大人、大いに笑う~英語指導者向けシアターゲーム・ワークショップ

英語を子どもに教えている、英語と関わっている大人が、そのことを「出し」にして集合。英語「脳トレ」と一緒に、とっておきの時間をすごしたのが、先日のシアターゲーム・ワークショップだった。

 

どんなだったのか。

 

「今日は、よく笑えたことが一番よかったです」

「自分の殻から出たようにも感じました」

「他者を受け入れるということの大切さを思い、身内からしなきゃと思った」

こんなふりかえりが聞かれた。

 

10以上のシアターゲームをしたが、

しょっぱなは、お互いの名前を覚えるゲーム。

簡単なゲームなのだが、案外と、わたしたち日本人には効果的だと今回、再認識したものの一つだ。

名前を覚えるのが、人付き合いの第一歩のような英語圏と違って、日本ではずっと名前を知らない顔見知りが多かったりで、名前を知ることにそう積極的でもない。

普段は、忘れたらそう何度も聞き直せない人の名前が、このゲームであれば聞き直せるから気楽。

自分が忘れてしまっても、忘れて恐縮している人を見るのも、ゲームなら楽しく、笑っていられ、そうこうするうちに覚えられる。

そして、気がつけば、初対面の距離が縮まっているのだった。

 

もう一つ、単純だが今の日本人に必要だと思うのが、大きな声を出すゲーム。

大きな声をだすことは特に近頃では機会が少なくなって、物理的に出せなくなっているかのような子どももいたりする。そんな事実は、ディストピア小説ではなく、現実に起こっている。

なので、子どもの英語指導で思いがけず苦労するのが、この「声を出させる」ことだったりする。

 

この日はいくつかのゲームでウォームアップして声帯を緩め、最終的には大人は普段は使わない、なんと叫び声までわんわん出しあった。

叫ぶ、というのも解放感あるもので、そのせいか、参加者の顔には笑みが浮かぶ。

 

集中し、自然な協力や協調を促すという状況を作り出し、それに慣れるというゲームも楽しんだ。印象深いのは、No doubles alphabet。

これは、全員でアルファベットを言っていくだけなのだが、ルールとしてアルファベットひとつに対して一人しか言ってはいけない。声がダブったらまたAから言い直し。

これは、先生や講演者の「空気を読む」力に通じる。

誰が次のアルファベットを言いそうか、あるいは誰も言わなそうか。

自分が声を出す好機を察すると同時に、思い悩まず言ってしまう、思いっきりの良さ、瞬発力のようなものを使う。また、次々続けるために、仲間と暗黙の「あうん」の空気を醸すのが近道と悟る。

 

また、頭の「引き出し」をあちこち開けて、脳の棚卸し的なゲームも行った。

 

カテゴリーをひとつ決め、そこから知っている語彙を、手拍子やスナップに合わせて繰り出す。最後には絞り出すゲーム、Category snapもそのひとつ。

動物名を挙げるとなったときは、みなさんは「楽勝」と思ったかも知れない。

しかし、延々続けていくうちに種が尽きて、頭を絞りあげないと出てこない、脳内の引き出しの底をたたくような感じも味わっただろう。

だがこうした時に、思いがけず奥の方からむくむく、久しぶりの単語が起き出すことも、経験できたかもしれない。いわば、脳のすす払いができたかな。

やけっぱちの「怪獣」を出してきたり、大人がみんな「お茶目」になって、笑いが頻発するゲームでもあった。

 

ひとつの言葉から順々に連想していくassociation ゲームも、人の頭の中は違うもんだと興がわいたかもしれないが、それをさらにひとひねりした、dissociation(関係ないことを言う)ゲームは特に、人の意外な弱点、連想を遮断するのが難しい点を発見できたのではないだろうか。

連想は連想で、なかなか思うように浮かんでこないが、全く関連のないことをとっさに言うのは、難しい。でも、何の評価もない環境のおかげで、困る自分や困っている仲間はユーモラスで、心地よい笑いに包まれた。

 

応用で、Telling a storyをしながら、他人の言うdissociate wordを即座に物語に組み込むというゲームも行った。

これはまさに、子どもとの授業の運び方の演習になるゲームではないかと思う。

というのは、子どものよくある発言はいわば、dissociated wordsなのである。

授業中の子どもの、関係のない発言に当惑した経験を、先生なら誰も持っているだろう。

そんな発言を、先生として無視しない、否定しない力は、こんなゲームで培われそうだ。

子どもの、dissociateな発言をうまく拾ってあげること。

そうすることで、生徒は恥をかくこともないし、クラスに参加できた気持ちがするし、おまけに先生が自分の発言に繋げて話を進めてくれたりしたら誇らしく、やる気も出るものだ。

 

さて、シアターゲームのひとつの柱でもある、感情表現のゲームである。

英語について言えば、感情を大きく表すのが、英語を人に通じやすくするコツのひとつだったりする。

また、自分の感情もこうした感情表現の演習で、外に出しやすくなり、そのことが、精神衛生上とてもよかったりする。

感情表現のゲームから、ハイライト。

3つの典型的感情を、瞬時に変えて表現するゲーム、Emotional fruit salad。

このゲームをしたあと、ひとりの男性が「特に、angerが難しい」と発言。

 

珍しい男性の参加のおかげで、女性とは違った社会的ストレスがあろうことに考えが及んだのは、貴重だった。

男性として「優しい」と周囲に思われている人にも、当然怒りの気持ちはあるのはずで、それを出さないように女性よりもより強い抑制をかけて、おかげでそれを解放するのが、余計に難しいのかもしれない。

感情表現ゲームは、感情解放の「仕掛け」にもなる。

 

いろいろ盛り沢山、最後は「Yes, and」、相手の話を無条件に受け入れ、それに自分の考えを加えて展開したり、発展させたりするゲーム、Telling storyで、ちょいと頭を使って、4時間のワークショップが無事に、おしまい。

 

いや〜みなさん、どうもお疲れ様。

笑いましたねえ。そして、みなさんと、いろいろな気づきがありました。

ご参加、ありがとうございました。