絵本リードアラウド認定講師講座2021 第2回報告その1〜『The Bad Seed』

The Bad Seed

2017年の刊行後、New York Timesベストセラーになり、続編も刊行中という今時の絵本『The Bad Seed』が今回の課題書だった。『絵本リードアラウド認定講師講座』で心がけていることのひとつは、名作古典を読んでノスタルジーに浸るだけの「絵本おばさん」集団にならないこと。

といっても、本年度は『Blueberry for Sal』『Big Red Barn』『Swimmy』といった名作古典を課題書として選んだ。しかしもちろん、旧来の読み聞かせのパターン的な読み方ではなく、新しいour wayを学んでいく。

Blueberries for Sal (Picture Puffins)

Big Red Barn

Swimmy

さて『The Bad Seed』は、あるbad seedの半生記だ。英語の慣用句「A bad seed(鼻つまみ者)」の文字通り悪い種が主人公というところで、もうそのユーモアを期待してしまう。

認定講師のみなさんは、物語によって語り口を変えること、登場人物の会話部分はなるべくリアルにすることなどを、あらかじめ考慮して練習してきている。とはいえ、主観と客観は別物なので、自分ではそのつもりになっていても、他の人にはそう聞こえないこともたびたび起こる。

本書のナレーションを、たとえば「むかーしむかし」とマザーグースを語るおばあさん風にすると、子どもはどう思うだろう。そんな想像力も持ち合わせたい。「カビ臭い」「加齢臭」「眠くなる」……など、子どもは手厳しく酷だ。子どもに迎合はしないが、本書のようないまの子どもの感覚にも合いそうな場合は、こちらもフットワーク軽く新感覚、たぶんリアルな感じとでもいうのだろうか、そんなふうにも読めるようになりたい。

ナレーターは、badであることを、ことさらひけらかすようなseed自身だ。少なくともおばあさんの声では、違和感があるだろう。また、ニュースを読むNHKアナウンサー風でもないだろう。参加者同士で聴き合って、まずはこのナレーターThe Bad Seedの声について、いろいろ気づきたい。みなさんも、他人の朗読を聴いたり、ディスカッションや表現演習したりすることで、The Bad Seedの性別や年齢や生い立ちや性格などを考え、だんだんと人物の特徴が浮きあがってきたようだった。

またThe Bad Seedは、ただ単純に悪さをし、それを正当化するという輩ではない。反省も将来への希望も持つことがわかってくるにつれ、不思議と朗読に深みが出てくるところが、表現の面白いところだ。ニュアンスが出てくることで、大人よりまだ感覚的な子どもに響いて、読解に繋がるわけだ。

(つづく)

参考に、「今日(きょうび)のread aloud」:『The Bad Seed』

絵本リードアラウド認定講師講座 2021

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