リードアラウド指導するなら「ミドルヴォイス」を獲得しよう

公立の小学校の放課後。
リードアラウドをほぼ週に1回行っている。
そしてその場をお借りして、リードアラウド指導者の研修も同時にさせていただいている。

1年生から4年生まで20人以上いる放課後の教室だ。
静かなはずはない。
そういった場で、指導者に一番欲しいのは、とおる声。

普通の生活をしていると、多くのひとは自分の声域の
低いところにある「chest voice」(地声)と
高いところにあって話声ではない「head voice」
この2種類しか使っていないようだ。
または、それしか持っていない。

ところが、その2種の間に「middle voice」を持つことができると言う(Roger Loveら)。
ヴォイストレーナーは、そのひとのmiddle voiceを探し出し、それを強く、美しくするのが、重要な仕事ということだ。

研修生も、middle voiceを持っていないか、弱い場合がほとんどだ。
そういった場合、教室はどうなるか。

普段の話し声とはまったく違う、耳障りの良くない叫び声で、
「静かに〜」
などと言うのだが、いっこうに生徒は聞いてくれない。
騒然とした教室で、何を言っているかよく聞き取れないが、先生が声を張り上げ続ける……。
こんな授業、先生と生徒どちらにも不幸なことだ。

毎日教室に立つ小学校の先生は、たいていの場合、自然にミドルヴォイスを獲得している。
みなさんさすが、よくとおって、聞き取りやすい声の持ち主だ。

こういった、自然にミドルヴォイスというものを獲得できる環境にはないが、リードアラウドで声を使う、「聞いて頂く」わたしたちはどうしたらいいか。

それは、ミドルヴォイスを習得すること。

そうして、声の低いところから高いところまで、自分も楽に、そして聞くひとに心地よく聞きやすい声を出す。

そうした声でこそ、深い本の内容も聞く人の耳に届くというもの。
研修生ならば、ワークショップでのヴォイス・トレーニングを、家でも実践したい。

最初、か細い声で、大勢の子の前では叫ぶしか出来なかった元研修生が、今や
「い〜い声ですねえ」
とワークショップでわたしが驚嘆する場合も、たびたびだ。
自己研鑽のたまもの、素晴らしいこと。

これからmiddle voice をというひとなら、だいたい1年、Roger Loveのdaily warm-upなら、週2くらいのペースで続ければいいだろう。

「表現」の第1歩、声量と響きを、ぜひ手に入れよう。

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