思春期とリードアラウド〜のびのびした表現を隠させないために

リードアラウドでは、英語絵本の各場面を彷彿とさせる読み方、のびのびした表現をするよう、指導者も努めるし、そのように子ども(参加者)を導く。

小学校の中学年くらいまでは、リラックスさせるのはそう難くない。
そして、リラックスさえさせれば、かなりいい表現を引き出せる。

ところが、5、6年になってくると、一部の限られた「演じ好き」以外は、伸びやかな表現をひっこめ始める。

「そんな幼稚なことできない」「かっこわるい」など、自意識が強くなる思春期の始まりだ。

「ゴリラのような顔で」とか「狂ったように泣き叫んで」と言われて、思春期の少年少女がそれを進んでやらなくなるのは、我が身を振り返れば、理解できないことではない。

だが、「場面を彷彿とさせる」表現を求めるリードアラウドとしては、ゴリラがしゃべる絵本や登場人物が泣き叫ぶ絵本の読みを、どうしたものか。

解決の鍵がありそうなのは、昨年アメリカ、ポートランドで参加したImprovisation(即興)ワークショップ。

開放的で表現豊かな国民気質と思われるアメリカ人だが、そうでない人がいないわけない。
また、今の自分から解放してもっと自由な自分になりたいと思う人も多い。

だからこそ、アメリカの都市、津々浦々に、Improvisation の一般向けワークショップがあって、いつでも希望者が集まり、開催し続けられるのだろう。

そんなひとつのワークショップで、わたしが実際に出会った人たちが、わたしの目の前で、短期間にどんどん殻を破っていった。

インプロとも、シアターゲームとも呼ばれるこのメソッドは、もともとは演技者たちの演習メソッドだったが、20世紀中頃からは、欧米では社員研修や、小学校から高校までの子どものコミュニケーション演習などとして、会社や学校でも取り入れらてもいる。

自己解放を進めたり、恊働をしやすくするメソッドだが、その過程で生まれてくるありがたい「副産物」が、豊穣でかつ分かりやすい表現なのだ。

もっとインプロ(シアターゲーム)の理解をわたし自身が深めて、思春期の子どもたちに、リードアラウドの真髄でもある豊かな表現をやめさせない指導を考えていきたい。

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