リードアラウドの発声練習~認定講座第3回報告その2

第3回目、今期から始めた参加者もいることから、リードアラウドがリードアラウドたる所以など、しっかりおさえるところから始めた。

リードアラウドらしさのひとつに、指導者に声の張りを求めるということがある。

小学校の先生であれば、すでにその技能を身に付けていることが多いが、そうでないリードアラウドの指導者も、騒がしいところ、何人もいる教室でも、よく通る声を持ちたい。

よく聞こえるというレベルだけでなく、より細やかで深い表現を伝えるには、よく響く強い声が必要だ。

同時に、よく響く強い声は、観客や子ども、生徒たちを、その声に注目させることができる。
一種の、リーダーシップでもあるわけだ。

その響く、強い声。
どうやって手に入れるか。

姿勢を正し、深い呼吸で肺をフルに使う練習法を、講座で実践している。

近頃は、ベテランたちがすでにいい声を出しているので、あまりこの練習を強調していなかったが、新人を迎えて改めてその大切さを記しておく。

新人は、いつでもどこでも、この練習を継続的にして欲しい。

吐く息を意識して、それを細く長く、最後の最後まで吐き切る。
そして息を吸うのは、いつも鼻から。

簡単だが、この呼吸法が身につくと、リードアラウドしていて違いが出てくる。

意味の上では不適当な息継ぎだが、自分の息が続かずやむを得ずしてしまうことがなくなる。

また、息に余裕があるので、表現がしやすく豊かになる。

おかげで、聞いているひとにとって、より意味がとりやすくなる。

よく伝わるように表現することは、表現者の基本だろう。

次に声の響き。

今回は「ゆで卵発声」で練習した。

つまり、口の中の奥のほうに、架空のゆで卵を送り込み飲み込んで行くように、口や喉を広く開けることを意識して声を出す。

この手軽な練習法は、家でやる場合、姿勢をただし、声を5メートルほど先に届かせるつもりで、大きな声を出してやる。

奥から声を出すということ、普段からこういう発声で話をしているひとは、日本語を使う人にはそう多くない。

例外は、演劇をやっていて舞台に立つ人たち。
訓練で普段からそのような声になっている。

どこかでその人たちの「生声」を聞けたら、聞いてみるとよい。

次回は、発声練習のもうひとつ、Roger Loveさん式(ハリウッド式?)でしっかりやってみるが、それまでは、新人のみなさん、

ゆで卵式発声練習と、深い呼吸練習を、よろしく!

思い出したらいつでもどこででも、呼吸練習はできる。
信号待ちの間とか、細切れにでも効果はある。

また発声練習は、いつも遠くを意識して、遠くに声を投げるつもりで。

ゆで卵発声のほか、課題書の朗読を、5メートル先に観客を意識してする。
座ってちまちました練習ではなく、距離をとること。

またその際、声帯を痛めないために、頻繁に水で潤すことを忘れずに。
乾いたまま続けると、つぶれてしまうこともあるので注意。

ベテラン、中堅は、喉の奥からの発声、ミドルボイスなどの意識を改めてしながら、朗読練習を。

発声の練習のためだけに、表現はそこそこにして、深く響かせることに重点を置いた読む練習も、表現練習とは別にするといい。

Posted in リードアラウドいろいろ, 指導者向けワークショップ | Leave a comment

リードアラウド認定講座第3回報告〜その1:表現指導

マザーグースから『Three Little Kitten』の、Paul Galdoneのイラスト版9780899197968が課題書。

今回の目玉のひとつは、参加者自身の表現演習および表現指導法だった。

リードアラウドらしさのひとつでもある。

・英語を通じさせるには、表現が伴うことが大切で、たとえ英語が稚拙でも表現力があると通じやすい。

・その英語が腑に落ちるのと、的確な表現ができるようになるのは、ほぼ同時的である。

という、わたしの経験にもとずく。

控え目だったり、ときには平坦な、日本人的表現の殻を、リードアラウドの指導者は破らなければならない。

課題絵本に合わせた「表現の型」を作り、各論で学ぶ方法をとった時期もあったが、習得したように見えても、実は一過性の習得で、すぐに受講者の自己流に戻ってしまうというジレンマがあった。

試行錯誤の結果、3、4年前から、総論的な「表現の心」から学ぶ方法に、にシフトした。

さらに、1、2年前からは、総論と平行して、課題書ではその「心」をどう具体的に使うかという、各論もまぜている。

そこで今回の『Three Little Kitten』である。

子ネコ、母ネコ、ナレーターの3種のキャラクターを、表現する必要がある。

擬人化されたフィクションのネコだが、子ネコ、母ネコらしい声やしぐさ、ネコの姿でemotionsを表す、といったシアターゲームをした。

meowとpurrだけでも、いくらでも表現はできる。

そのはずなのに、ただのmeow meow、子ネコだか大人ネコだかわからない、字に書いたものを読んだだけのようなmeow meowが方々から聞こえてきた。

大人という鎧、先生という鎧、もしかしたら女性としての鎧、いろいろな日常身に付けている鎧が邪魔をして、表現が凡庸、つまらない。

それでもこのような演習を5分、10分と続けて行くと、笑い声とともに、空気も和やかに、表現もときたま凡庸を突き抜けたものが出現してくるから面白い。

母ネコが4回ほど繰り返す「What?」という台詞を、声のpitchを変えニュアンスを変える演習も興味深かった。

同じWhatでも、聞こえなかったから「なんておっしゃったの」という意味から、子ネコが大切な手袋をなくしたというのを聞いた母ネコの「なんてこと!」という叱責の意味合いのもの、「ほんと?」と驚いた感じのものとか違うニュアンス8つを、それぞれwhat1語に込める演習だ。

表したいニュアンスを自分の口から出る言葉にピッタリ被せるのも、巧みになりたいところだ。

ありがたいのは、これら、指導者の表現力向上のための演習は、そのほとんどが子どもの表現練習に応用できるところ。

「ネコ語」の練習など、子どもたちが大よろこびだ。

遊びと思ってくれるが、実は、m-e-o-wやp-u-r-rの読み方、発音の学習であり、
英語でのネコの鳴き声、そして喜んだり、悲しんだり、子ネコたちがmeowやpurrで伝える場面の、意味をとらえたfluentな読み方の練習になる。

What?の練習も、ニュアンスを変えて何度も言わせるから、子どももすっかり言い慣れ、自分の語彙になる。

この日、大きく笑い過ぎて、柱に頭をぶつけ「ゴーン」と教室に音を響かせた人が約2名。

楽しく学べた、と言えるかな?

Posted in リードアラウドいろいろ, 指導者向けワークショップ, 英語学習・英語教育 | Leave a comment

子どもの「気づき」に耳を傾ける~リードアラウド大人の心得

子どもに問いかけながら、理解度を深めさせていく指導スタイル(双方向型指導)をとるリードアラウド。

同じ本をいろいろな場で、違う子どもたちとリードアラウドすると、子どもに共通する反応というか、「気づき」があることに、大人が気づく。

9780763672935
『SHH! We Have a Plan』をいろいろなところでリードアラウドして、気づいたことがある。

絵に対して目のつけどころが違うこと。

その絵本の4人の登場者には、名前がない。
大人の目だと、それら登場者の一番の特徴は身長差だと思う。
そこで「大、中、小、極小」と、身長で4人を区別させようとしたが、
どうも子どもには区別しにくい。

そこで、子どもたちのつぶやきやら、反応に耳を凝らしてみた。

「顔が長い人」とか「短い人」とすると、すっきり分けられる?

「顔が短いのがふたりいるけど、どうする?」と心配すると、もうひとりの登場者の顔は「baby face」だと言って、ほかの子どもたちもそうだ、そうだの納得顔。

改めて、絵をよく見れば、確かに視覚的にはっきりわかるのは、顔の長さの違い。

大人は観念で、身長差が区別の要素だと思う。
でも子どもは目という感覚で、ぱっと顔の長さの違いに気づく。

他のグループでも、顔の長さで区別させると、間違わずに役に分かれられた。

そしたら、先日の書店でのリードアラウドをした先生方の指導記録にも、こうあった。
(イタリック部分、「指導記録」から引用)

ー名前付けの時は、やはり男の子が「長い顔!」と答えてくれたり、また他の子からも「赤ちゃん!」などの反応があり、子どもの直観力に感服。

Posted in リードアラウドいろいろ, 指導者向けワークショップ, 英語学習・英語教育 | Leave a comment

英語えほん千夜一夜〜第7夜Runaway Bunny

Runaway Bunny 文 Margaret Wise Brown 絵 Clement Hurd 9780061142710 中級 AD600 L

 1947年刊のロングセラー、『Goodnight Moon』(邦題『おやすみなさい、おつきさま』)に先だって、42年に出版された姉妹編だ。ウサギの子が主人公だが、本書では母との関係や、やんちゃぶりが浮き彫りになる。
 Once there was a little bunny who wanted to run away(あるとき、おかあさんのもとから逃げたい子ウサギがいた)。「I am running away(ぼく逃げちゃうよ)」と、あちこち逃げまわる。青年の家出というより、幼児のかくれんぼに近い。「If you run away, I will run after you. For you are my little bunny(逃げても、追いかけますよ。だってあなたはわたしのウサちゃんだから)」と、母は確信に満ちた口ぶりで答える。
 ところが子ウサギ、意外と大胆不敵。まずは、魚になって「I will swim away from you(泳いで逃げちゃうよ)」。しかし母は「I will become a fisherman and I will fish for you(漁師になってあなたを釣るわ)」と、漁師姿になって川でフライフィッシングよろしく、ニンジンを餌に「子ウサギ釣り」。子の次なる手は、高くそびえる山に逃げて岩のふり。しかし、母は強い。「I will be a mountain climber(登山者になるわ)」と、ザイルを肩に追いかける。鳥になっても、「I will be a tree that you come home to(あなたが戻って来て翼を休める木になるわ)」と、巨大なウサギの形をした梢になる。
 子ウサギはあきらめず、さらに知恵を絞る。持ち前の長い耳を帆にした帆船になって、大海原にsail away(出航)しちゃうのは?「I will become the wind and blow you where I want you to go(風になってわたしの思うところに、あなたを吹いていくわ)」。…どこまでもついて来そうな母だと悟って、「Shucks(あーあ)」とくさる子ウサギ。出した結論は、「I might just as well stay where I am and be your little bunny(これまで通りおかあさんのところにいて、おかあさんのウサちゃんでいるよ)」。めでたし、めでたし?
 

9780064430180

大人英語セミナーで使用。
会話部分を暗記して、母と子の会話のように言い合う練習。
いい練習になりました。

Posted in スクール・英語教室, リードアラウドいろいろ, 注目絵本, 英語学習・英語教育 | Leave a comment

英語えほん千夜一夜〜第5夜Don’t Let the Pigeon Drive the Bus

9780786819881
文・絵 Mo Willems 9780786819881
$ 15.99  目安のレベル:初級 120L
 Stand-up comedyという、英米で盛んなお笑いのスタイルがある。Comedianがひとりで、劇場などに集まった観客に語りかけ笑わせる。本書は読者を観客に見立てた、stand-up comedy風のコミカルな絵本だ。Comedianは、Pigeon。このハトは、いつかバスを運転したいと夢見ていてチャンスを狙っていた。そんなおり、目を付けていたバスの運転手が、ちょっとバスを離れるので、読者にお願いをする。… can you watch things for me until I get back(戻るまで見張っていてもらえるかな)?続けて、oh, and remember: Don’t Let the Pigeon Drive the Bus(くれぐれも、ハトにバスを運転させないように)! と念を押す。表題は、ここに由来する。
 ここからは、ハトの独壇場!台詞だけで進む。それにしても、表情豊かなハトである。古今東西、あまたある絵本のなかでも、ハトが主人公なのは希少。おまけに、こんなおしゃべりなのは初めてではないか。さてさて、無人となったバスを背景にして、この好機到来に半信半疑で登場したハト。運転手のいないバスを確認後、見張り役の読者に頼む。Can I drive the bus? Please? I’ll be careful.「運転してもいいでしょ?お願い。気をつけるから」。これではダメとわかると、あの手この手でつついてくる。「いとこは毎日のようにバスを運転している」「I’ll just steer(ハンドル回すだけ)」「運転ゲームとして遊ぼう」「Just once around the block(一区画を1回だけ)!」「親友になってあげるから」「How ‘bout I give you five bucks(5ドルでどう)?」「きみのママはきっと、いいって言うよ」「What’s the big deal(たいしたことじゃないでしょ)!?」「I have dreams, you know(ぼくだって夢があるんだよ)!」…、硬軟おり交ぜて攻める。1ページに4コマ、2ページに渡って全8コマの、マンガ的な展開だ。くるくる変わるハトの表情や動きが、台詞のニュアンスを的確に伝えてくれる。子どもが、実に楽し気に読む2ページでもある。
 こんなにお願いしても、運転の許しが出ないとわかったあとのハトの反応が、すさまじい。そして、オチも…本を見てのお楽しみ。

Posted in リードアラウドいろいろ, 注目絵本 | Leave a comment