小さなクラスで英語指導をしていると、ときに生徒が気がかりな、固定しそうな好ましくない英語のクセを出し始めるのに気づく。
一年くらい前のこと、幼児のときから絵本でリードアラウドをしてきたひとりの小学生クラス生徒の英語の一本調子が気になりだした。
そこそこ読めるのだがどうも一本調子なのだ。
「お経みたい」とクラスメートに言われて、ひょうきんな本人も調子に乗って、ますます一本調子に磨きをかけそうで、指導者としてだんだん悩みが深くなっていた。
リードアラウドをずっとやってきて、お経みたいな英語じゃ…。胃も痛くなる。
そこで、試したのがシャドウイング。
この年の子どもに出来るかな、などと心配したのは杞憂だった。
これまでも、手本を読み、その後に続いて読ませていたが、シャドウイングと違って手本を聞いてからちょっと間が空くと、手本などまったく左から右へと、耳から抜けてしまうのであった。
それが、シャドウイングさせたら、どうだ。
まず、難なく後についてこられるのに感心した。
そして、素晴らしい。
指導者の読み方にすっかり「つられて」、読み間違えはないし、自然なイントネーションも表現もちゃんとついているではないか。
なんだ、できるじゃない!
シャドウイング、どこがいいのかというと…
手本のすぐ後をついて読むから、まず聞き耳をたてる。
それから反射的に声に出すから、真似が自然にできる。
第二言語習得論的に言えば、
音声インプットの知覚とほぼ同時に
同じ音声を発音することによる効果だ。
模倣しほぼ同時に再現すること、これがシャドウイングでの習得だ。
この生徒は、おかげで今はすっかり読むスピードも上がり、
文尾でちゃんと音が下がってセンテンスの終わりもわかるし、
微妙なニュアンスもつき始め、あの「お経読み」はまるで、遠い昔の話のように思う今日この頃である。
