2022年度は、公立小学校で英語支援員をしたこともあって、今の日本の小学生の英語学習に必要なことは何か、考える年度でもあった。
今の日本の小学生5、6年生に、英文字をできるだけ多く、そして正しく音声に変換(英語を読み下し)できるようにしてあげたい。ということを、これまで以上にひろく多くの小学生にそういう環境を用意してあげられたらと思った。
みんな「耳」もよく、音マネも低学年ほど反射的ではなくなっているが、大人よりずっとうまい。そして学びの吸収力が違う。
「英語を読み下す」第一歩は、英語の文字を指でなぞりながら、その読みを、オウムのようにお手本を真似て発声して(読んで)いく。シャドーイングも彼らには簡単だ。
まずは、英語を口から発せさせるのだが……。
予想外のハードルだったのだが、子どもによっては、これが難しい場合がある。
これまでの経験では、緘黙(mute)かと思うほど「口が固い」生徒や、録音機のボリュームの針が動かないほど声が小さい生徒もいた。
こういった場合には、心理的な「ほぐし」が必要だったり、個々の対応がいるかもしれない。
キッズブックス英語スクールのように小さいところなら、これらの生徒には、あの手この手を使い、双方の辛抱と根気で、徐々に(2年がかり?)、または何のきっかけでケロッと大声が出るようにすることが、どうにかできた。小学校ではどうしたものか。
声が出たら、スタートだ。
文字に書かれた単語を見せ、指でなぞらせながら、その読み方をつど聞かせてマネ(読み下し)させる。
英語は綴りと読み方の「法則」(フォニックス)があるといっても、60%くらいしかその法則に合っていない。
英語圏の子どもも、読み方を学ばなければ読めるようにならない言葉を集めたもの、sight wordsというものの、読み方をまる覚えする。
(3、40年前でも米国では、日本よりも「文盲」率が高かったと記憶するが、それも英語の読み下しの難しさにあったらしい。)
英語をまねっこで声に出して言えるようになった生徒には、読み方の規則(フォニックス)にそった言葉を使った、一語文から始まる小話集、『Bob Book』という優れもののミニブックセットなどを読ませ始める。
読めそうな言葉を繰り返し使って、「読める!」という達成感と抜群の吸収力で、ミニブックをどんどん読めるようになっていく。
しばらくして余裕がみられたら、「sight words」のフラッシュカードを、5枚ずつくらいから覚えさせることも開始。
これらの「基礎体力」作りと並行してすべき大切なことは、物語性のある本を読ませること。
大人も読む気になるような、デザインや絵という見かけも優れ、中身も上質で楽しそうな絵本を、一緒に読む。最初は知っている単語を拾うように、だんだん句や節、そして文、段落へと繋いで読んでいく。
こうしていくと、かなりの英語が読めるようになる。ここまで、小学6年生のうちにできたら素晴らしい。
英語の「読み下し」ができる小学生が、もっともっと増えると、高校卒業までにたどりつける英語のレベルがずっと上がって、日本人の英語も様変わりするだろう。