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4月からの新年度、幼稚園児や小学生のときから英語絵本をリードアラウドをしてきて、「中高生クラス」生になった生徒たち。
近頃の「教材」は絵本から「児童書」になっているが、readingが主のレッスンだということは変わらない。
新年度が始まるまでに教材を決め、そのすべてに解説をつけるため、指導者として初めての本はすべて読む。
そのなかの一冊、オーストアラリアの人気児童書作家、Andy Griffiths とイラストレーターのTerry Denton作のThe Treehouse シリーズ、『The 117-Story Treehouse』を読んだ。
いやはや、面白い。
子どもやわたしのような「子どもっぽい心」を持つひとを引き込むのが、うまい。
著者たちふたりを小学生高学年くらいに設定した主人公たちはなんと、117階建のツリーハウスに住んでいる。シリーズ最初は13階建だったらしいが、今回はまたまた増築。子どもだったら夢のような新たなフロアーが次々と紹介される。
その過程で、主人公のひとり、いつもイラスト専門のテリー、今回は自分が物語を書くといって、語り始めるが、何度も「どこかで読んだことがある」話、「ありきたりのオチ」などに陥ってしまう。そうこうするうちに、Treehouseにいる「物語警察」の「ダメダメ物語取り締まり」に引っかかって、追われる身になってしまう……。
たぶん、作者たち自身も「子どもっぽい心」を持つ人で、自分らが面白いと思うことを書いて、書きながらけらけら笑っているような(実は苦しみながらだったりするかも、だが)雰囲気がある。小学6年生前後の心かな。
子どもが飛びつきそうな発想はもちろんだが、そこに、読書離れから子どもを引き戻そうという大人の知恵も見える。
page-turner と呼ぶ、ページを繰りたくなる魅力、あるいはウマの目の前に吊るす「ニンジン」のような、ポテトチップにふりかけた調味料のような、そういう「あとを引く」ものが各所にぶら下がっていて、読書に慣れていないひとでも次々とページを読み進めやすい。
みかけは分厚いペーパーバックで、なんと371ページもある。
だが、イラストが文章と同じくらいの比率でそこに溶け込んでいて、ところどころはマンガのように次々読み進められ、「グラフィックノベル」とも呼べそうだ。
わが生徒たちは、絵本では文字が少ないものから多いものへと読み読んできた。グラフィックノベルにも足を踏み入れている。
さあ今年度は、絵の多い児童書、「page turner」が仕込まれた分厚いペーパーバック小説(児童書)に挑戦だ。