絵柄もよく、季節もぴったりということもあってか、今回の課題書『All the World』は、認定講師のみなさんの前評判が高かった。
文字は少ない。簡単な言葉だ。だが、言葉の描くイメージが、手元から天高く、大きな地球をも感じさせる大きさを持つ。
これを、文字面だけみて、「語彙を教える本」にしてしまったり、単語をきれいに発音するだけの「朗読」にしてしまっては、本に申し訳ない。
まずは、読解と分析をする。
思ってもみなかったことや、気づかなかったことが見えてくる。
特に、言葉が簡単なので、読むだけで、そこからイメージを立ち上がらせ、そこからの意味を測ることまで、「予習」していなかったりする。
いっしょに読解、分析したあと、演習をした。
その演習が、ことのほか、みなさんの表現を深めるのに効果的だった。
その演習とは…
本文に何度か挙げられた、イメージを喚起する単語の集まり、例えば Rock, stone, pebble, sand、
これらは簡単な単語で、すらすら(普通に)読んでしまうと、聞いている人に何のイメージも喚起しない。
その「すらすら読み」を豊かな表現ある読みにするのに考えた演習だ。
ペアになり、その単語のイメージをマイムする相方を見ながら、もうひとりは同じ単語を言う(読む)。これだけ。
Road, street, track, path というのもあった。
いくつも、関連づけて連ねられたこれらを、イメージを見ることで、読み手のなかで「単語」から言葉という有機的なもの、身体的なものに変換される、のだろう。
おみごと!
マイムとともに笑い声もあちこちで上がる、楽しい時間でもあったが、
みなさんの読む声が、それなりにイメージを浮き立たせるものになったのである。
予想以上のめざましい変化で、「これなんだ!」と、わたしにも発見だった。
ただし、このときできた表現の「回路」のようなものは、水泳や自転車乗りとは違って、一度できたからと、一生それが続くものではない。
濡れたら伸びてしまうスカートのひだのようなもの?
しょっちゅう、「アイロンがけ」が必要だ。
そうするうちに、くせがついてくる。勤勉にすれば、「パーマネントプレス」になると思う。
講座では見違えるようになったみなさんも、ペア練習はそうそうできるものではない。自習になるが、そのときはイメージ力で。
単語を「単語」として読むのではなく、それが意味するものを脳裏に思い浮かべ、それを見てから「言う」。
次回まで、どうぞこの練習を、ときどきはしてみて。
仕上がりを楽しみにしています。