今回の「絵本リードアラウド認定講師講座」課題書は、オーストラリアの固有動物ウォンバットの、日記という設定の、ユニークな作品『Diary of a Wombat』。
まずはいつものように、しょっぱなにみなさんに自習したリードアラウドをしてもらう。
本講座今期はベテランぞろいなので、もうこの「自習」の成果自体が楽しみだ。
今期のテーマの一つ、「キャラクター作り」も期待が膨らむ。
・・・そして、今回光ったのは、
子どもにしたくなるwombatを、ちょっと図々しい「おばさん」にしたてた朗読!笑わせて頂いた。
さて本書の解釈では、二重構造ということに気づきたい。Wombatの視点(日記に書かれている)と、共生?している人間の一家の視点だ。
Wombatが「思い込み」していること、無意識にとっている行動が、人間とは違ったり、人間を困惑させているところに、ユーモアが生まれる。
Wombatの日記に記した言葉だけで、人間側に困惑や可笑しみを感じさせる、そういった表現を考えてみた。
例えばWombatの日常描写は「Slept」そして「Ate carrots」が多い。slept, slept, sleptと続くところで、どう観客に笑ってもらうか。
食べてばかり、ニンジンばかり、という部分でどういう可笑しさがあるか。
芸の見せ所。演るのも、それを見るのも楽しいものだった。
それから指導者としての「使命」、本書で何を教えるか、どう教えるかについて、ディスカッションと実技。
指導者が本書で、生徒に教えたくなるのは、何についてだろう。
わたしの場合は、自分が「無駄だった」と思う、または「回り道だった」と思う学び方をした数々のうちの一つ、動詞の過去形。
児童文学を前にして、動詞の過去形を学ぼう、なんていうのは浅い感じがするが、しかし。絵本を読むことはその言語を学ぶこと、私たちの場合は英語指導でもあるのだから、立派な目的か。
さてその過去形、いろいろ規則があったりなかったり、面倒だ。会話の最中に、なかなか自然に過去形にできていなかったり。大人だって、苦労した記憶がまだセピア色になっていないのではないだろうか。
第二言語習得論の研究で言えば、母語者もこれをマスターするのは、時期的に意外と、後の方と言われている。つまり、毎日英語を聞いて話している子どもにも難しい。
本書は日記形式なので、動詞過去形のオンパレード。一通り本書で使われている動詞を学んだ後で、または学びながら、生徒の口から反射的に過去形が出るようにするアクティビティ、シアターゲームの一つを紹介し、実際に皆さんと行った(楽しんだ!)。
なんのことはない、かつて紹介済みのWord Ballを、wordではなく「I slept」など短いセンテンスで行うだけのもの。そうではあるが、英語でのこうしたimprov.は、本当に効果的だと思う。
後半の模擬指導演習は、Wombatだけでなく、Humansの気持ちも対比させる発問と応答で進めた。
ただ漫然と、というか逐語訳の模範解答的に文を解釈させるのではない、簡単に聞こえるが実は内容を掘り下げる発問をする癖をつける演習だ。
双方向型指導で進めるなら、指導者もある程度の深みまで読解しなければ、いい発問ができない。そこのところは、「分析」としてディスカッションした。
自由に意見を述べ、自分とは違った見方を知る機会を持つことは、そのように生徒を指導したいリードアラウド指導者自身にも、欠かせない。
最後の仕上げ(一二歩手前?)、どうなりますか。次回が楽しみだ。