本年度の講座は残すところあと1回、また10回目(2020年1月18日)は発表会と審査会だ。
今回は『Animals Should Definitely Not Wear Clothing』。
あっ、右のwearさせられた動物の写真は、講座とは関係なし。(今回欠席した認定講師のお宅のanimal。ただしこのanimalの場合、「He likes it!」と飼い主はおっしゃっています)
ちなみに本書はイラスト違いの2種類あり、オリジナルはすでに絶版で古本で手にいれるしかないが、個人的にはオリジナルが好きだ。
オリジナル本のほうがより動物のイラストがリアルで、「動物に服など身につけさせる」ことの滑稽さが浮かび上がっているように思うがどうだろう。
さて本書のテーマだが、動物に服を着せる不条理さ、なんてところか。(ただしそれが好きなイヌもいるらしい…)
本書を選んだ、というところから「指導」は始まる。
今回は4-12歳向けの指導を念頭に置いたが、そのなかでも「絵本なんか(幼稚だ)」と言い出す9歳ごろからの子どもに、特に適する。その理由や選書の重要性を、一緒に考えた。
その年頃になった子どものリードアラウド指導に、選書の次に大切なのが、年相応の読解をさせること。
まだつたない英語で、本の内容についてディスカッションはできないだろう。それがフラストレーションを生み、彼らが本にもクラスにも興味を失うきっかけになる。
そこで、年齢なりの、またはちょっと背伸びした解釈などを、母語を使って語らせたらどうだろう。
いわゆる「オールイングリッシュ」が、巷で表面的に広まっている昨今、英語指導者は母語を使うことに躊躇してはいないだろうか。
母語と英語について、第二言語習得論的なトピックスを講座ではディスカッションした。
そこでは、こんな強い味方を紹介した。
第二言語習得を研究する J.Cummingsが2001年に発表し、以来研究者たちに多く引用され定説的になっている考えである。
言語能力のひとつである読解力を司っている、認知・学術能力(Cognitive Academic Language Skills)。 この能力は、第二言語と母語で共有される、
という考えだ。
水面上では二つの頂きに見える氷山が、実は水面下でつながっているとイメージするとわかりやすい。
ひとつは母語の頂き、もうひとつは第二言語の頂きである。
これらが水面下の大きな基底部でつながっている、というのが第二言語と母語の共有基底言語能力のモデル。
経験だけで語るのではなく、このような学問的認識を持てば、母語でのより深い解釈やディスカッションが英語の読解力になっていくと、親御さんたちにも自信を持って説明できるだろう。
模擬指導の時間。ここでは、発問、発問、発問。みなさん頑張った。
生徒役がちょっとおとなしすぎて、スムーズに進みすぎた嫌いはあったが、問いかけて進めるというクセはつきつつあるようだ。
今回、紹介した新しい言葉はrecast。
生徒がもし母語で答えても、「英語でいいなさい」とコミュニケーションを止めてしまわずに、母語による発言をYes, andで一旦受け入れてから、それを指導者が英語でいいなおしてあげる。
すでにみなさんは実行していることだろうが、指導する上で、termとして規定しておくことで、論が進めやすくなるので、今後は使っていこうと思う。
何しろ生徒を肯定し、語らせ、コミュニケーションを続けることが、生徒のやる気につながる。
そういう授業を「クセ」にしたい。
(つづく)