月に一回、リードアラウドの指導方法と豊かな表現方法を学ぶ『絵本リードアラウド認定講師講座オンライン』を開いている。
毎回、継続の受講者に加え、初めて受講する方がいる。経験者と初心者が影響し合う様子や反応が、とても興味深い。
11月の課題書は『Where the Wild Things Are』だった。全三時間の講座のうち、ほぼ半分を表現演習に当てる。一番はじめに、各人に一通り読んでもらう。ウォームアップと、受講者のバックグラウンドのおおよそを知り、用意している演習を微調整するためだ。
この日の通読で分かったこと。読むときの声を意識しているかしていないかで、聞こえ方が違うということ。これは最初に気付くことだと思う。
この意識のスイッチを持つだけでも、初めての人は受講した意義があるはず。そのための演習を一つ用意している。この日もお役に立てたかもしれない。
『Where the Wild Things Are』では、ところどころに登場人物の台詞がある。一つ一つどういう人物か確認したり、キャラクターを想像・造形したりする。ナレーター部分も、進行する物語に対応するキャラクターを考える。
一回の演習で即効的に深みのある表現を行うには、適切なキャラクター分析と合った台詞にしようという意思や意識が必要だと思う。実際に表現できるかは、個々で必要な練習量に差があるから、まずは頭を変える。身体は少しずつ。
講座始めの朗読を聞くと、受講回数を重ねてきている人の意識がオンになっていると分かる。受講生のそういった良い方向への変化を見出だせると嬉しい。
英語非母語話者の子どもに、『Where the Wild Things Are』くらい長くてドラマチックな絵本を、ある程度理解させ、飽きさせず物語を楽しませるには、言語の解説へ注力するより、まずは言語の奥にある情動を表現することが必要だ。そのために、指導者はある程度、身体を張らなければならない。講座は盛りだくさんだったが、表現に関しては、予想どうり、この台詞部分の表現演習は効果を上げたようだ。
また、台詞以外のナレーション部分では、the Wild Thingsが見せる威かしの動作を熱を込めて表現してもらった。動作と言葉の音を結びつけた表現を、自分が思うレベルの何倍にもする演習が、各人の表現の幅を広げた感触がある。
最後のみなさんのread aloudは、様変わりしていた。新人は新人なりに変化を見せ、継続受講者は認識を新たにしたり掘り下げたり。といってもまだ荒削りだが、物語が立体的に見えてきた。そして、よろしい兆候……物語が短く感じられた。それだけ引き込まれる部分が増えたということだろう。次回が楽しみだ。
後半の指導方法の演習については、また次の機会に。
ーつづくー