「よい子どもの本とは」『Olivia』の作家はこう考える

「What makes a good children’s book?」
ニューヨーク・タイムズの記者に、こう尋ねられた『Olivia』の作家、Ian Falconerは、何と答えただろうか?(原文

「ひとつだけ言えと言われれば」と、こう前置きをして、
「読者を過小評価しないこと」。

リードアラウドのワークショップに参加した事がある人なら、「ああ、これ」と思い当たるかもしれない。
わたしも選書の上で、強調してきたことだ。
「読者を過小評価していない本」。

絵本の主読者は、子ども。
読者が子どもだからと、「まだ理解出来ない事がたくさんある」「こんなことを言ってもわからないだろう」「この程度の絵でいいだろう」という考えでかいた「子どもの本」は、本当に、つまらない。
それは、子どもにもわかる。
作者の言葉を借りれば、
「Children will figure things out; it’s what they do best- sorting out the world.」

『Olivia』は、確かに面白い。
ブタの「女子」である、オリビアが主人公で、その年格好にしてはおしゃまな子だ。
ドガの『踊り子』の絵の前で感動して立ち尽くしたり、ポラックの抽象画を見て「自分でも描ける」と言ったり感性豊かで主張がある。
女性として、気持ちのいい描かれ方だ。

まあ、こだわりが強く、ちょっと「面倒くさい女」かも知れない。
弟とのやりとりを見ていると、「女の言い分」や「男の言い分」が見えて大人は苦笑する。

男女の機微や、親の本音などが浮き彫りにされる「大人っぽい」ユーモアも含む物語だ。
これが、男女問わず、5歳くらいから英語が初級程度の小学生の子どもまで面白がる。
そして、大人にはもちろん大受け。
「女子」に苦労している大人の男性に、特に受けるのも目撃している。

現役の舞台芸術家でもあり、一流アーティストの証明でもある 『New Yorker』表紙絵を何度も描いた作者が、自作を「a good children’s book」と自負しているからこそ言えた、「よい子どもの本の条件」なのだろう。

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