先生は生徒を褒め足りていない〜キッズブックス英語スクール

小学生アドバンスクラスは、『Frog and Toad Are Friends』を読み出したところだ。

 

ひとりの6年生の生徒は、「これ、もうやったんじゃない」と言った。

だが、それはおそらく小学校の国語で、たぶん2年生のときの思い出とダブってのことではないかと思う。

 

「ついに」というか、「やっと」というか、その本を英語で読むところまで来た。英語がゼロだった生徒がそこまできたか、と感慨深い。

 

さて授業で、本書をシャドーイングしようとしたところ、その6年生は「ひとりで読む」といいだした。

おお、いい兆し。

 

お望み通り、ひとりで読み始めたところ、かなりの完成度だ。

安心して聞いられる。だから、安心して聞いていたら……。

 

「ね、すごくない?」(今時の上がり調子「スゴク」のアクセントで)の声。

 

「saidのこと、もうセイドって読んでないよ。ちゃんとセッドって読んでるよ」

と、これまでよく間違って、何度も何度も指摘された単語を、この日はすらっと、自分で驚くほどに澄まして正確に読めていたのだ。

 

こちら、うっかり褒め忘れ。

しつっこく指導したこともけろっと忘れ、正確なのが当たり前のように聞き流してしまっていた。

そしたら、「おーい先生、applauseくれよ!」と、催促されたような次第。

 

先生がいつも、「正しくて当たり前」としていたら、生徒の努力が浮かばれない。

やはり、正しく出来るところまでの努力を、そして出来たことを、「褒め逃し」しないこと。

 

本人にしたら、自分が苦労したところをすらっとできるようになったのは、すごく嬉しいだろう。それを、先生にもわかってもらいたいという気持ちは、よくわかる。

 

今回のように、自分から「すごいでしょ」と言ってくれる生徒ばかりなら、「ぼんやり先生」も救われるが、そんな生徒は少数派だろう。

 

だから先生は、褒める点、褒める時を極力、見逃さないこと。

生徒が過去にできなかったところを把握して、そこがクリアできたときは特に、ホメホメの大騒ぎをしなきゃ。

 

おおいに反省した次第。

久しぶりの『Bob Books』、やっぱりすぐれもの:キッズブックス英語スクール

スクールでは、英語入門レベルの子どもにリードアラウドを教え始めるときに、絵本と並行して『』を個々に読み進む。

 

先日、久方ぶりに入門レベルの生徒を迎え、本書を開く。

 

生徒は小学校の低学年で、学校では英語を読むのは、まだほとんど指導を受けていない状態。その生徒が、リードアラウドの約束;

ー読んでいるところを、指でなぞる

ー「感じ」を出して読む

ー読めないところはムニャムニャ(先生のまね)をする

を守りながら、12冊セットのbook 1を読み始める。

 

「えっ、本を読んで行くって……まだ、読めない」と言いたげな目。が、指導者はリードアラウドの「day 1」から読ませることに自信満々だ。

 

そして1ページを開ける。本文は、

「Mat.」

そこに、そのMatらしき人物を線で描いた、ごくごく単純な絵がある。

 

文も単純、一音節だけ、でもピリオド付きの一語文。

Matがご機嫌な様子に描かれているので、指導者も「感じを出して」ご機嫌な声で「Mat.」と読む。

 

これなら、初めての人でも英語を「読める」。

指でMatと文字をなぞるから、「言う」のではなく「読んだ」と脳は記憶してくれるだろう。

 

「読めたねえ」と言われても、本人は「えっ、えっえー?」と、戸惑い顔。

でも、読めたのだ。そして、これならほとんどの子どもが、「読めた」を実感できる。

そして「読めた」の気持ちが、次ページへとつないでいく。

 

Bob booksは偉い。

一語文で安心させ、二語文へと進み、book 1では一番複雑な文は、「Mat sat on Sam.」程度。

それも、短い1冊のなかでも、順を追って無理がないように積み重ねて行く。

手のひらサイズの軽くて、短い絵本だが、reading導入を成功させてきた英語圏の教師と親たちの経験が詰まっている。

 

この日「The End」まで読んだあとの生徒の顔は、ぱっと紅潮したように見えた。

「読めたね?」という問うと、こくんと、うなずいた。

 

いやあ、こういう瞬間がたまらなく好きだ。

初めて何かができた時、その喜びの粉末のようなものを、身体からぴかぴか舞い上がらせているひと。

いいなあ。

 

ありがと、Bob Books。

あなたは、すぐれもの。

 

 

『Oh, the Places You’ll Go!』を読んだ〜絵本リードアラウド認定講師講座第9回

2021年度最後のリードアラウド認定講師講座、今回の課題は、Dr. Seussが生前に発表した最後の絵本『Oh, the Places You’ll Go!』。

毎年、特にアメリカの卒業シーズンになると、かならずといっていいほど、ベストセラーリストに挙がる一冊だ。

 

30を超えるstanza(節)で構成された、詩の形式をとり、絵本としてはかなり長い。

高校や大学、大学院の卒業祝いによく贈られることからもわかるように、内容は子どもだけでなく、若者全体に向けのものでもある。

 

ナレーターの語りは「you」に向けて発せられる。これは、Dr. Seussの本としては珍しいらしい。

リードアラウドとしては、いつものようにナレーターがどういう人なのか、しっかり像を描いて語るように読む。

ということで、「ナレーター」になる自分自身が、ちゃんと言葉を消化する、読解することが重要だ。

 

隠喩が多い。

簡単でユーモラスな言葉だが深い。

You have brains in your head./You have feet in your shoes.

「脳は頭にあり、足は靴の中にあります」と、事実だけを読んだらただニュースを読むアナウンサーだろう。

 

何が言いたい?何を言っている?

「もう、君には準備ができているんだよ。大丈夫!」というエールを、わかりやすくユーモラスに言ったのか。

これを、あんまり堂々と大演説のように言ったら、違和感がある。

ナレーターは、あまり正面切った励ましの言葉を「こそばゆい」と思う、含羞の人または、ちょっと天邪鬼の感じもする。だからこその、「feet」のたとえなんじゃないか。

 

こう、参加者と読解を深める語り合いをしていくと、あら不思議。みんなの読み方が変わってくる。

読解が、言葉に魔法の粉をかけたように、血が通いだす。

 

リードアラウド、初級のうちは身体的な、というか物理的な、声の高低、緩急、大小などで、「ここでは、こう」とそれらを指摘しながら読み方を柔軟にしていく。

その後、これらの要素が使いこなせるようになったら、心というか頭というか、読解することで心を乗せていく。

 

さあ、ベテランとベテランの域に近づいてきたみなさん。

ワークショップで網羅できていない、隠喩などを含む文も、各自の練習で磨いてください。そして、2月6日の発表会でご披露くださいね。

 

 

本書の指導について。

これを使って読解指導し、仕上げにfluent readingする。高校2年生に挑戦させたことがある。楽しく読んでくれて、「Dr. Seuss大好き!」というまでに。readingのスタミナがある程度ついている生徒に、さらにreadingの楽しさを伝えることができる。指導法として、今回のワークショップでは(も)、発問の重要性についてふれた。

発問するには、指導者としての読解が大切になる。指導者自身の読解過程を、発問していけばそのまま指導になる。

 

また、本書をリードアラウドするポイントのひとつ、押韻した語を押韻しているように読む指導も少々なぞってみた。「聞く」「書く」「読む」指導がそろった、クイズ的でもある、楽しめる語彙学習だ。

 

*英語絵本リードアラウド認定講師講座からのお知らせ

2021年度の締めくくりの発表会は、2月6日、世田谷区の上用賀アートホールにて、1:30から4:00ごろまで。

予約いただければ、どなたでもご観覧できます。一部は「リードアラウド指導」の発表、二部は「リードアラウド(朗読)」発表」。

 

従来120人収容のホールで、現在60人まで収容できます。発表会のお知らせは狭いコミュニティだけでしていますので、「密」からはほど遠い「疎」の状態になろうかと思います。

 

英語絵本リードアラウド、

英語絵本の「読み聞かせ」、

子どもの英語教育、

リードアラウド認定講座や朝日カルチャーセンターの「声に出して読む英語絵本」、

キッズブックス英語スクール

の受講にご興味がおありのかたも、どうぞ足をお運びください。

なお、絵本リードアラウド認定講座の2022年度は3月開始予定です。詳細は2月6日頃発表。

 

発表会会場:世田谷美術館(砧公園内)、ニトリ用賀店そば、最寄り駅は用賀(田園都市線)徒歩20分。環状8号線沿い、砧公園の向かい側、上用賀アートホール

無料。

 

 

 

 

 

Uri Shulevitz作『Snow』の深読み

最近ではオンライン認定講師講座でとりあげた本だが、リードアラウド冬の「定番」は、本書『Snow』。

寒くなったから、ここ最近、きっとわたしの頭のなかにこのイメージが浮かんでいたのかもしれない。

 

そこに今朝、啓示のように本書の意味が「降ってきた」。

 

子どもの雪を見る喜びを表現している、とこれまで主題をとらえて読んでいたけれど、その深層では、「雪」は独裁体制下、ソ連に従属していた作者の故国ポーランドの「自由」とか「民主主義」などを象徴している、ということ。

 

今頃わかったのか、と言われるだろう。だが文字通りSnowの本として、見事に完成された絵本で、深読みなしでも、名作だということが、言い訳だ。

 

自己弁護すると、うすうすそのテーマについて気付いていたようではある。

「冬の寒々とした街の景色が、雪で一変する。その変わりようが、美しく感動的。これは東欧の街でしょうね」などと、発言した記憶がある。

 

本のなかで、街には雪がどんどん降り積もるのに、ラジオとテレビでは「No snow」という場面がある。

先日、この感覚が手に取るようにわかる経験をしたことも、今朝の「啓示」につながったのかもしれない。

 

それは、街中の液晶大画面が小池百合子都知事のコロナに対する「官製発表」のようなものを映し出していたときだった。

カメラの前の作った顔や表情で、これまた作ったかもしれない数字などを口に乗せ、パクパクしている。

現実を見ていない、官製放送。

とたんに、「これに似た経験、前にしたゾ」と思って、よく考えたら『Snow』だった。

 

作者の故国の街、ワルシャワのある時代、さぞかし「発表」と事実が乖離していたのだろう。

その「発表」を信じ、目の前のsnowにさえ、すぐに消えてしまう、と語り合う大人。

そんな大人を横目に、snowはどんどん降り積もり、主人公の少年の歓喜は極まっていく……。

 

雪で覆われた灰色の街は、大雪で一面真っ白になり、それまで「It’s snowing」(自由の時代は来ているよ)と言っていた少年は、最後に「Snow!」(これだよ)(ほら!)と一言、顔を輝かせて叫ぶ。

 

いやはや、なんて骨太な絵本なんだ。

2021年度冬の発表会〜キッズブックス英語スクール

『キッズブックス英語スクール』恒例のクリスマス前の発表会。都合で参加できなかった生徒もいたが、ひとりは録音で出演してくれた。今回の演目はこの6タイトルだった。

『King Bidgood’s in the Bathtub』
『In a Dark, Dark Room and Other Scary Stories』
『The Bad Seed』
『Swimmy』
『Harold & Hog Pretend for Real! ( Elephant & Piggie Like Reading! #6 )』
『Animalia』

単語数がかなり多いうえ、上級な単語が混じっているので、ただ読み下すだけでもなかなか難しいけれど、楽しい本が演目に並んだ。

英語の勉強を始めて4年から5年以上のスクールの小さな「ベテラン」たちが、リードアラウドらしい生き生きとした読み方で、さらりとプレゼンテーションしてくれた。

練習のとき、こんなことを注意したり、こうした方がいいと表現を演出したりした。

  • ボリュームを一語一語順々に大きくしていく
  • ゆっくり読んで部分的に強調する
  • 低い声と間合いを作って雰囲気を出す

大人でも難しい表現を、そのとおり実演してくれた面々。そのひとつひとつを褒めてあげたい。よかったよ! 読みにくくて、一対一で何度も練習したところも、本番ではすらっと言えていた。「そこ! よくできたね!」と声をあげたかった。

なんて立派な子どもたちなんだ???感服した。

みんな、小さなスクールで同じように頑張る仲間と一緒に、指導したことをスポンジが水を吸うようにぐんぐんと体に入れてくれた。ひとりでは、きっとここまで頑張れない。

小グループ、それも粒ぞろいという素晴らしいご縁でできた集団を受け持てて、指導者としてわたしもラッキーだ。どこまで伸びるか。わたしも指導力を磨きますから、もうしばらくご一緒させてください。

King Bidgood's in the Bathtub

In a Dark, Dark Room and Other Scary Stories (Reillustrated) ( I Can Read!: Level 2 )

The Bad Seed

Swimmy

Harold & Hog Pretend for Real! ( Elephant & Piggie Like Reading! #6 )

Animalia