英語絵本の朗読でやり直す英語、と称した「大人英語セミナー」を開いている。プライベートクラスと小グループクラス。
英語絵本の朗読を磨きながら、reading comprehensionも深めるというのが、レッスンの柱だが、ここで最近、興味深く思っていることがある。
学び始めて初期の頃は、みなさんが「普通」に読むと、声が浅いことだ。音楽で言えば、使う音程の幅が狭い感じ。
スクールに興味を持ってくださるみなさんは、「普通」に読むだけでも、一般的に言って「英語が上手」なレベルだろう。
しかし、リードアラウドとして声の表現として聞くと、それはどうも情が入っていないというか、感情が浅い感じだ。
母語ではない、よそ行きの言葉、というスウィッチでもあって、それがオンになるように、わたしたち共通の傾向だ。
リードアラウドが目指している朗読は、聞いていて内容が頭に浮かんでくる、英語がそんなに達者でなくても、言語の違いを飛び越えて、話が「見えてくる」もの。
たいていの大人のレッスンは、英語に感情を通わせる練習が柱になる。
今、あるクラスで、『Madeline』を取り上げている。
絵本にはそれぞれの「声」があって、それが登場人物のひとりだったり、姿は見えないが物語を知っている語り手だったりする。
この「語り手はだれか」を本書でも考えてもらっている。
例えば『Madeline』だったら、語りはこの主人公の少女、Madelineをよく知っている人。Madelineはお転婆すぎるところもあるけれど、その勇敢な行動を賞賛し、愛してやまない人、などなど見えてくる。
キャラクターを思い描いていくと、語り口にもアイディアが浮かぶ。
Madelineの生活やある事件に対して、どう思って、どんな語りをするか、も想像しやすくなってくる。
いつも帰り際に、どきりとする感想を述べていく受講者がいる。
その彼女の最近の言葉が、
「普段、会社などであまり心を動かさず、適当に(感情を)流して生きているのかな、と思わされました」。