本を読むことで、救われたこと、役に立ったこと、楽しかったこと、実用性を感じたことなど、読書はいいことだらけと思えるわが人生。
幼児期に日本語の本から読み始めて、本の渦に身を投じ、後に、世界には英語で書かれた本が溢れていることを知って、英語の読書にも足を踏み入れてからほぼ半世紀。
やっと、ミステリーなど気楽な本なら「英語でも日本語でも」気を張らず、娯楽として読める、というところまで辿り着いたのがここ10数年だろうか。
正直なところ、もうちょっと早く辿り着きたかった。ーここだ。
わたしの英語指導、特に英語読書指導への情熱は、ここから湧いてくるようだ。
「気を張らず娯楽として英語の本を楽しめる」ように、ひとりでも多く、なるべく早く、なって欲しいという思いだ。
子どもたち、若い人たち、まだ英語読書を「娯楽」の域まで引き寄せてない人たちみんなに、なるべく早くにそこへ着いてもらい、そこから広がるとてつもなく広い読書の世界、本の世界を楽しんだり利用して欲しい。
そして都合がいいことに、そこを目指すといい塩梅に、語学の力はくっついて来てくれる。
そこで、英語での読書(reading)の第一歩、英語の絵本である。
(日本語で「リーディング」というと、英語学習での「読解」をイメージしてしまうが、英語で読書のことをreadingといい、日本でいう「英文解釈」は、reading comprehensionという。)
「子どもに英語絵本を」と、リードアラウドというメソッドを始めたのも、英語読書への入り口を広く入りやすいものするためだった。
そこでどうやったら、英語を母語としない日本の子どもが、英語絵本を手にとるようになるか。
英語読書の動機づけは何か、と考えた。
それは、「楽しさ」。
面白くて楽しければ、もっと読みたくなる。
それを繰り返すうち、英語読書は習慣になる。
次第に自分でも読める言葉が出てきて、読める本の文字数や使われる語彙の数がより多い本へと選書の範囲が広がり、「世界」が広がる。
では、何を子どもは楽しいと思うのか。
英語の本を読むことは、どうだと楽しいのか。考えた。
経験値から次のことが頭に浮かぶ。
•子ども自身が発言の機会を持つこと
•発言に対する好意的反応を周囲から得ること
•体を動かすこと
•知らないことを想像すること、知ったり分かったりすること
•見たことや聞いたことのないことを、体験すること
これらの要素を織り交ぜて、英語絵本を子どもに楽しませるのに、こう読んでいこうと考えてきた。
英語絵本を楽しく読ませる方法:
•本文は読み聞かせるのではなく、子どもに参加させて読み合ったり、指導者の読みを聞いたままマネて言わせよう(シャドーイング)
•書かれていることの解説をするのではなく、まずは場面を彷彿とさせる指導者の読みと、内容を表す挿絵から推測させ、理解へ導こう
•始めから終わりまで一字一句もらさない「逐語訳」を目指さず、本全体から大まかな主題を感じ取らせ、習熟度に合わせて「拾い読み」、ディスカッションしながら「点」や「線」を結び、主体的な読解に導こう
•遊びに近い「アクティビティ」で、本文の英語表現をたくさん使わせよう
ところで、こうした読み方に適した絵本は、英語がわかるだけでは、なかなか簡単に選べない。
英語絵本を数多く知っていることに加え、英語を日本人が学ぶときの特徴と、英語母語者の英語の学び方をある程度知っていることなど、専門性が案外と必要だったりする。
英語読書、英語絵本の選び方について書いた。「英語絵本から英語読書へ〜その2」に続く。