今月はこの本、五味太郎さん作の『みんなうんち』、『Everyone Poops』だった。日本語から英語訳されて長く愛されている一冊だ。
声での表現にまず、考えるべきは、本書の中から聞こえてくる声がだれの、どのような声か。
今回の本書では、声はひとつ、ナレーターの声だけだ。
どういう人だろう。
どんな口調だろう。
どんな感じでその人は語るだろうか。
ついつい、このことを考えずに読み出してしまいがちだが、リードアラウドでは必ず、
その本から聞こえてくる声がどんなものか、考える。
そのために、本書をよく読む。読解する。
すると、子どもに向けて飽きさせないように、楽しく上手に語られているが、ノンフィクションで動物学や生物学系の本だと見えてくるだろう。
ナレーターは、動物の種類と生態についてかなりの科学的知識がある人のようだ。
そのうえ、ちゃんと子どもに目を向けて、子どもが気になる点や、面白がるところを心得ている。
教育的視点からも子どものためを考えている人だ。
そんな人が、どこを「教えてあげたい」ところとして力を入れて、どこを「面白がらせてあげたい」と子どもを少しだけからかっているのか。
ひとによって、「教えてあげたい」ところが上手で、ときに上手すぎて(?)、先生然または「お勉強」的になって、しまうこともある。
またひとによっては、「面白がらせてあげたい」気持ちが強くて、全体的に作り話のようになって、ちょっと年長になった子どもに興味を失わせることになることもある。
ナレーターのキャラクターをよく消化して、上記二点をうまく配合したナレーションを、次回まで待つとしよう。