10年以上前に、ある演技の先生の門を叩いた。
その時、真っ先に言われたこと、
「僕の(レッスン)はお稽古じゃありませんよ。お稽古のつもりなら、お断りします」
その時、初めてだ。「お稽古」とプロの「レッスン」の違いを意識したのは。
「お稽古」では、(プロを目指すほど)うまくならなくていい。結果は問はず、練習したこと自体を褒めてもらえる。
しかし「お稽古ではない」というこの先生のところでは、「いくら練習しても上手くならなきゃ、僕は褒めませんよ。結果を出してもらいます」
と言われた。
通い始めたら、まあ、その通りだった。
「よく練習しましたね」とは、褒められるた覚えがない。
ずいぶん練習して臨んだのに、先生の口からため息が出て、こちらの胃が痛くなることも少なくない。
「今日は、ここまで」と匙を投げられたように、レッスンが終わることもあった。
「おいおい、褒めて育てる」つーのを、知らんのか!」
と恨みがましく思ったこともあった。
ところが忘れもしないある日、先生が言った。
「実はいつも(不思議に)思ってたんですけど。レッスン(で、できなかったところ)を持ち帰って、次に来ると、ちゃんと仕上がってますよね。どんなことしているんですか」
え〜、そう思っていただけ?
ああ、言って欲しいよな。
とはいえ、最大級の先生の褒め言葉として、自信につながった。
なぜ、こんなことを思い出したかといえば、私が指導する、英語絵本リードアラウド認定講師講座2022年度の受講者の認定審査があり、その講評を書き終えたところだから。
いや〜、この講座は全然「お稽古」ではない、と思えた。
みなさんが、結果が出ている。
みなさんの上達を見られて嬉しい。
(写真の意味:サクラサイタ)