「英語で書かれたものをなんとか理解するためには、そこに使われている言葉の95%以上を知っている必要がある」ということが、学術的に言われている。
そして、既知の事実として、「読解力は語彙力との相関が高い」ことが知られている。
それでは、わたしたち日本人が学校の英語の教科書で、どのくらい語彙を学んでいるのだろうか。
以下に示されている。
学習指導要領に基づく英語教科書で学習する語数
2021年現在は、一番下の段に該当する。
今の小学5、6年生が、まじめに小学校、中学校、高校でそれぞれ教科書の語彙をすべて学ぶと、4,000から5,000語の語彙を持つ。 これでやっと、1951年の高度な教科書を選択した当時のエリート日本人高校卒業生と互角になる。しかし、アメリカの調査では、なんと、もっとも典型的な5歳児(!)が10,000語を知っていると言うから、エリート高校生も語彙数で言えば5歳児の半分でしかない。
10歳児なら少なくとも20,000語の語彙があり、日本では大学院に進む人がやっと累積語彙数8,000語になる
というから、歴然とした差だ。
わたしが、最初にアメリカに行って、郊外の家にホームステイしたときに、いろいろわからない言葉があっ て「それってどういうこと?」と近所の子ども(1年生くらい)に尋ねると、真顔で「おねえちゃんなのに、そんなこと知らないの?」と驚かれたのを思い出す。
知らない言葉だらけだった。
「語彙問題」、わたしが初めてアメリカへ行ったときからずっと抱え、あの手この手でそれなりに、一歩一歩取り組んできた問題を、今、改めて、指導者として考えていこうと思う。