簡単な本を読むのって難しい

「翻訳出版用ブックハンター」のひとりとして2年前にハントした本、Goodnight Me が、ご一緒したハンターのひとり、落合恵子さんの訳で『おやすみ ぼく』となって、人気を博している。
2万部も売れているらしい!

夜も更けたパウエルズ書店で、4人のブックハンターが選書したのが懐かしく思い出される。
なんといっても落合さんが惚れ込み、いい日本語になったようだ。
その翻訳者自身、それも元アナウンサー、ラジオDJの元祖女王が、
「あの本、読むの難しくって」
と、つやつやした、い〜い声でおっしゃった。
さすが、である。
やっぱりお気付きだ。

「おやすみ ぼく」と、まだおむつをつけた幼児、のようなオラウータンの子が、自分に言っていく。
自分の体を愛でながら、体の部分のひとつひとつに「おやすみ」。
そんな簡単そうな本。
……いったいどこに難しさがあるって?

「簡単そう」がワナなのだ。
こういうのを普通の大人が読むと、どうもワザとらしくなったり、カマトトっぽくなったりする。
一言でいえば「気持ちわり〜!」になるのだ。

子どもらしさを、大人が自然に演じるのは、ほんと、難しい。
全編、子どもの言葉で語られるこの本、
英語でもわたしは、まだ怖くて挑戦していない……。

翻訳を出した編集部の人が、先日、俳優の中島朋子さんがこの本を(番組かなにかで)素晴らしく読んだ、と言っていた。
以前から定評あるあの「蛍ちゃん」、子どもの魂を持ったままのような印象の中島さんの朗読だ。
ぜひ聞きたかった。

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