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「おうち英語」(自宅で主に家族が子どもに行う英語学習方法)が、じわじわ広がっている。
そんな学習方法に、携帯電話などを介して英語の動画も盛んに利用されているだろう。
そこで、英語の動画を見せていて、起こった「奇跡」の瞬間の話。
「聞くだけで英語がペラペラ話せるようになる」という誇大広告も、かつてあったが、現実は「それだけじゃダメ」とわかって、広告も消えた今日この頃の日本。
21世紀になって第二言語習得学の研究も発達したことや、自分のスクールでの指導経験が増えたこともあって、子どもがある程度意味がわかる絵や映像と英文を一致させて聞かせること、聞きながら真似させること(シャドーイングなど)など、一定の学習効果が認められてきている。
しかし、この話はわが子に家で英語を、ぼちぼち教え始めた、30数年前のこと。
たぶん子どもは3歳くらいだったと思う。
英語学習や保育の「手抜き」の時間用に使えるし、学習によさそうという勘のみから、いろいろ見せていたディズニーのビデオ。
そのなかで、子どものお気に入りは『Pinocchio』だった。
この1940年に作られたディズニーのアニメーションは、カルロ・コッローディ作の童話をもとに、原作とは違った、ディズニーらしい夢と希望を感じさせる明るい物語。
あやつり人形のピノキオが、勇気を持って正直で優しい性格になって、めでたく本当の人間の子どもに生まれ変わる話だった。
どこを気に入ったか何回も見ていたが、その日もひとりでおとなしく見入っていた。
だが終わって片付けようと近づくと、
「ママ……」、の声。
見ると、きらり、目が光った(と思う)。
そして一言、
「I’m a real boy」
と。
それまでの英語は、せいぜい単語や、一言文だったのに、「お初」の主語述語がそろったセンテンス、だった……。うちにとっては、忘れもしない「大事件」が起こった。
(……でも実は英語だったということは重要でなく、「ちゃんと少年として扱って欲しい」という内容、つまり訴えをしたかっただけかもしれない?!)
子どもがどのように母語を獲得するかの研究で、寡黙だった子が、ある日を境にペラペラ話し出す、とかいう事例があることは聞いたことがあった。
第二言語でも、そんなことがあるようだ。
ただし、このセンテンスのあと、ペラペラが始まったというわけではなかったが、英語が増えるきっかけにはなった「奇跡」の瞬間ではあった。
ヒトの言語能力のつきかたの、一端を見たような気もしたものだ。