英語絵本をわが子に読んでやろう、と思う親御さんが増えている昨今、英語指導者はそういったみなさんをどう指導するかも、本講座のテーマの一つだ。
「その1」で書いたように、忙しい中集まった親御さんに「来た甲斐があった」と思ってもらうためには、何をしたらよいか。
特に今回の『More』では、ガラクタ集めの習性があると言われるカササギが集めたモノたちが、文字通り「山ほど」描かれているので、そのモノたちの名称は挙げられるようにしておく。
意外と知らないものもあって、予習は必須だ。
そして次だが、これは大抵の親御さんたちは自覚していないが、リードアラウドでもとても大切にしていること。英語が非母国語の子どもに英語の本を読んであげるのに特に大切なのが、表現ある読みをすること。
これが大切だと思ってもらうことが、難しい。
発音については大いに気にしていのに、こちらはほとんどゼロかもしれない。どう興味を持って、楽しんでもらうか。
親でなくとも、一般の大人は、英語絵本を読むと90%くらいの人が「普通に」読む。普通とは、ただ文字を声にすること。
これは表現ではなく、書いてあることの伝達としての読みである。
絵本はニュースでもなければ、お知らせでもなく、作家たちの作品、表現すべきものであり、おまけに英語で、相手は英語を知らない、幼児なのである。
幼児は、日本語であってもニュースやお知らせにほとんど反応しない。何か自分に関係あるストーリーが語られて初めて、注意を向けてくれる。
そこで、ストーリーを語りとして聞かせる、表現する力が必要になる。
この日、親御さんの表現を引き出す、ウォームアップになるアクティビティを実際に自分たちで演習した。
文字がとても少ない本書、「普通に」読むと大抵が「のっぺらぼう」になる。
まずは、nothing-something-everything この3語を、いろいろニュアンスを変えて言い換えるアクティビティ。
そして、more-lots-plenty の形容の度合いの変化をつける。
muchも、a bit much、much too muchと、どう違えるか。
enough? enough!はどう違うか、
more than enoughはどう?
親御さん向けのアクティビティをしながら、実は自分たちの表現練習でもあるわけだが、表現練習というもの、どうも自己解放と繋がって楽しいから不思議なものだ。
こうした楽しさを、親御さんに伝えられたらと思う。
親御さんの「来た甲斐があった」感は、これまで英語絵本を読むにあたって疑問に思っていることに意見が聞けることでも、感じてもらえる。
そこで親御さんからのFAQへの答え方を、おさらい及び新しい情報も。私たちの答えが、自分の狭い経験値ではなく、できるだけ客観的なものにするという心構えは大切だ。
第二言語習得論に照らしたものなどを、できるだけ知っておく。
いくつかあるFAQから、この日は動機付けについてなどについて、ディスカッション。
それから、
いつも時間が押してしまうのが反省点なのだが、ひとりひとりにお願いする模擬指導で締める。
ついつい指導者というもの、発問することで双方向型の進行を心がけていても、発問のなかに(巧妙に?)説明やら解説やら想定回答などを入れてしまっていていることもある。
そう言った場合、面白いのは本人が気づかないこと。
なので、指摘されないと修正できないものだ。
発問するということ、リードアラウドの指導を意識し始めて日が浅い人ほど難しさがあるようだ。この講座が、いい機会でありますように。