『絵本リードアラウド認定講師講座2020』第6回 報告その1:対面で『The Story of Ferdinand』〜リードアラウド研究会

久しぶりの対面でのワークショップ、認定講師のベテランが集まった。本は

この古典名作。1936年初版から版を切らしたことがないという。軍事政権下で厭戦気分を広げるという恐れからか、スペインでは出版当時に発禁に、ナチスドイツでは焚書された。

 

それでも、またはそれだからか、子どもや親に愛され、スペイン内戦、第二次世界大戦、ベトナム戦争…それぞれの戦時下でも支持されてきた、ウシの物語を読み解いていった。

自習でも、そこそこ、普通にユーチューブにアップされている程度には仕上げているベテランたちが、この日、どんな演習をし、それからどんな朗読に仕上げたか。

テーマは、キャラクター造形。それを今回は、各自自由にという形ではなく、皆で本を分析し、ナレーター像を具体的にして、そのリアルな「声」を探した。

ナレーターの背景、どんな人生を歩んできた、年の頃、何歳くらいの男性か、女性か。

どうも女性の読み手は「手抜き」すると、名前のないなんとなくステレオタイプの「おばさん」の、優しく、ちょっと甘ったるい口調で、無難にまとめてしまう嫌いがある。

これでは、どの本も同じように聞こえてしまう。

果たして、本課題書はそう言った「お話のおばさん」の語り口調であっているのか。

 

イメージを作っていくのは楽しいものだ。物語の背景が見えてくると、その背景を背負ったキャラクターが見えてくる。ちょっと少女漫画の登場人物っぽくなったりもするが、話の中で生き生きさせるにはそれもいいと思う。

さて本書だ。多分、ナレーターは男性ではないか。母ウシの登場するところ、テーマも、諧謔のさじ加減など、随所に私は「男性」を感じる。甘えた女性的な読みは、この本に合わないと思う。

人生をある程度、もう知っている声に聞こえる。子どもの語りではないだろう。

滑稽なものを、一段高いところから、滑稽だろ?と見せている感じもある。理知的だが、冷ややかさや硬さはなく、ハートのある諧謔精神の持ち主か?

表情は?姿勢は?

……こうして、イメージが浮かんでだんだんとその「解像度」が上がってきたところで、ポイントポイントのナレーションを読んでみた。

 

おー違う違う、最初の読みと、みんな違う朗読だ。

聞いて浮かぶイメージが、はっきりしてくる。静止画像だったのが、まだ所々止まるが動画になってきたような感じだ。

キャラクター分析、造形後の朗読で見違えた皆さんの感想を幾つか、ご紹介。

得意な「キャピキャピ」な声を封印して、一人のハンサム知的中年を浮かび上がらせたYさん:

「姿勢を良くし(外見を作っ)たら、やりやすくなりました」

なんだか、胸板の厚い、奥に熱き血が流れている、ゴマ塩頭の弁護士の語りに聞こえてきたMさん:

「ショーン・コネリーをイメージしたら、自然にキャラクターが喋り始めて、意外と楽でした」

 

みなさんの二度目の朗読、本当にリアルになって感動的!

とはいえ、ほころびというか未完成部分がまだあるので、人物像をもう少しまとめ、その人として、本書に書かれていることをその人だったらどう口に乗せるか、練習で磨こう。

次回が大変楽しみだ。

(後日、その2に続く)

 

 

図書館の本はpaperweight?暇すぎる学校図書館の話〜キッズブックス英語スクール

インターナショナル学校(男子校)に通う少年にReadingの個別レッスンをしている。
英語はいわゆる「ペラペラ」だが、Readingが弱い。
 
さて、このKくん、いつも機転はきくし、丁々発止のやりとりが楽しい生徒。わからないこと、気になったことは、すぐに質問する、インターナショナル学校の教育のいいところを身につけているG5生だ。
 
先日は、レッスンには関係ないが私の会社の名前、Paperweight Booksの由来を質問された。
 
「本が好きでどんどん買っていたけど、読むのが追いつかなくて『積ん読』になっていた。それじゃせっかくの本がただのpaperweight(文鎮)だね」と言われたという由来を話した。
 
 
すると、ニカッと微笑んで
 
「そりゃ、うちの学校の図書館と同じだ!」
 
って。えっ?
 
 
 
自分たち(K-G12、男子)生徒が図書館の本(というか本全部?)を読まなすぎて、図書館の本がpaperweight化している、というのだ。自虐的な発言。
 
 
 
 
図書館司書もそれを知っているから、「あんまり借りない本を、接着剤で壁にくっつけて飾りにしちゃったよ」。
 
 
 
ありゃありゃ。司書の先生も泣く泣く、だろう。
ああ、本も悲しんでいるはずだ。
 
 
話としてはおかしくて、わたしも大笑いしたが、いかん!
 
いかんよ、君たち。
 
 
本を読もうよね。
 

『This Is Not My Hat』:認定講師講座第5回〜リードアラウド研究会

今回の課題書は、とても絵本としては現代的な「盗み」をテーマにした一冊。ブラック?な結末だからか、「絵本ノアール」とも称されることもある。

本文は全編、主人公の小魚のモノローグ。ということで、読むのにあたって、ベテランの認定講師のみなさんには、キャラクター造りをしてもらった。

今年度の本講座で、特に強調しているのが、このキャラクター造り。

性別、年齢から、体格や体型、性格、育った環境、運動が好きか、趣味など書き出して見たり、語り合うことで、語り手(小魚)の声や喋り方、表情、しぐさなどにだんだんキャラクターとしての個性が出てくる。

練習していて特に難しいのは、登場したとたんにそのキャラに切り替えるところ。

近頃、実にこのキャラクター造型が瞬間的に、次々とできる天才、と思うのが、沢田研二さん。歌手だが演劇のように一曲一曲を、物語として、その登場人物を演じるように歌うのだ。

その秘訣を聞かれ、本人はちょっと謙遜して「衣装と照明と化粧とイントロの音楽」のおかげと言っているけれど、衣装を変えず次々と、まったく違うキャラの歌を演じているのを見たことがある。やはり、うまいのである。

絵本のリードアラウドは歌と違って、商業的に成り立たないから当たり前だが、なかなかプロ的で手本にもできる人が少ないので、ベテラン歌手の例で失礼する。

最近改めて気付いたのは、絵本の朗読と歌の表現の仕方は似ているということ。

どこが似ているのか。

 

・絵本の一話と歌の一曲のよくある長さが3〜4分と、「勝負」の時間が似ている。

・一話一話または一曲一曲に「声」がある。キャラクターがある。

・印象つけたい言葉、フレーズがある。

・インタラクティブ(唱和するなど)

など。

 

たとえば、前述の沢田研二さんの作品でキャラクラターのバラエティの多さを考える。

おとぎ話の王子様、恋に狂おしい若者、夢見る少年、若いヒモ、余裕綽々の色男、痩せ我慢の男、「すけこまし」の軽い男…

 

実によく、それぞれの歌でドラマが出来上がっている。だから、振り付けもそれらしいのが、自然につけられる。

たとえば、スーダラ節のような手足をして歌う頭の軽い男の役や、きりりといい角度でポーズが決まる、痩せ我慢の昔かたぎの男の役、「すけこまし」だとウインクやら帽子投げ、指しゃぶりが出たりする。全部自分で考えるというから、お見事。

彼自身、そういうフリをつけることでも、役に入っていけるんだろう。たくさんなる持ち歌のメドレー(youtubeに多数アップされている)、特にライブステージでの、ちょうどいい間ときっぱりしたキャラクター転換は圧巻。

絵本の朗読で、こういう切れのよさというか、成り切り芸を見てみたい。

今回の講座で、印象に残ったのはベテランHさんの小魚のキャラクター。いかにもいそうな、いいかげんな「ヤツ」。それでいて、愛嬌があるから最後にペーソスが漂う。思い切りよく、照れずにできていてみんなの笑いよけいさらっていた。

次回の発表時の、みなさんの小魚のキャラクター楽しみにしています。

 

沢田研二論?で長くなったので、リードアラウド講座報告、つづく。

好評です、オーダーメイド選書〜キッズブックス

申し込みいただいたお客様に答えていただくアンケートに基づき選書する『英語絵本オーダーメイド選書』。以下のような感じで選書し、好評をいただいています。

選書に添えた選者のメモの抜粋を、二つご紹介いたします。

小学生が楽しめる読み聞かせに向いた絵本の中から、「セリフが多く、いろんなキャラクターが登場するストーリーを読むのが好き」というリクエストに合ったものを選びました。

Dog and Bear: Tricks and Treats』には、三つの短いエピソードが収録されています。キャラクターがはっきりして読み分けしやすい、掛け合い台詞のような本文で、朗読劇にも合っています。

Mr. Gumpy’s Outing』は、たくさんの動物が、Gumpyさんの船に乗せて欲しいと頼んでくるという、会話の多い物語です。いろいろな動物のしぐさが面白く、子どもたちが喜びそうです。

A Big Guy Took My Ball!』は、アメリカで大変人気の「Elephant & Piggie」シリーズの一冊です。全編会話仕立てで、子どもらしい生き生きとした会話が、スピーキングの練習にもなります。同作者の『The Pigeon Needs a Bath!』は、主人公Pigeonの独白の物語で、子どもたちとインタラクティブな読み聞かせができます。

(M様)

アンケートから、英語の絵本にかなり親しんでいらっしゃることが伝わりました。今回、選んだ10冊は、日本で、これから子どもに英語の絵本の読み聞かせを始める方が選ぶ絵本とは、少し異なっているかもしれません。どちらかといえば、絵本好きな英語ネイティブの家庭向けの選書となっています。

どれも英語圏で版を重ねている名作です。読むたびに新しい発見のある、滋味あふれる作品ばかりです。また、イラストの傾向やテーマは、幅広くとりあげました。

同じ本を読み聞かせても、幼い子どもの場合、数ヶ月で受け取り方が変わります。初めは反応が薄くても、成長するにつれて強く興味を持つことがあります。最後にお願いです。絵本は、すぐに手の届くところに置いてください。そして、解説を参考に、いろいろ工夫しながら、何度もお楽しみいただけると幸いです。

(S様)

Dog and Bear: Tricks and Treats

Mr. Gumpy's Outing

A Big Guy Took My Ball!

The Pigeon Needs a Bath!

夏の英検講習で胸がチク〜キッズブックス英語スクール

世の中、英検というものがこのところ、ずいぶんと幅をきかせている。英語の力を示す資格試験としては、あまり上手に受験者の力をすくい出していないと思うが、そこは「足の裏についたご飯粒」。「取らなくても影響はないが、取らないと気持ち悪い」。

ということや、スクールの親御さんのご希望もあって、スクールの通常授業とはべつに今夏は、英検講習会を開いた。

テスト対策のようなことをやっていると、ふと「嬉々として」いる自分に気づくと同時に、理想としている教育から離れていくように感じて、戸惑う。

スクール生は集中力があってすごい。指導者のへんな戸惑いをよそに、2時間ずつ3日間のクラスを、けろっと終えた。たいへんな量の情報を、これまでの知識とともに整理して、すごいぞ、小学生。よくできた。

最終日のこと。模擬試験をしているときに、ある印象的なできごとがあった。

ひとりの手が止まっている。

まだ問題は半分以上残っている。単純計算すると一問一分以内で解かないと終わらない試験なのに、5、6問解いたところで、先に進まない。

「わからないところは、飛ばして」

まずは、こんな嫌なこと、理想の教育としては勧められない指導をして、わが胸がチク#1。

しばらくしてまた見ると、問題用紙に直に答えを書き込んだまま、あらかじめ説明したつもりだが、まだマークシートに印をつけていない。

「答えは、やりながら、マークシートに書こうね」

これも、別に本当の勉強にはなんの関係もない、試験テクニック。なのにさも大事なこととして「書かなきゃだめじゃない」みたいな顔をして、「指導」してしまった。胸がチク#2。

「あっ」と気づいた生徒は、何度も何度も問題用紙上にしるししたところを確認しながら、不器用にマークシートに答えを書き写している。おまけに塗りつぶすのがやけに丁寧で時間がかかっている。

もうすでに十分に時間はくっている。こっちがそわそわする。

「制限時間があるの。だから、そんなに丁寧にしなくても大丈夫だから」

こんないやらしい台詞を吐いた。試験のテクニックとしてはありだが、ものごとの指導者としてどうかと思う。胸がチク#3。

やっと埋まり出したマークシートをちらっと見ると、今度は何もマークしていないところが、ぽつぽつあるではないか。正直すぎる!

「わからなくても、どれか塗らなきゃ」(どれでもいいから、と言ったかも?)

あらら、なんてことを。声が高くなってしまった。なんて指導だ。「消去法」まで教えてしまった。わからなくても、より得点をあげるテクニック。ああ、胸がチク#4。

そう言われて躊躇する生徒は天使。こちらは、悪魔か魔女か。

「書かないと得点がゼロなのは確実だけど、何番でもいいから書けば、1/4の確率で正解のチャンスがある。どれか選んで塗りつぶしなさい」

滑らかで自信満々の口調。こんなことでテスト、くぐり抜けてきたんか、わたし。

でも、必要悪なんだよね、多分?!