
一体感がある。
遅すぎず速すぎない、聴衆の頭のなかの場面送りに合った速度。
話がすいすい頭に入る。
繰り返しのところで、聴衆の「あれ、もうそれ知っているよ」の気持ちを読んで、「ふふっ」と笑いが入るのも、ベテランならでは。
そして、As everyone knows〜とサビが続くのだ。
生まれた場所の違いのニュアンスもお見事。
far away
city
hills
on the ice
ぜんぶ違う声と顔の表情だ。
ああ、大先生のパフォーマンスを見て、課題が山のように出てきた…。