昔話を語る:絵本リードアラウド認定講座第6回報告その1〜リードアラウド研究会

今回は、英語を学んで二年目以上程度の小学生以上向けの、絵本と読み物の架け橋になるような、文の量が少し多い絵本『Caps for Sale: A Tale of a Peddler, Some Monkeys and Their Monkey Business』をとりあげ、指導法と朗読方法を研鑽した。

まず、朗読について。
本書の朗読には、物語口調、なかでも昔話の語り口調が適している。昔話の語り口調とは、聞き手と語り手の立場は平等で、十人程度の聞き手に語り聞かせるように読む。

主人公の行商人が帽子を売る声を張らなければならないので、いつも以上に、丁寧に発声練習を済ませる。
それから、まずは自習の成果を聞き合う。リードアラウドを始めて日が浅い人ほど、文字を追う感じが強い。また、ベテランになるにつれ、またこの日の集中力に応じて、読みに気持ちが宿ったり、宿らなかったり。またはその気持ちに、多少の違和感を感じさせる。途中で聴く人を飽きさせたり、自分が飽きたり。

ということで、今回、朗読に関して、絞ったポイントは、

  • 聞かせるように読む
  • 話を盛り上げ飽きさせない

特に「聞かせるように読む」ための演習に手応えを感じた。ペアになってもらい、ひとりが日本語で話の詳細を順に尋ねる係、もうひとりが質問にひとつひとつ答えるように本文を読む係になるというもの。

例えば、「いつの話なの?」と目の前で尋ねられると、人間はそれに対して答えようと思い、文を読むときに、語るような読み方になるものだ。
「Once upon a time…」が、「昔のことよ」と、血の通った会話のような受け答えになる。
「だれの話?」
「there was a peddler…」という文が、「ひとりの行商人がいてね」といった生き生きとした語りになる。

初めのうちは、「読まないで。質問に答えるように語って」と、声をかける必要があった。でもなんども注意をするうちに質問者も要領を得て、本当の質問のように尋ねだし、すると答える方も、文を自分の言葉のように語り始めた。
やはり、いない人の質問に答えるように読むのは、抽象的でなかなか脳がいうことを聞いてくれない。でも、目の前にいる人が尋ねるなら、言葉に自分の感情が乗る。
質問者を目の前にして言う練習をすると、脳にその言い方をする筋道ができて、質問者がいなくても、イメージでリアルな受け答えができるようになる。

みなさんの英語力があれば、こうした意識の持ち方一つで、語る口調が出てくる。
この日の最後、仕上げの朗読「AFTER」で、それぞれがより「語り」になったり、それなりに語れていた人もより「昔話」の語りになったりしていたのは喜ばしいことだった。

(つづく)

Caps for Sale: A Tale of a Peddler, Some Monkeys and Their Monkey Business

絵本リードアラウド認定講師講座 2019

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