この課題書、シーンが多く、文字が多い。
英語を母語としない子だけでなく、だれとリードアラウドするときも、このような本は特にメリハリが必要だ。
そこで、こんな演習した。
緩急をより鮮明につけられるように、英語のcontractionsと前回に続いてtongue twistersの演習。
Contractionsは、句などを短縮させた形、例えば速く読むときの
We’re/ going on a/bear/hunt のウィア、ゴインオンナのような読み方や、
We’re/going to/catch a/big/oneの、ウィア、ゴナ、キャッチャのような読み方。
クマ狩りに行くぞと、足取りも軽く出かける一家の雰囲気を出すには、足踏みして歩く程度の速度で、この2行を軽やかに読みたい。
短縮した読み方だと、自然で滑らかだ。
みなさんの予習では、この2行の処理はいろいろだった。
それはそれで興味深かった。
そうではあるが、本の長さと、何度も繰り返されるというこの構成だ。
丁寧に情感を入れるという部分ではないだろう。
そうすると表現が冗漫でくどくなって、子どもは絶対に飽きてしまう。
ここは、暗唱するように、読むよりも言わせるつもりで、指導者も拍子に合わせて滑らかに読みたい。
練習とは言え、みんなで足踏みしながら声を出す、という原始的なことをした。
本ワークショップで、いいなと思うことのひとつが、演習の楽しさ。
このときも、みなさん笑顔。
わたしも、大いに楽しんだ。
実際にリードアラウドするときに、この楽しさを子どもたちに経験させなければ、と思う。
そして、本書の笑える場面、クマに追いかけられる「破」「急」のシーン。
ここを、フィルムの早回しのように、無声映画の弁士のように読むことで、滑稽さ、ユーモアが滲んでくる。
わたしたちは、スラスラ、そして本当でも演技でもいいが、息を切らすように、危機感を表現しながら読み上げたい。
そのためのwarm-upとして、tongue twistersを数種。
全員が5〜6回も繰り返し練習したが、舌がからまったり四苦八苦するお互いが愉快で、大笑い。
滑舌の演習は、ただの技術磨きだけではない。
これをすることによって、心も舌とともに軽くなり、みなさんのノリもよくなった。
面白さを出すためには、こうした基本的な朗読の技術も欠かせない。
ところで、滑舌がよくなると、ゆっくり読んでいる所の音も、とても澄んでくるようだ。
日本語をしゃべる日常では、あまりつかわない口の筋肉だが、それが鍛えられる。
感覚としては、普段も口の中の空間が広がる感じ。
日本語自体も、明瞭になっているのかもしれない。
内容を分析して読解を深め、身体を使って表現をふくらませた結果、仕上げの朗読は…。
お世辞ではなく、見違えるものになった!
3時間に及ぶワークショップの疲れは少々にじみもするが、みなさんの朗読に、それまでよりもリズムが現れ、おかげで読む方も聞く方もより集中できた。
いくつも登場する風景は、より鮮やかに聞くものに示されるようになった。
最後の大団円でのおかしさも、スピードがついたので、よりおかしく表現できるようになった。
模擬授業も、全員がチャレンジ。
自分たちが生徒役もやる模擬では、少々、予定調和すぎるが、しかたない。
本番で失敗したりどぎまぎしたり、経験を積んでいきたい。