『Everyone Poops』ナレーターの声を考える〜英語絵本リードアラウド認定講師講座第4回

今月はこの本、五味太郎さん作の『みんなうんち』、『Everyone Poops』だった。日本語から英語訳されて長く愛されている一冊だ。

声での表現にまず、考えるべきは、本書の中から聞こえてくる声がだれの、どのような声か。

 

今回の本書では、声はひとつ、ナレーターの声だけだ。

 

どういう人だろう。

どんな口調だろう。

どんな感じでその人は語るだろうか。

 

ついつい、このことを考えずに読み出してしまいがちだが、リードアラウドでは必ず、

その本から聞こえてくる声がどんなものか、考える。

 

そのために、本書をよく読む。読解する。

 

すると、子どもに向けて飽きさせないように、楽しく上手に語られているが、ノンフィクションで動物学や生物学系の本だと見えてくるだろう。

 

ナレーターは、動物の種類と生態についてかなりの科学的知識がある人のようだ。

そのうえ、ちゃんと子どもに目を向けて、子どもが気になる点や、面白がるところを心得ている。

教育的視点からも子どものためを考えている人だ。

 

そんな人が、どこを「教えてあげたい」ところとして力を入れて、どこを「面白がらせてあげたい」と子どもを少しだけからかっているのか。

 

ひとによって、「教えてあげたい」ところが上手で、ときに上手すぎて(?)、先生然または「お勉強」的になって、しまうこともある。

またひとによっては、「面白がらせてあげたい」気持ちが強くて、全体的に作り話のようになって、ちょっと年長になった子どもに興味を失わせることになることもある。

 

ナレーターのキャラクターをよく消化して、上記二点をうまく配合したナレーションを、次回まで待つとしよう。

 

 

 

英語の声&日本語の声:『The Giving Tree』を声で表現する〜渡辺知明さんとコラボ

英語絵本のリードアラウドを始めた頃、

英語を読むのだから「ネイティブのほうがやっぱり上手なはず」

とよく言われた。

そうではないのだ、と反論するのに引き合いに出したのが、

日本人による日本語の本の朗読やいわゆる読み聞かせで、

「日本人ならだれでも上手ですか」

と尋ねたものだ。

 

すると答えは決まって、

「いやいや、そんなことはない」という。

 

「でしょう?だから、英語の本も同じ。ネイティブにも上手い、下手がありますよ」

と言って、非ネイティブの、また非ネイティブならではの、英語絵本の表現、聞かせ方を磨いてきた。

 

そして、母語である日本語のことはいつも気にはしながらも、その読み方にはいっさいタッチしてこなかった。

 

日本語の絵本だったら、いったいどう「リードアラウド」する?

同じ本が、英語で表現できるなら、日本語でもできるのか?

 

自分の不勉強は棚に上げ、ほうぼうから聞こえてくる日本語での読み聞かせや、朗読の多くには、違和感を持った。

その違和感を説明できずに、いつももやもやしていたところ、渡辺知明さんの「表現よみ」と遭遇した。

もう10年以上まえになる。

 

すっと腑に落ちた。

 

渡辺さんが、巷の日本語の声による表現、ときにTVショッピングの司会者の声にまでコメントしていて、興奮した。まったく、共感する内容だったのだ。

 

しかしそれから、わたしの怠惰のせいで、つい最近まで渡辺さんの書かれたもののそばを、ふらふらしていた。

 

それがやっと、このたび、ご一緒させていただくことになった!

 

ブックハウスカフェでコラボ、

英語の声&日本語の声:声で表現する絵本ワークショップ 

開催だ。

 

課題書は、『The Giving Tree』と『おおきな木』。それぞれ、大島と渡辺さんが担当する。

まずは、わくわく。

渡辺さんはどう読むのだろう。

 

そしてじわじわと、ことの重大さがわかり始めて、恐れが湧いてきている……。

 

 

●渡辺知明さんの『ごんぎつね

巷の朗読によく感じる自己陶酔感のようなものを排除した、この童話に即した架空の読み手としての読み。そこに違和感のない、造型された生きた個性を感じるとともに、聞き手への温かい「聞かせたいこころ」のようなものが流れてくる。

『The Gruffalo』で逐語訳に頼らない指導をする〜絵本リードアラウド認定講師講座

The Gruffalo

絵本リードアラウド認定講師講座 2022年度5月の課題書は『The Gruffalo』

英語の物語を読める小中学生が増えつつある今日この頃、指導方法もサイドリーダーを使った10−20年前のものとは違ってきている。

まずは、選書が大切だ。

 

これまで使われていたような、古典的な物語(版権が切れなど)をESL用に書き換えたものは外したい。

鮮度が悪いうえ、「お勉強感」も濃い。

使われている英語は、書き改められた文のためオリジナルの勢いがなく、古くさい。

また、絵が少なかったり古ぼけていたりして、魅力に欠けることが多い。

指導者の心が踊らないと、指導のエネルギーも湧いてこない。

 

そこで、英語圏の小学校低学年程度を中心に人気で、文字が多めの絵本を選書する。

リードアラウドの視点から音読し絵をよく見て、大人の知性が刺激され楽しめるものか確認する。

 

そうして選んだ『The Gruffalo』は、英語圏の販売部数1300万冊以上で、8歳前後の子どもを中心に人気を博している。

また、学校や図書館などでは、子どもが進んで読む本として幅広く支持を集めている。

本の難易度を示す指数「レクサイル」を見ると、広く知られている「がまくんとかえるくん」シリーズ『Frog and Toad Are Friends 』が470L、『The Gruffalo』が510Lなので、ほぼ同じくらいの英語力で読める。

『The Gruffalo』の方が絵に迫力があるので、『Frog and Toad』より興味を引きやすいかもしれない。

 

さあ、これをどう指導するのか。

第3回講座で学び演習したのが、指導の鍵となるFluent readingとShadowing。

そして生徒への問いかけ方だ。

 

逐語訳が主流だったころが、遥か昔に思える。

(つづく)

Frog and Toad Are Friends

絵本リードアラウド認定講師講座

 

『The Gruffalo』で英語読書、リードアラウドに誘う〜絵本リードアラウド認定講師講座

2022年度第3回目の『絵本リードアラウド認定講師講座 2022』の課題書は、英語圏で絶大な人気の絵本『The Gruffalo』だった。

Gruffalo?

Yes, Gruffalo.

みなさんには馴染みが薄いかもしれないが、英語絵本の中では「子ども支持率が高い系」だ。

お父さんお母さんが選ぶメルヘンチック(「お花畑系」?)な本が物足りなくなる、5歳から小学生低学年あたりの活発な子どもの興味を大いに引いてくれる。

英語教師には、ちょっとした救世主的な一冊。

認定講師講座に集まった先生たちが、これに挑戦した。

故事成語「虎の威を借る狐」を基に、虎をGruffalo、狐をmouseに据えた物語だ。

mouseを世渡り上手な利口者と肯定的に捉えるのも、権力者の力を頼みに威張る小者と否定的に捉えるのも自由。

しかし……この日の参加者によるmouseは、なんにせよキャラクターが薄い!

いったい何者なのか!

登場人物の肉付けが「薄い」のには、パターンがみられた。

  1. 型で演じている(自身の考えるのステレオタイプのひとつに当てはめているだけで、登場人物としての肉付けがされていない)。ベテラン先生に多い。聞き手に、よくある型と認識され、すぐに飽きる。興味が湧かず、長続きしない。
  2. 声色を使っているだけ(声を変えただけで表現がない)。「変声」で子どもの注意を引いても、表現が伴わなければ、すぐに飽きられる。
  3. 違和感(声や口調からにじむキャラクターが、物語と合っていない感じ)ありあり。深く読解していないのかもしれない。子どもたちの読解を混乱させる。
  4. 掘り下げ、強調、練習が足りない(方向性はよい)。

さあて、みなさん。自分はどうだったか。当てはまるパターンはないか。録音を聞いてみること。

次回のプレゼンテーションを楽しみにしている。

参考映像:

絵本リードアラウド認定講師講座 2022
The Gruffalo

2022年度小学生クラス学習素材その1〜キッズブックス英語スクール

2022年度キッズブックス英語スクールが始まります。

本スクールはできるだけ、第二言語習得論(学)で分かってきた、母語ではない第二言語の、年齢相応の学び方を取り入れるよう努力しています。

中でも、シャドーイングという方法は、子どもから大人のクラスでも常に使っています。

 

これは、シャドー(影)のように、手本の音声をどんどん追いかけるように、声に出して言って行く練習です。

何とおりかやり方がありますが、子どもの場合は文字と音声の一致もさせたいので、耳で聴きながら、文字を指で追わせつつ、声に出して読ませています。

シャドーイングは、英語学習に必要なインプット(聞く)とアウトプット(言う、読む)を同時に鍛錬できるうえ、「認知を超えた上位の認知(メタ認知)」、つまり自分が学習している状態をその場で第三者的に認知する(自分をモニターする)ことができることから、学習効果があることが科学的に示されています。

 

あるとき、スクールでわたしたちが指導した起伏ある表現があって、おまけに子どもらしい生き生きとした表現も加わった、ほぼ満点のリードアラウドを披露してくれた生徒がいました。本人の潜在能力や実力もありますが、素材として渡ししていた音源で、シャドーイング練習をしたということも聞き、その効果を再認識しました。

 

以前はCD付きの絵本を探して、利用していましたが、昨今は出版社がCD付きをあまり作らなくなってしまいました。

そこで、シャドーイングの練習ができるように、新年度はYouTubeにあがっている、officialの音源か、許諾を受けている団体のもので、かつわたしの耳で「これなら」と確認したもの(これがなかなか、ない)、または「門外不出」の私家版などでご紹介します。

 

さしあたり、以下の3本。今回『The Rock From the Sky』はpart1です。

 

  1. David Goes to School
  2. Alligators All Around  
  3. The Rock From the Sky part 1