Shaun Tanはオーストラリアの絵本作家で、リードアラウドでは、今のところ『Rules of Summer』を取り上げたことがあるだけで、紹介することはほとんどなかった。
なぜだろうと考える。
言い訳は、まず、
本が重い(装丁がしっかりとした画集のような、コストをかけたものが多く、値段も多少高い。内容もしっかり重く、一回こっきりのリードアラウドには「勿体ない」と思った、など)。
低年齢にわかる、分かりやすい表層の下に、バームクーヘンのように何層もテーマやドラマが含まれていて、それを軽々しくうわべだけ扱って終わりたくない。本に失礼だ。などと思う気持ちもあるからかもしれない。
先日、美術館で催されていた原画展に行ってきた。
やっぱりな。一冊の本も「バームクーヘン」だった。
その思考の「年輪」、技術の「年輪」などいくつもの層があっての一冊。展覧会は、それら「年輪」の一部を切り株のように見せてくれる展示だった。
いよいよ軽々しく読めない気持ちがしている。
まっ、圧倒的な才能っていうのでしょう。
技術だけでなく、ものを本質的に見る目が備わった人だ。
また、才能溢れる人にありがちな「俺様」感がないところも、見て取れた。ぽろっとこぼれるユーモアや温かみもある。
中国系とオーストラリア白人系の親を持つ出自も、ものの見方に影響しているのだろう。
器用やら上手いやらは、ただの踏み台。Tanさんの才能は、それらを平均以上に持ち合わせ、その上に立って爆発している感じ。
3Dの捉え方もできる、方眼紙の上で数字的に狂いのない設計図のような絵もかければ、18世紀、19世紀、20世紀の名画風な絵もかける。それらを踏まえての、自分がある人だ。
ほとんどの出版に至るレベルの絵本たち、ここまででも立派だが、その上を行く、ずば抜けた才能に感服した。
私に、また目標ができた。
重くても(!)Tanさんの本を、その中身がうかがえるような、リードアラウドをする!!