リードアラウドを始めて約20年、世の中の「子ども英語」の進化はめざましい。
東京都内に住んでいると「英語保育園」「プレスクール」のマイクロバスが何台も行き交い、新聞ちらしも目につく。園によって程度の差はあるだろうが、一応「英語で保育」をうたっているそのようなところを卒園した小学生もそう珍しくなくなった。
「英語で保育」された子どもたちが、そのまま普通の日本の小学校へあがった場合、親御さんは「英語を忘れてしまう」と残念に思うかもしれないが、意外に「音」は残る。
リードアラウドでは、こうした英語の音が幼少時にインプットされている子どもにも対応もしている。
今回の課題書『Blueberries for Sal』は文字数が多く、大人が読み聞かせることを前提とした絵本の指導を考えた。ちなみに文の難易度を示すLexile指数は600L、readersならLevel 4以上と思われる、なかなかの難しさだ。
さてこのような絵本の場合でも、リードアラウドの認定講師として指導する必要条件は、もちろん
Reading fluency!
指導者がきちんと論理的にも、文を読解できていないと読みがfluentでなくなり、生徒に最低限の意味さえ伝わらない。
リードアラウドの指導で取り入れているシャドーイングだが、それをする際にも、手本となる読み手(わたしたち)に大まかな文意を伝えられるほどのfluencyがないと、後に続けて文を復唱する生徒はうまくできない。
生徒をよく学ばせるには、指導者のレベルアップが不可欠だ。
今回の課題書は、センテンスに長いものがあるだけでなく、物語も長い。
そこで、長い物語を退屈させないための二つの方策、Fluencyを高めることと、指導者が物語の構造をあらかじめ考えて、生徒にそれを大づかみさせること、を演習した。
ヒトの親子(サリーと母)とクマの親子が、ひとつの丘を挟んで、ほぼ対称的な行動をとり、頂上で親子が入れ替わり、それを知ってびっくり。それから、何事もなかったように、もとの組み合わせに戻ってめでたしめでたし、という構造だ。
構造を掴めば、物語が見えやすくなる。簡単に感じると、話が短いと認識する。
子どもの絵本に「繰り返し」のパターンが多用されるのも、長いものを短く感じさせる効果。
同様に「対称性」も、もうひとつ知恵が進んだ子ども向け、そして大人向けにも、同様の効果が望める。
今回は、こうした物語の構造の認識と、それを生徒に意識させた模擬指導、また、生徒に意味を取りやすくする指導者自身のreading fluencyの練習で、3時間が飛んで行った……。
次回の絵本リードアラウド認定講師講座(二子玉川)は10月16日『The Big Red Barn』。
オンライン認定講師講座は10月12日『Hop on Pop』