絵本リードアラウド認定講師講座第4回報告:その1.褒め足りない〜リードアラウド研究会

6月の認定講師講座を終えて、何晩か明けて、よかったところ、もう少しだったところが、だんだんはっきりと浮かび上がってくる。

ちょっと、褒め足りなかった気がする…。

 

復習の『The Runaway Bunny』。

登場する3人、ウサギ母、息子、ナレーターの読み分けと、それぞれの場面での葛藤や気持ちをどう表すか。

 

随分と前回から比べて、キャラに安定感がでた。

どれもよくなっていたのだが、印象深かったのは…

 

Yさんのウサギ母。

こんな母がどこかにいそう、と思えるリアルな造型だった。発声がよく、奥からの響く声で、大人で教養ある母が浮き彫りになった。

 

Rさんのウサギ息子。

思いつく典型的な子ではないが、こういう子かも知れない、と説得力がある。どんな子でも、「そうかもな」と思わせる力があればそれもOK。

 

Nさん、3者の分離と安定感はなかなかのもの。

Hさんのウサギ息子、言葉尻というか「会話尻」?にときどき残る、Hさんの読みグセを消せば、生き生きしたところがとてもよかった。

 

 

今回の課題書『Dear Zoo』の表現では…

 

 

本書はZooに手紙を書いた、濃いキャラの「I」の演芸口調で、という、リードアラウドならではのミッションだ。

そうすることで、ただ読んだだけでは単純な話で大人に感動があるわけでもない幼児向けの本を、リアルに肉付けし、読むわたしたちにも興味深く思わせること、そして聞く子どもにも深みを、大人にはユーモアを感じさせたい。

 

子どもにその面白さがわかるかどうかは別にして、設定としては「いるいるこういう人」と気づかせてくれたのが、Hさんの「ハイミス」を主人公にしたバージョン。

「いい歳」なのに、娘口調が残り、子ども心というか、幼稚さ、わがままっぽさもある、キャラが立った「お姉さん」。それでいて、聞かせる子どもへの愛情も感じる。傑作。さらに磨きをかけて、レパートリーに加えるといい。

 

発案として優秀賞は、Aさんの「デビ夫人」風。

コネもお金もある「I」が、動物園に「ペットをちょうだい」と手紙を書くという設定。奇策で面白い。座布団1枚。

ただ今のキャラ造型技術は、発声に少々難あり。気道をあけるというか、声帯を開くというか、イメージとしては声を頭頂から出す。これは、念力のようなもので、そのイメージを体に染み込ませて、声の通り道を変える。

新しい技術を身体的なものに定着させるのには、稽古!

 

ひととおりだが、行儀よくまとまっていたのは、MさんのDr. ドリトル版と、Yさんの「上場企業に務めるお父さん」版。

キャラが思いつかなかったり、肉付けが難しい場合、本やドラマから自分がよく知っているキャラを借りるというのも一手。

でも、そのイメージに寄りかかり、自分は知っていても他の人は知らないということが、念頭にないと、造型が薄く伝わりにくくなる。

 

「上場企業に務めるお父さん」も、父の日のCMのような薄くて類型的な「ステキ」のイメージになりやすい。どんな顔して話をする人なのか、笑い方、しぐさ、例えば、ごはんの食べ方などまで考えていくと、リアルになる。書き出してみよう。

 

キャラ分けも楽しく、技術もついてきたNさんは、そろそろもうひとつ、charmを出せたら、ひとつ上の段階、エンターテイナーに近づく。現状、ついつい顔を出すのが先生キャラ。別人格を工夫したい。

 

ああ、別人格といえば、Rさんの「元動物園の園長」のじいさん。

体臭まで(加齢臭?)臭ってきそうな、リアル感。まいりました。ステキ!

 

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