本年度も月一回、神保町のブックハウスカフェで英語絵本リードアラウドをさせていただいている。
2月の絵本は『Little Blue and Little Yellow』by Leo Lionniだった。
参加対象を4歳以上にしているが、サバを読んでいる3歳(?)もいて、本書の想定年齢よりも若めの参加者だった。
こういうときは、伝えたい内容の「解像度」をぐぐっと落とす。
見せたい、言わせたい、分からせたいものを単純化する。
とはいえ、本書の絵は写実からは遠い、まるで抽象画のよう。
大人は「大丈夫だろうか」などと考えがちだが、抽象的なのがかえって幼児に難しさを感じさせないようだ。
世界中で幅広い年齢層に愛されている名作だ。
タイトルで遊んだあと、青のドットを見せながら「This is little blue.」とナレーターが語りかける。
この日は、この第一ページをより具体化して見せてみた。
little blueっぽいボールをひとつ入れた紙袋を用意。
ひとりひとり、紙袋に手を入れて、ボールをつかんで取り出すときに「This is……」と言わせる。
つぎに、ボールを他の人に見せながら、「little blue!」と言わせる。
ちょうど、手品が帽子からウサギを出すようなイメージ。
言った、言った。
3歳も英語のセンテンスを言った!
こうして、この場面を少しでも記憶に刻んでくれれば、めでたし。
リードアラウド指導者としては嬉しい。
「This is a pen.」といった昔の教科書のような唐突な文ではなく、優れた絵本にはシチュエーションが描かれているので、「This is little blue.」は必然的な文となっている。
これまで選んでリードアラウドしてきた絵本は、どれも芸術的・文学的シチュエーションが見事に描かれている。
教科書の例文のように、奥行きもドラマもないただの情報とは一線を画す。
ブックハウスカフェの「Let’s Read Aloud!」は、一冊の本を1時間で楽しむという催しだ。
「This is little blue」のように具体化するページは厳選して、予定時間ぎりぎりで、一冊終わりまで楽しみ終えた。
でも実は、いくらでも深掘りできる語句や絵や読み取り方がある。
ああ、一回で終わらせるにはもったいない!
自分のクラスで英語絵本が使える先生だったら、一冊で三回くらい楽しめるだろう。
英語学習的なことも、数え切れないほどある。
英語絵本は、一回読むだけじゃ、ほんとうにもったいない。