インプロ(シアターゲーム)の本場アメリカで、そのワークショップにこの夏に参加した。
その成果のひとつとして、これまで漫然と見ていたことへ、コミュニケーションの技術的な見方が加味されたことが挙げられる。
あるお手軽な、フランチャイズの筋トレジムがある。
アメリカから日本に上陸し、主に中年以上の女性にターゲットを絞り、その店舗数を伸ばしているところ。
ここのシステムにも、恐らくインプロからヒントを得たらしい、コミュニケーションの方法が入っている。
例えば、
30分のサーキットトレーニング中に、何度も心拍数を測る時間が組み込まれているのだが、各自、心拍数を測ったら、歩いてまわってアイコンタクトをとってくるトレーナーに伝える。
記録するでもなく、ただひとりひとりが答えるだけ。
30分中に4、5度も測って、あまり意味がない気もしていたが、それは、心拍数の変化を自覚する意外にも、意味があることに気付いた。
つまり、トレーナーと一対一のアイコンタクト、コミュニケーションを取るという意味があるのだ!
ビジネスとして効率を上げるため、ひとりのトレーナーで20人程度も受け持っている。
それでも、ひとりひとりがトレーナーと密に繋がっている、と思えるようにすることが、この心拍数の確認の目的に含まれているのだ。
それは、会員のトレーニング継続のモチベーションにもなる。
教室で言えば、このようなアイコンタクトとほんの一言の会話でも、ひとりひとりの生徒と先生の繋がりがより強く意識される。
また、名前を必ず呼ぶことについて。
このジムのトレーナーは、必ず「○○さん、おはようございます」など、ファーストネームをつける。
苦労なことなので、自然発生的ではなく、きっちりマニュアルにあることだろう。
予約なしでいつでも行ける会員にとっては気楽なジムだが、トレーナーたちにとっては、入れ替わり立ち替わりやって来る会員の名を覚えるのは大変なことだろう。
だが、このファーストネームで呼ばれるということは、会員数が多くても、会員ひとりひとりが大事にされている気持ちになり、長続きさせる秘訣のひとつとなる。
インプロでも、まず名前をそれぞれがワークショップ仲間の名前を覚える。
コミュニケーションの第一歩は、名前から。
多民族国家のアメリカ、ひとつの文化でまとまっていない。
そんな人々を、短時間でひとつにまとめる、コミュニケーションを滑らかにすることが、社会の効率にも直結している。
そこで、使われるのがインプロ(シアターゲーム)。
ずいぶんと、その方法が社会に浸透しているのを感じる。
今秋開催するシアターゲーム・ワークショップは、わたしが学んだこと、日本人が英語でのコミュニケーションを学ぶ上で有効なことを、いち早くみなさんと共有する場にもしたい。
昨年度参加したみなさんも、初めてのみなさんも、生徒たちのコミュニケーション能力を高めるゲームを、わたしたち自身の即興力と表現力をさらにブラッシュアップしながら楽しみましょう!