なぜその英語「棒読み」になる? #2〜キッズブックス英語スクール

前回に引き続き、子どもたちと『Elephants Cannot Dance!』を台本のように使って、Readers’ Theaterの練習をした。

相変わらず、一部が棒読みで、一部が自然な口語に近い読み方という現象は継続中。

スクールのベテラン生徒の中学生も、すらすら棒読み派。

10年以上、同様なことに直面してきた。

少人数のクラスばかりなので、大した説得力はないかもしれないけれど、この年齢に見られる棒読み現象は、一種「臨界期説」の派生現象かも?

[臨界期仮説/Critical Period]言語はある年齢(期間)を過ぎると獲得が不可能になる。

母語を獲得するために幼児期から使えた言語能力は、第二言語学習にも使えるが、年齢が上がるにつれて使用できなくなるという。

そう考えると腑に落ちる。

英語を聞いたままに、ネイティブの口語のように復唱し、サラサラと覚えることができる生徒は、まだ臨界期を迎えていない。

口語的な言い方を復唱させると、文字を読んでいる然とした読み方になる生徒は、臨界期を過ぎている。

質的に異なる臨界期があるとも言われている。

だから、スクールで直面してきた難しさは、英語学習の一部だけという感触がある。

これは別の機会に。

さて、臨界期を迎えている生徒に、どうやって英語の自然な口語的表現を指導するか。

これまでの指導経験で見えてきた、有効かもしれない方法がある。

それは、頭のチャンネルを変えさせること。

思考の分野ではなく、反射の分野で処理するチャンネルを開通させる。

「つい先生の口調をマネてしまった」という感覚だ。

指導者には、筋トレにも似た努力が必要だけれど、生徒にも頑張ってもらおう。

今年度も、あとひと踏ん張り、いやふた踏ん張り。

前回のブログ(なぜ棒読み#1)

 Elephants Cannot Dance! ( Elephant & Piggie Books )

キッズブックス英語スクール

なぜその英語「棒読み」になる? #1〜キッズブックス英語スクール

キッズブックス英語スクールの全クラスで、年に一冊は人気シリーズ「Elephant & Piggie Books」をテキストとして使っている。

今年度は、ゾウとブタの仲良し二人組がダンスをするお話『Elephants Cannot Dance!』だ。

本シリーズでは、アメリカの(行儀のよい)子どもが日常使っているような、とてもこなれた会話が学べる。

英語圏の小学生が聞いたり使ったりする表現や、いろいろ配慮された大人も笑える一流のユーモアがちりばめられている。

スクールのテキストの定番、そして伝統(?)にもなりつつある。

本シリーズを学んだ子どもたちの、感情表現や絵本の楽しみ方が格段と良くなる様子を見てきた。

毎年、本シリーズで台詞回しの指導を行っているが、しばしば私に根気が必要になる。

4–5歳から小学校中学年あたりまでは、私の表情や口調をそのまま口移しに学んで、大人が舌を巻くくらい自然に言える(読める)ようになる。

この年齢グループは、口移しに教えられたことをそのまま言うにことに、おそらく屈託がなくできてしまうのだろう。

それに対して、小学校高学年以上は、精神年齢のせいだろうか、どうも屈託があるのだ。

もしかしたら、もう自分で読めるという自尊心が先にきて、口移しに教えられることを、過保護や自分を尊重してくれないと感じて嫌なのか。

確かに、正確に読める上、ディクテーションしても、かなり正しく書きとれる。

しかし、まだまだ自己流の読み方で、英語として不自然な抑揚だったり、棒読みだったりしてしまう。

棒読みになるのは、もしかすると思春期に発達する自意識に関係あるのか。

または、学校の英語の授業の(悪い)影響なのだろうか。

思えばこれまで教えた子どもたちも、それぞれ「棒読み期」があった。

生徒がそういう年頃になると、私の心の中で頭をもたげてくる「いま放っておくと、そのままの読み方が固定してしまう」という不安。

おおーい、なぜだ、その一本調子。

これまで、臨場感ある楽しいリードアラウドをしていたのに、なぜ?

「うるさい」「五月蝿い」

そう思われながら、本年度も年頃の子どもたちに、リードアラウド指導で「根気」を養成中。

「なぜその英語『棒読み』になる? #2」へ続く)

 Elephants Cannot Dance! ( Elephant & Piggie Books )

キッズブックス英語スクール

『The Very Hungry Caterpillar』その1:リードアラウドする気になったわけ〜リードアラウド研究会

意外なことに本ワークショップ(絵本リードアラウド認定講師講座)で、『The Very Hungry Caterpillar』を取り上げたのは今年度第7回が初めて。

リードアラウドそのものも、本書で行った記憶がない。

 

思うに理由は二つ。

その1: あまりにも多くの先生方や英語圏のみなさんが読んできて、今更リードアラウドしなくてもいいかな、と思った。

その2: 本の内容は幼児向けだが、英文は大人が子どもに「読み聞かせ」る仕様で、リードアラウドのように子ども自身が読むには少々難しいと思った。

 

気が変わった理由は、ここ数年で「リードアラウドらしい読み方」をより強く認識するようになって、本書を「らしく」読んだらどうなるだろう、と挑戦したくなったこと。

もう一つ、語数の多い本、長いセンテンスのある本を、子どものそれぞれの英語力なりに読ませる指導ができてきたこと。

 

ところで、非常に多くの英語指導者が、この絵本を取り上げるのは、訳がある。英語を教えたい大人に対して「魔力」を持っているのだ。

その「魔力」とは。

ワークショップでの発言にもあったのだが、本書は先生たちの「英語を教えてやろう」という「先生魂」に、熱量をチャージする。

 

なんせ、指導のツボがわかりやすい。

「果物、食べ物の名前」、「数と曜日」。

さあ教えてあげよう、といい形で並んでいるのだ。

 

見え見え?

ウーム。だから、表現者としては難しい。ついつい、先生になってしまう。

 

フラッシュカードのありがたさは、子どもを教えたことのある人なら、誰も知っているだろう。本書がフラッシュカードのような働きをしてくれる。

でも、フラッシュカードには、そのままでは「物語」がない。

 

本書の魔力は、「先生魂」が表現者の心に勝ってしまうこと。

 

しかし。

リードアラウドは、「教えずして教える」。

まずは指導者自身が表現を考え、本にある物語を表現することで子どもたちと楽しみ、英語で表現する楽しさを、語学習得にも繋げる。

 

そこで、リードアラウド認定講師の今回のワークショップでは、「教材」になりがちな本書を、まず「物語」として語り手がどう語るか探求しよう。つまり、「リードアラウドらしく読もう」、そう決めたら、俄然、やる気が湧いてきたのだ。

つづく(その2

 

 

 

 

「英語支援員はミタ」授業に参加しない子どもがしていること〜キッズブックス英語スクール

外国語支援員として週二回、区立小学校で5, 6年生の英語授業を手伝っている。

1クラス37人前後、各学年4クラス、それぞれその中で2〜3人が、少なくとも英語の授業には参加してないように見える。

 

45分間の授業に参加せずに何をしているか。

 

支援員を始めた初期の頃は、関わろうと「しつっこく」語りかけたが、近頃は生徒、ひとりひとりの個性や傾向に、私なりに合わせるようになった。

 

授業中にしていることの数例

紙細工系:

精巧な折り紙の作家のようなひと。毎回目にするのは、ツルもまともに折れない私からすると、天才的に難しそうな恐竜とか。先日は、レイのようなものに沢山の幾何学的に折ったものを通していた。

ハサミ、スティックのり、セロテープの道具箱が、教科書とタブレットの代わりに机の上に常備してあるひと。先日はボール紙で、偽タブレットを作った。褒めたら、折りたたみ式のゲーム機リモコン(?)も見せてくれた。でも授業中。

ひたすら紙吹雪作りのひと。表情が暗くて、声をかけても返事が返ってこない。ただ、後片付けは律儀にしている。

イラスト系:

タブレットを駆使してイラストを描くひと。絵は昔からあまり変わらない「お人形」のような女の子(分身?)。声をかけても返事がない。あまり質問をすると「お腹が痛い」と保健室へ行ってしまう、学校に来なくなるという心配がある。

お花畑に妖精が飛んでいそうなメルヘン的イラストを描くひと。日が悪いと、Tシャツや上着で上半身を包んでしまう(繭に入る感じ)。口移しで教えると、書こうとすることもあり、時に「英語わかんなーい」などと叫ぶが、やる気があるということ。個人レッスンで伸びそう。

ワイルド系:

教科書、一人一台のタブレット、筆箱、鉛筆もなく、椅子に斜めに腰掛けているひと。ある時は筆箱があったが、何も入っていない。ある時は鉛筆が入っていたが、芯や軸が全部折れていた。「何も入っていないじゃない」というとニカッと笑うところに救いがある。

学校がかかりつけ(?)の学習支援員を用意している、学校中を歩くひと。近頃は自分の教室にいて、プリントに字を書いてくれる時もあるが、英語文字のサイズばらばら、4線には収まらないワイルドさ。時々、何かの拍子にさっと表情が険しくなり、こちらが反射的に身を引く時がある。

 

 

久しぶりの『Bob Books』、やっぱりすぐれもの:キッズブックス英語スクール

Bob Books First!

スクールでは、入門レベルの生徒に、絵本のリードアラウドと並行して、『Bob Books First!』を読み進めてもらう。先日、久方ぶりに入門レベルの生徒を迎え、『Bob Books First!』を開いた。

新しく入った生徒は低学年なので、小学校では英語を読む指導をまだほとんど受けていない。リードアラウドの約束

  • 読んでいるところを、指でなぞる
  • 「感じ」を出して読む
  • 読めないところはムニャムニャ(先生のまね)をする
を守りながら、12冊セットの中の「book 1」を読み始める。「えっ、本を読んで行くって……まだ、読めない」と言いたげな目。が、指導者はリードアラウドの「day 1」から読ませることに自信満々だ。

1ページを開ける。ごくごく単純な線で描かれたMatらしき人物の絵がある。本文は「Mat.」だけ。一音節だけの単純な文だが、れっきとしたピリオド付きの一語文。

描かれているMatの様子に合わせ、指導者と一緒に「感じを出して」ご機嫌な声で「Mat.」と読む。これなら、初めての人でも英語を「読める」。指で「Mat」と文字をなぞるから、「言う」のではなく「読んだ」と脳は記憶してくれるだろう。

指導者に「読めたねえ」と言われた生徒は、「えっ、えっえー?」と戸惑い顔。でも、読めたのだ。これならほとんどの子どもが、「読めた」を実感できる。そして「読めた」という気持ちが、次ページへつないでいく。

『Bob Books』は偉い。一語文で安心させ、二語文へと進む。「book 1」で一番複雑な文は、「Mat sat on Sam.」だ」。短い1冊のなかでも、順を追って無理がないように積み重ねて行く。手のひらサイズの軽くて薄い絵本だが、英語圏の教師と親たちがreadingの導入を成功させてきた経験が詰まっている。

この日、「The End」まで読んだとき、生徒の顔がぱっと紅潮したように見えた。「読めたね?」と問うと、こくんとうなずいた。いやあ、こういう瞬間がたまらなく好きだ。初めてなにかができたとき、喜びの粉末のようなものを、身体からぴかぴか舞い上がらせている人。いいなあ。

ありがと、『Bob Books』。あなたは、すぐれもの。

キッズブックス英語スクール 絵本リードアラウドコース