新宿にある生涯学習センター(朝日カルチャーセンター)で、小さなクラスを持たせてもらって、もう5年になる。最近はコロナのせいで、オンライン授業が続いていたが、春期からは対面に戻れそうだ。
このクラス、大人の英語学習という観点からすると、他のクラスよりきっと例外的に受講生の進歩が早いのではないだろうか。語学学習で「Younger is better, older is faster」と言われることがあるが、みなさん「Older is faster and better」で驚いてしまう。
最近終わったばかりの冬期クラスでは、『The Little Mouse, the Red Ripe Strawberry, and the Big Hungry Bear』と『The Foot Book』2冊のリードアラウドを磨いた。
ここのみなさんの素晴らしいところは、学んだ新しい表現方法や、講師のわたしや仲間に指摘を受けたもっと磨けるポイントなどの課題を、次回までにかなり仕上げて来ることだ。
例えば、『The Little Mouse, the Red Ripe Strawberry, and the Big Hungry Bear』では、ナレーターを、何人かの異なったキャラクターに設定して読むという演習をした。
『不思議の国のアリス』の主人公アリスのような少女をナレーターにしたSさんは、最終回のプレゼンで、アリスがすっかり板について、ほとんど違和感のないアリスが浮かび上がった。あまりに見事だったので、どんな練習をしたか尋ねると、イメージを染み込ませるためにディズニーアニメの『ふしぎの国のアリス』 を見て研究したという。
Tさんは、一度、アガサ・クリスティーの推理小説の主人公ミス・マープルで仕上げたが、これまた見事だった。柔和で、おちゃめなおばあさんが、登場したようで引き込まれた。
『The Foot Book』は一見、反対語を集めた教本のような作りだが、そのまま教本として読むのはもったいない。まるで単語カードを読んでいるようで、まったく面白さがわからない。実際、作者Dr. Seussは、「つまらない教本」のパロディを狙ったのだろう。
ところが……。
よく読むと、人やものの多様性を賛辞するいい話ということに気づく。そこから、リードアラウドが変わって来るべきなのだが、なかなかその域まで、表現に変化をつけられる人は多くない。
が……。
このクラスのみなさんは、しっかり笑えるコントのような仕上がりに。
Hさんは、几帳面に、反対語のひとつひとつの表現を大きく変化に富むよう工夫して、印象を強めた。ひとつひとつの単語がぴちぴちしていた。言葉を対比し、三段落ちで笑わせる場面では、ちゃんと三番目でオチていた。
こう読んでほしいと講師が求めた模範的な仕上がりになった。
といっても、わがクラスは、そこで終わらない。さらなる自習の課題は、その調和をやぶるプラスアルファを考えて、聴衆を笑わせること。
これは、手強い。言うは易く行うは難し。講師もぼちぼちしていられない。
※朝日カルチャーセンター新宿校「声に出して読む英語絵本」春期講座は4月8日から