絵本リードアラウド認定講師講座〜第7回報告その2:『Press Here』をどう読む?

Press Here (Baby Board Book, Learning to Read Book, Toddler Board Book, Interactive Book for Kids)

今回の課題書は、世界で200万冊売り上げた革新的な本『Press Here』

なにが革新的か。本文が全部、読者への呼びかけというか、読者にアクションを働きかける台詞になっている。いわゆるインタラクティブな作りであるところ。

朗々と読み上げるという種類の本ではなく、身近な読者にいろいろな動作を指示し、出てきた動作を受けて次に進む作り。「指示」と「受け」の台詞が、そのまま本文になっている。

となると、口調を考え、fluencyを磨くことが必要。そこのところを演習した。

本書に適した口調は、この日、参加したベテランたちならではの課題となった。

自分ではない誰かを作る。どういうキャラクターが、この語り手にいちばん合っているのだろう。分析しながら考えた。

……絵本片手に聞き手(子ども)を集め、あれやこれや動作を指示し、絵を動いているように思わせる。そんな架空の世界に誘い込む語り手のキャラクターは?

イメージとして提示したのは、『不思議の国のアリス』に出てくるウサギ、『チャーリーとチョコレート工場』に出てくるウォンカ。映画で演じた俳優をイメージしてもいい……。あ、どちらもジョニー・デップ(!)。または、映画版『熱海殺人事件』の二階堂伝兵衛(仲代達矢)。

いわゆる狂言回し、トリックスター。ハーメルンの笛吹き、人さらい?

このような、子どもや人々を架空の物語に誘う、強いエネルギーを持つキャラクター、テンション高い人を作って読むことを目指した。

イメージをディスカッションしたあと、皆さん、朗読がだいぶ変わった。

「えっ、変わりましたか?」と思った方は、ぜひとも自分の朗読を録音して、耳を鍛えてみて。結局、自分が一番いい審査員だ。

イメージすることで変化する声の表現。実に奥深い。

そして「頭」でイメージできても、なかなか「身体」(声)を思うようにできないもどかしさも感じる。

次回まで、みなさんもご健闘を。

また、今月お休みしたみなさんも、期待していますよ〜!

認定講師講座

幸せを感じるとき〜キッズブックス英語スクール

今は多少状況が変わったが、20年位前は、我が家で読書をする人は私だけだった。もちろんネコ2匹は除外して、人間の家族が二人いたが、読書する姿を見たことがなかった。

片方は仕事でそれどころではなかったので、まあそういうものかと思った。

だがもう一人、若いほう。

今読まないでどうすんだ!

私の本好きのDNAは、君に受け継がれなかったのか?!

いつもその姿を見ると不満というか、不安が頭をよぎっていた。

 

運動ばかりしている少年にとって、本は積ん読もの。Book reportは、適当にネットで情報を集めてまとめるもの。うううっ。血を分けた家族として辛いものがあった。

 

・・・このあたりの葛藤が、トラウマになっているのか、「少年」「読書」のキーワードが、時を経て、頭の中で特大化していると感じる。

「少女」については、安心感のようなものがあって、つい「ねえ」と自分と一緒に本への愛があるものと思って、心穏やかだ。

 

だからなのかどうか分からないが、「読書をしない少年(実はそういう少女も)」または「まだ読書を好きになっていない子ども」がいると、おせっかい心が疼いてくるのだ。

「彼らを読書好きにするのが、私のライフワーク?」

などと思う今日この頃である。

 

そこに最近舞い込んだ、嬉しい知らせ。

   「ダーウィンの本はとても気に入って、家でも読んでいました。
    最近単語が増えた様子です。」

Readingのレッスンを受けている男子のお母さんからのメールだ。

 

ああ、幸せ。

およそ本を手にしない我が子が、嬉々として本を読んでいて、その本がコレだったりしたら…

自分のことのように嬉しい。

これは私の「自己満足」の一種なんだろうが、もう二人、喜んでくれているから、許してもらえるかな。

絵本リードアラウド認定講師講座〜第7回報告その1:前回の仕上げの発表

おやすみが多く、少人数の回だ。ならば、少々長い『The Story of Ferdinand』の仕上げの発表を、ひとりひとり全編読んでもらうことにした。

「前回のキャラクター作り演習の成果がどう反映されているか」に注目して傾聴した。

 

・・・さすが! 「前回の演習、なんだったんだ?!」などと失望させられることはなかった。

どうよくなったのか。ちょっと聞き手側の現象的にいうと、

 

  1. 物語を短く感じた。(文字面を読まれている感覚がなくなっている証拠か)
  2. 場面場面で笑ったり、ほっとしたり、物語に感情がシンクロした。(物語のイメージを表現できている)
  3. 登場人物に情が湧いた。

こんな現象を、聞き手としての自分のなかに確認した。

まだ、ところどころ「穴」があって、そこでは聞き手のせっかくの「酔い」を冷める。読み手の集中がないか切れたところなのか、読解が浅いところなのかだろう。こういう「穴」は、録音を聞いて自分で塞ぐ。何度も何度も聞くこと。

 

キャラクターを作って語るというのが課題だったのだが、みんな実に健闘した。なかでもMさんのキャラクター作りは、ほぼ破綻がなく、顔や容姿など聞き手の妄想も湧くほど形作られていた(ジョージ C. スコットらしい)。ジョージらしき語り手が生きていた。ああ、いい語りだったなあ。

 

「Guys Read」vs. 「Guys Don’t Read」〜キッズブックス英語スクール

英語圏、特に北米の先生や図書館司書の間で「定説」化しているのが、「Guys don’t read」。

今から10余年前からの認識だ。

そしてその頃、児童読書の「大使」に任命された作家、Jon Sciezkaが、『Guys Read』という、男子が興味を持ちそうな本や読書の体験などをテーマにした、有名児童文学者の短いエッセー集を編んだ。

私も、どうにかまずは数の多い感じがしている男子の読書離れを、阻止したいと思う。世の中に、読んだ本について楽しく話ができる男子が増えて欲しい。

そういう思いから、作家になった個性豊かな「男子」たちの読書経験や、本に対する考えなどを『Guys Read』で、我がスクールのreading個人レッスンの男子などと、近い将来読んでみようと思う。

絵本作家 Shaun Tanの原画を見た

Shaun Tanはオーストラリアの絵本作家で、リードアラウドでは、今のところ『Rules of Summer』を取り上げたことがあるだけで、紹介することはほとんどなかった。

なぜだろうと考える。

言い訳は、まず、

本が重い(装丁がしっかりとした画集のような、コストをかけたものが多く、値段も多少高い。内容もしっかり重く、一回こっきりのリードアラウドには「勿体ない」と思った、など)。

低年齢にわかる、分かりやすい表層の下に、バームクーヘンのように何層もテーマやドラマが含まれていて、それを軽々しくうわべだけ扱って終わりたくない。本に失礼だ。などと思う気持ちもあるからかもしれない。

 

先日、美術館で催されていた原画展に行ってきた。

やっぱりな。一冊の本も「バームクーヘン」だった。

その思考の「年輪」、技術の「年輪」などいくつもの層があっての一冊。展覧会は、それら「年輪」の一部を切り株のように見せてくれる展示だった。

 

いよいよ軽々しく読めない気持ちがしている。

まっ、圧倒的な才能っていうのでしょう。

技術だけでなく、ものを本質的に見る目が備わった人だ。

また、才能溢れる人にありがちな「俺様」感がないところも、見て取れた。ぽろっとこぼれるユーモアや温かみもある。

中国系とオーストラリア白人系の親を持つ出自も、ものの見方に影響しているのだろう。

器用やら上手いやらは、ただの踏み台。Tanさんの才能は、それらを平均以上に持ち合わせ、その上に立って爆発している感じ。

3Dの捉え方もできる、方眼紙の上で数字的に狂いのない設計図のような絵もかければ、18世紀、19世紀、20世紀の名画風な絵もかける。それらを踏まえての、自分がある人だ。

ほとんどの出版に至るレベルの絵本たち、ここまででも立派だが、その上を行く、ずば抜けた才能に感服した。

 

私に、また目標ができた。

重くても(!)Tanさんの本を、その中身がうかがえるような、リードアラウドをする!!